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Home  > 連載・中国展望 (特任教授 柯隆)  > 2014年  > 第2回 日本企業にとってのチャイナリスク(7月3日)

第2回 日本企業にとってのチャイナリスク(7月3日)

日本企業は予想以上に早い段階で中国に進出してきた。しかし、日本企業の中国ビジネスは必ずしも成功しているわけではない。中国で商品・製品を作りそれを欧米諸国に輸出する、いわゆる再輸出型の日本企業はそれなりに利益を実現し成功している。金融危機以降、欧米諸国への輸出が難しくなり、中国国内で販売する日本企業は予想以上に苦戦している。

長い間、日本企業が経営難に陥った口実として中国政府の勝手な政策変更や知財権の侵害などがあげられてきた。しかし、こうしたチャイナリスクは日本企業にのみ向けられるものではなく、中国に進出しているすべての外資系企業が直面するリスクである。日本企業がそのリスクをきちんと管理できなかった原因はやはり日本企業自身にあるといえる。

日本企業と比較して好対照となるのは韓国企業である。実は、韓国企業の中国進出は日本企業に比して10年以上も遅れた。なぜならば、韓国が中国と国交を樹立したのは1992年のことであり、それまで韓国企業は中国に進出できなかった。韓国企業の中国ビジネスを日本企業と比較して、一番違うのはなんといってもその本気度である。韓国企業は中国進出当初から明確なビジョンを示し、現地での生産体制を強化するために研究・開発も現地化した。同時に、中国での販売を強化する目的で中国人消費者ターゲットへのアクセスに取り組んできた。

中国でもっとも成功した韓国企業といえば、サムスン電子である。2013年、サムスン電子の中国での売上ははじめて本土ビジネスの売り上げを上回り、40兆1,512億ウォン(約4兆円)に達した(参考:本土ビジネスの売り上げ22兆7,833億ウォン、約2兆2,700億円)。

それに対して、かつて中国を制覇した日本企業は中国でほぼ完全に敗北した。2012年、ソニーの中国での売上は4,500億円程度だった。日本企業の敗北を中国人の反日感情によるものと指摘する論者がいるが、これは低レベルの言い訳に過ぎない。日本企業の多くは中国を単なる生産基地とのみ位置づけして未だにそのメンタリティから脱出することができていない。

それに加えて、日本企業がその優れた技術力の上にあぐらをかいていることが業績不振をもたらす原因の一つである。すなわち、販売力の弱い日本企業はその優れた技術力を中国人消費者に周知させることができなかった。たとえば、韓国製品と比較して、それを上回る日本製品の価格差を中国人消費者が負担してもいいと思うぐらいの技術力のギャップが認められていない。問題は、それでも日本企業は自らの姿勢と戦略を変えていないということにある。

日本企業にとりこれからの中国ビジネスはますます厳しくなる。実は、中国経済が成長すればするほど新規参入者が増えてくる。そして、中国はとっくに外貨不足を解消し、地場企業の技術レベルも向上している。日本をはじめとする外資系企業はこれまで享受してきた優遇政策を失いつつある。最近の中国政府の外資誘致姿勢はこれまでの「招商引資」から「招商選資」(外資を選別して受け入れる)に替わっている。日本企業はその筋肉質のような経営管理体制を改革しなければ、中国から退出させられる日は遠くないかもしれない。

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