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中国企業による米国豚肉加工業者の買収

中国企業による、海外の食品関連の買収が増えていると言われる中、中国最大の食肉加工業者による、米国の大手豚肉生産・加工業者買収が発表された。この買収を通じて、豚肉の安定供給はもちろん、米国の先進技術・マネージメントノウハウの吸収が期待されている。

6月21日

さる5月29日、中国の豚肉加工業者の双匯国際は、米国の豚肉加工大手スミスフィールド ・フーズを約47億2000万ドルで買収すると発表した。双匯国際がスミスフィールド ・フーズの約24億ドルの債務も引き受け、総額は71億ドルになる。双匯国際は、中国の最大手の豚肉生産加工業者として知られる。2011年に肉の赤身を増やす違法な飼料添加物「痩肉精」を摂取した豚を使用したことが発覚し、豚肉の安全性に対する消費者の信頼が大きく揺いた事件があった。

『人民日報』は5月31日の一面にて「双匯が71億ドルで世界最大手の豚肉企業を買収、中国企業による米企業買収として過去最大」というニュースを配信した。同日の国際面では、中国社会科学院世界経済・政治研究所の張金杰氏の論説が掲載された。「まず、中国企業の海外投資は、これまでエネルギーや製造分野に集中していた。しかし2012年の万達集団や光明食品による巨額の海外買収など、近年の海外投資は、文化や食品などの領域に拡大した。特に今回の双匯国際の買収により、中国の海外投資の多元化が新たな段階に入ったと見られる。そして、スミスフィールド ・フーズは世界で最大の豚肉加工・食肉処理企業であり、双匯は中国の最大の豚肉加工企業である。両社の合併による相乗効果が期待されている。さらに、食品安全性問題が取りざたされている中国では、海外の先進技術及びマネージメントノウハウを吸収する必要があり、それによって自社の改革を進めることができる。痩肉精事件によっていったん信頼が損なわれたものの、海外の技術やマネージメントノウハウの吸収により、双匯のブランドの知名度が将来海外でも高くなると期待されている。それに加え、中米両国の首脳会談が行われたことを受けて、両国の経済貿易と投資環境が大きく改善されるだろう。この買収事案はそのシンボルになろう。」

今回の買収について、各メディアにおいて見解が述べられた。「食品メーカーの海外買収は、中国の食品安全性問題を解決できない。中国の食品安全性問題は、技術レベルの問題ではなく、監督の問題である。企業が大規模の海外投資に依存し、食品安全性問題を解決するどころか、逆に身動きができなくなり、収益力に影響を及ぼすだろう」(中华工商时报)。「中国人の豚肉消費量が急増していることが、この買収の一つの背景である。中国の豚の頭数は4.76億頭、ほぼ世界の半数を占めるが、それでも豚肉の需要に応えられない。2008年以後、中国は豚肉の純輸入国になった」(Economist)。「両社の合併により、世界最大規模の豚肉生産メーカーが生まれるだろう。米国の豚肉の資源と中国の莫大なマーケットとの相互補完により、ウィンウィンの関係を構築できる。ただし、米国では痩肉精の使用が許可されているため、双匯が中国当局に対して痩肉精禁止の緩和を説得し、結果として禁止令は、直接または間接的に変えざるをえないだろう。そのため、中国の食品安全性問題がさらに深刻化するおそれがある」(国際商報)。「双匯の買収目的は、“マーケットの輸出”であり、中国が外需依存の経済モデルを転換する方向性に合致している。期待できる買収である」(新京報)。

(柯隆 編集)

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