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不動産市場を揺るがした「国五条」

4月1日


2013年3月1日、「国五条」と呼ばれる不動産価格抑制策が国務院より公布された。不動産売却に伴う資産税率が20%になると発表され、市場が激しく反応した。各地の「不動産取引手続きセンター」に人々が殺到した。徹夜で並ぶところもあったと報道されている。北京では、3月10日までの僅か9日間、中古住宅取引件数は11,024件に上り、前年比278%増となり、2月の取引件数の合計を大幅に上回った。国務院が「国五条」を打ち出した目的は、投機的な不動産購入を抑制することである。但し、中国では、不動産取得税は法律上売り手が負担することになっているが、実際に買い手が税金を負担するのが普通であるため、今回の引き締め策はいくらか不動産需要に影響を及ぼすものと思われる。

『人民日報』には3月2日、「『国五条』を打ち出したすばやいスピード感から中央政府の決意が伺える」とのタイトルの記事が掲載された。「高騰する不動産価格が民生問題として深刻である。高い不動産価格の背景に、需要と供給のアンバランスがある。現在、土地使用権の払い下げの売り上げは地方政府の財源となっており地方政府の土地財政への依存を変える必要がある。庶民に住む場所を提供するのは政府の責任であり、住む環境を改善するのは市場のメカニズムだ。不動産価格が安定すれば民心も安定する」。なお、同紙は3月4日に「不動産購入のコスト転嫁を警戒すべき」との記事のなかで、「不動産価格の長期的な安定には、既存政策の徹底的な執行と長期にわたる制度改革の加速が不可欠であり、短期的な抑制策は長期的な制度改革のための時間稼ぎに過ぎず、制度改革の推進が早急に求められている」と中国不動産協会副会長の朱中一氏の見解を掲載した。

『新華網』では、全人代の代表の意見を掲載した。「複数住宅を持つ者は住宅を購入しないかぎり、納税しなくてもよい。しかし、初めて住宅を購入する人は、重い税金を負担しないといけない。政策を打ち出す前に、まず納税対象の明確化が必要だ」と、華東師範大学国際金融研究所所長の黄沢民氏が指摘した。一方、南開大学経済学院副院長の邱立成氏が、「不動産税改革の対象は、複数住宅を持つ投資者や住宅を意図的に販売しないデベロッパだ。住むために住宅 ―特に一戸目の根強い需要型住宅と二戸目の改善型住宅― を購入する人ではない。」との見方を伝えた。

「投機を抑制する新しい政策は実需にも影響を及ぼすだろう」と、『南方週末』は財政部財政科学研究所所長の賈康氏の見方に関する記事を掲載した。同紙は3月8日に、「不動産抑制策が誤って実需にまで影響」と題した記事を掲載し、次のように指摘した。「税金の転嫁により最終的に買い手が負担することになり、その殆どは実需の買い手となるだろう。」「新しい政策により、買い手が中古住宅の購入をあきらめ、新築住宅の購入に殺到することを予測できよう。そのため、中長期的にみて、新築住宅の価格が上昇する恐れがある。それに伴い、中古住宅の価格の上昇をもたらし、賃貸価格も上り、結果的に複数住宅の所有者が住宅を売らないことになる。実需の買い手は実は最終的な被害者になるだろう」。「引き締めが強化されればされるほど、実需の買い手の被害が大きい」。「最大の利益取得者は、様々な施策で税金を増やそうとする政府であろう。」

(柯隆 編集)

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