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進行するグローバリゼーションと県大グローバル地域センターの課題

12月10日  副センター長、特任教授 濱下武志


グローバリゼーションの動きは、これまでの地域関係や地域認識を大きく変えつつある。これまでの地域認識では、「世界」という広がりを最上位に置き、その下に「アジア」や「ヨーロッパ」などの「大地域」を置き、その次に領域が画定された「国家」を位置付ける。さらに国の下に「地域」が従い、末端は「地方」である。これらは上から下に序列化された地域関係であり”重層的な”地域認識であるといえる。

これに対して、グローバリゼーションは、これらさまざまなレベルの地域空間のこれまでの上下の序列関係をばらばらに解き放ち、それぞれが他の地域空間とも直接にかつ多角的に結びつくことを可能とした。例えば、これまで「国家」のもとにあった「地域」は、グローバリゼーションの動きに乗って、国を飛び越えて国際的な地域連携の主体となることも可能である。或いは、これまでの地域関の序列関係の末端に位置した「地方」が、そのままグローバルの問題領域に直結し、自己を主張することも可能である。「グローバル」と「ローカル」を組み合わせた「グローカル」という表現もよく耳にするところである。「グローバルに考え、ローカルに行動する」というある企業の世界戦略のスローガンも、ローカルがグローバルに発信することを目指す表現である。

このように、グローバリゼーションは、これまでの縦の関係、上下の関係に序列化された”重層的”な地域関係や地域認識を改変し、それらを多角的にまた”循環的”に連携させようとする現代を動かす新たな時代の動力であるということができる。そこでは、19世紀以来の地域空間の求心力のほぼ唯一の中心であった「国家」をも地域の流動化と地域の循環のなかに還元させ、多様な地域連関の構想の中に歴史的な使命を委ねようとしているかに見える。

そしてこれらの地域空間は同時に歴史空間でもあることから、グローバル・ヒストリー研究が、従来の世界や帝国の延長や拡大ではなく、現代=歴史にみる地域連関の新たな循環的な動態のありかたを歴史的に位置づけるという役割を担って登場した。

そして、この流動状況のなかに、広狭さまざまな歴史的「地域」が再登場し、多様な結合を始めている。そこにはアジアの多元的な歴史的空間秩序とそれらの統治理念とが、現在一斉に噴き出しているともいえよう。これら流動し再編される地域関係の組み合わせや、地域統合理念の歴史的な文脈を取り出して現在を照射することが、グローバル・ヒストリー研究の大切な課題となっている。

グローバリゼーションの動きは、経済や情報・文化の分野にみられるように、さまざまな問題を地球規模に拡大し、かつそれらは地域(地方)末端にまで影響を及ぼしている。そして、これら不可避的・積極的な側面だけではなく、情報や富の過度の集中や、影響を受ける側に格差を生んでいる。また政治の分野では、「国家」やその国益を直線的にグローバルに延長しようとするナショナリズムのグローバル化も見られ、むしろ地域間の緊張を高めている。

人類史的に安定と安全に向かうべきグローバル化した地域社会に対して、アジアからのイニシァティブとローカルが果たすべきグローバルな役割の所在を明確に示すために、グローバルなかつ総合的な「知」を持つグローバル人材の育成が急務となっており、それは21世紀の”ローカル”な大学が”グローバル”に果たすべき役割と密接に関連していると考えられる。

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