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HOME >  中国展望 (特任教授 柯隆) >  2013年(海外ジャーナリズムの眼) >  SARSを教訓に、H7N9型の情報開示を速やかに

SARSを教訓に、H7N9型の情報開示を速やかに


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5月1日
SARSからちょうど10年経過し、今、中国でH7N9型鳥インフルエンザが発生し、多数の死傷者が出ている。4月1日、WHOは、中国でH7N9型に感染した患者が確認されたことを初めて発表した。20日が経った4月20日現在、感染者が91人、死亡者が17人に上った、と新華社は伝えた。中国人にとって、10年前のSARS感染をめぐる情報隠蔽がもたらした混乱と恐怖は記憶に新しい。こうしたなかで、今回のH7N9型鳥インフルエンザについて、中国政府がきちんと情報を開示するかどうかが注目されている。

WHOの発表と同じ日に、北京市の地元新聞《新京報》は一面に「鳥インフルエンザH7N9のヒトへの感染例が初めて確認された」との見出しの記事を掲載した。上海市の地元新聞《新民晩報》も同じ日に同様の記事が掲載した。4月2日,北京市の地元新聞《京華時報》は「H7N9ウィルスは2大伝染病観測ネットワークに入る」との見出しで全紙面で上海市と安徽省の感染・死亡例が報じられ、北京市の衛生部門において予防警戒体制が強化されたことが伝えられた。《新民晩報》、《重慶時報》や《武漢晩報》など各地の地方新聞も速やかに感染の実態を伝え、H7N9型の基礎知識や予防対応策も報じられた。 

一方、感染地域の住民の間で情報透明度に対する懸念が広まり、それについて4月9日に,《人民日報》は「デマ拡散が情報公開により止まり、信用が情報透明により生まれる」との社説が掲載した。「市民から情報開示が疑われることは、政府の情報公開に対するスピードを促進し、情報が開示される中で社会の信用システムを修復できる。政府にとって情報開示は、情報隠しやニセ情報行為への懲らしめであり、政府の信用力を高めることができる」と述べた。《中国青年報》は4月9日と4月11日に、いくつかの社説を発表した。「鳥インフルエンザの予防、情報公開に関する疑念が広まるなかで市民は冷静になれるか」、「H7N9により市民の冷静さが試される」とのタイトルで、情報を開示することによってこそ市民が冷静に緊急事態に対応できると述べた。なお、話題になった患者の無料治療について、同紙は「H7N9患者の無料治療は公共財政予算の使い道」との見出しで、「H7N9患者の治療に公共財政予算を使わないと、10万元以上の医療費が患者にとってとても重い経済負担になる。多くの潜在的な患者が医療費のため治療を放置するだろう。それによって感染拡大の危険性が大幅に高まり、社会は最大の被害者になるだろう」と述べた。


(柯隆 編集)