本文へ

バナーエリアへ

フッターへ



Home  > 研究情報  > 海外ジャーナリズムの眼  > 2013年  > スモッグの中でいかに「美しい中国」づくりを実現するか

スモッグの中でいかに「美しい中国」づくりを実現するか

4月1日


2013年3月5日に、スモッグに覆われる北京で年に一度の全人代が開幕された。数日後、全人代が開催される真っ最中の3月9日に、北京で強風が吹き荒れ、北京市が黄砂に見舞われた。垂れ込めるスモッグが吹き払われたが、町中が灰色から黄色く変色した。全国各地から北京に集まった全人代の代表が、このスモッグと黄砂の深刻さを実感したはずだ。昨年の共産党第18回大会で提起された「美麗中国(美しい中国)」づくりをもとに、環境問題が最もホットな話題の一つとなった。中国メディアはいっせいにこの話題を取り上げた。

「人民日報」は3月10日、「美しい中国づくりは政治的な責任」と題した記事を掲載した。“環境問題は普通の経済問題ではなく、きちんと対策を打たないと、政治問題になる恐れがある“と陕西省の省委書記趙正永氏の全人代での発言が引用された。「世界で最も環境汚染が深刻な都市の一つであるメキシコは、現在もラテンアメリカ化から抜け出していない。中国は同じ発展途上国としてこれを戒めとし、自らが腕を切除するような決意のもとで、持続的な経済発展を図るため、日々深刻化する環境問題に対応し、人民の期待に応え、美しい中国を実現させることができる」と述べられた。
 
「GDPが第一か。健康が第一か。この問題を真剣に考えないといけない時が来た」と中華医学会会長の鐘南山氏が警鳴を鳴らした(新華社通信の新華網)。環境保護部南京環境科学研究所所長の高吉喜氏は「環境問題は危機であり、産業構造の調整や発展モデルの修正を見直す契機でもある」と問題を提起した(「経済日報」)。四川省高級人民法院副院長の謝商華氏は「きれいな空気を守る立法を急ぐべきであり、大気汚染防治法の修正と清潔空気法の策定を早めるべきである」と提案した(「光明日報」)。財政部財政科学研究所所長の賈康氏は「環境税は洪水猛獣ではない」と環境税の導入を薦めた(「人民網」)。

一方、「南方週末」は、環境問題解決の実行面において課題が多く存在することに焦点を絞った。中華医学会会長の鐘南山氏が、地方政府の業績評価基準を環境保護実績とリンクさせるべきと全人代で提案した。また、政府が汚染問題の解決に具体的な目標を打ち出し、審査制度も設けたが、目標に達成するための指導がないのが問題だと指摘された。なお、各地方政府において、観測データ不足やシミュレーション予測などの技術問題、管理強化体制の未整備問題、汚染物排出許可制度の問題などが存在している。ただし、たとえこれらの問題がクリアされても、地方政府が経済成長一辺倒の方針を見直さなければ、結果として実行できないまま、悪化するだろう。

(柯隆 編集)

研究情報


Copyright © Global Center for Asian and Regional Research, University of Shizuoka All Rights Reserved.