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ワークショップ「地震予測の現状と防災情報を生かすには」を開催して


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2月9日 特任准教授 楠城一嘉
2月2日に地震予知部門は「地震予測の現状と防災情報を生かすには」1)を開催した(静岡県、静岡大学防災総合センター、東海大学海洋研究所、静岡新聞社・静岡放送共催)。防災関係者を中心に約250名が聴講し、南海トラフ地震の防災対応について関心の高さが伺えた。

大震法が昭和53年に制定されて以来、地震や地殻変動の観測が進み、又、科学技術の進展に伴って、警戒宣言発令の前提となる確度の高い直前予知は困難ということがわかってきた。一方で、不確実でもどの程度ならば予測できる(地震に関する様々な異常な現象を捉えられる)という現状も分かってきた。これは、地震学が直前予知を諦めたのではなく、道半ばであることを示している。

中央防災会議は、被害をより軽減するという視点から、現在の科学的知見を十分に活用して、発生前に起き得る現象を想定し、予めその対応を考えることは極めて重要とした2)。そして、今後具体的な防災対応の検討が推進されるように基本的な方向性を取りまとめた。

これを踏まえ、警戒宣言発令が凍結され、昨年11月から、現在の科学的知見に基づく、南海トラフ地震に関連する情報が新たに発表されることになった3) 。又、新たな情報に基づく対応策を再考する必要が出てきた。科学的知見に基づく新たな情報は、日常生活に馴染まない為、現状のまま情報として受けても対応にばらつきが生じる可能性がある。地震予測の現状をしっかり理解し、防災情報として最大限に生かす検討が必要である。予測して情報を出す側と情報を受けて対応する側が、防災情報に基づく対応の方向性について共有認識を図ることができていないといけない。そこで、両者を橋渡しする役割のワークショップを行った。

東京大学の平田直氏と関谷直也氏、東海大学の長尾年恭氏から地震予測の現状について講演を頂いた。又、静岡大学の岩田孝仁氏から防災情報を生かすことについて講演を頂いた。静岡県の外岡達朗氏から県の防災対応の方向性について報告を頂き、静岡広野病院の田宮健氏及び、池ちゃん家・ドリームケアの池谷千尋氏から医療・福祉関係で防災を先進する事例紹介があった。その後、パネルディスカッションを行った。

最大限に防災情報を生かす検討が重要との認識を共有した上で、どんな議論を今後深めなくてはいけないか、課題の洗い出しが出来たことは価値がある。例えば、警戒宣言に代わる警戒レベルのようなものの提案や、従来の警戒宣言発令時の対応を見直す提案があった。また、地震発生予測の不確実さを市民が認識する啓発活動や、中小医療・福祉機関のBCPの作成の必要性なども挙げられた。各分野の方々が集える場だからこそ、それぞれの問題意識を共有できた。

このような動きは、全国ではじめてで、静岡から新しい流れを作れるのではないか。その第一歩を踏み出せたので、各地で同じような議論が始まることに期待したい。

最後に、当日の資料を本ワークショップのサイトにアップした1)。また、ワークショップを撮影したビデオもアップする予定である。資料やビデオを今後、教科書代わりに使ってもらえるようにするためである。何度も振り返って活用してほしい。 


1) ワークショップ「地震予測の現状と防災情報を生かすには」(2月2日(金))
http://global-center.jp/holding_guidance/300202/index.html

2) 中央防災会議防災対策実行会議「南海トラフ沿いの地震観測・評価に基づく防災対応検討ワーキングループ」
http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/taio_wg/taio_wg.html(外部サイト)

3) 南海トラフ地震について
http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/nteq/index.html(外部サイト)