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HOME >  中国展望 (特任教授 柯隆) >  2013年(海外ジャーナリズムの眼) >  田舎のネットショッピングパワー(中国)

田舎のネットショッピングパワー(中国)


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中国の「田舎」でネットショッピング利用者が急増。その背景として、田舎の人々のブランド志向、田舎では商品の多様さ・豊富さに欠けること等が挙げられるとともに、その消費力が中国経済の成長を促進すること等への期待も示された。

9月2日

「田舎でネットショッピング利用者が急増し、タオバオの屋外広告が田舎に進出」と題した記事が7月31日の『新京報』に掲載された。「7月29日にタオバオ(淘宝、アリババが設立したショッピング・サイト)が発表した『2012年全国県レベル地域のネットショッピング報告書』によると、中国の2006の県レベル行政地域を対象として集計した数字では、2012年に3000万人のネットユーザーがタオバオで買い物をし、総消費額は1790億元に達し、前年より87%増となった。タオバオは浙江省遂昌県で田舎の独特な広告形態・刷墙(村住宅の壁に広告のキャッチコピーを刷る)による広告を出した。遂昌県は著名な「タオバオ県」である。ここで1200以上のタオバオ店舗が生み出され、信用度が高いと評価された店舗が20個以上、年間売上総額は1億元以上に上った。」(新京報)

「田舎のネットショッピングのパワーは都市部を上回る。2012年、県レベル行政地域(以下、県レベル市・県と略する)における一人当たりのネットショッピング消費額は年間6000元、それに対して、一級と二級都市(以下は都市部と略称)では4700元。地域別でみると、福建省清流市が2万元以上でトップ、その次のチベット貢覚県、江蘇省洪澤県、黒竜江省绥芬河市などでは1万元以上となった。年間消費総額では、浙江省義烏市がトップで、34億4000万元になった。義烏市は、日用品の世界最大規模の卸売市場を運営していることで有名である。その次は、江蘇省の昆山市、常熟市、江陰市などとなり、トップテンの全てが江蘇省と浙江省の県レベル市・県となった。なお、一人当たりのネットショッピング回数では、県レベル市・県では年間54回で購入商品が388個、都市部の39回で349個の数字を大きく上回る。県レベル市・県のネットショッピング力が都市部を超えた原因として、県レベル市・県の商品種類の不足によるところが大きいと浙江大学社会学系教授の王小章氏が見解を述べた。ただし、物流効率の低さ、運輸過程で発生する商品の損害、サービス態度の悪さなどが目立ってきている。これも、アリババの創業者馬雲氏が全国どこでも24時間以内に商品が届けられる中国インテリジェンス物流網を構築するきっかけとなった。」(新華網)

「田舎の人はブランド品を購入する意向が高い。たとえば、エスティローダーの場合は、県レベル市・県では一人当たりの消費額が765元であるのに対し、都市部は652元。ローカル靴ブランドの紅蜻蛉では、100元の消費額の内、42元は県レベル市・県による消費で、31元は都市部。タオバオでブランド専門店舗を運営するTMALLが選んだ44ブランド中の32ブランドでは、一人当たりの消費額において県レベル市・県の方が都市部より高い。なお、ネットショッピングの消費額が年間収入の3割を超えているのは、河北省の広平県、葉城市と唐海県である。これらの地域では、タオバオだけで年間収入の3分の1を使っていた。中国経済において、田舎地域は、ずっと母親のような役割を果たしてきた。低い農産物価格で都市人口のエンゲル係数を下げ、低い原材料価格で莫大な資源を消耗する都市の工業化を支え、安い労働力で製造業の発展を促進してきた。インターネットの時代に、田舎の巨大な市場が中国経済における消費力の成長を支えていくだろう。」(フォーブス)

「ネットショッピングの浸透率は、経済が発達する沿海地域で高い。ただし、一人当たりの消費額をみると、浸透率の高くない地域は、浸透率の高い地域を上回っている。これは数人が一つのアカウントを利用していると考えられるほか、安価かつ豊富な商品が経済的に遅れている地域の消費力を刺激したと思われる。ブランド認知度では、県レベル市・県では伝統企業に対する認知度が高い。なお、実店舗が普及していない地域の消費潜在力をネットショッピングが刺激することにより、地方経済の成長を促進することができる。また、小売りの遅れている地域の流通ネットワークを補てんすることも可能となる」(観察者網)

(柯隆 編集)