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第24回 なぜ外国人は中国に爆買いに行かないのか(2月23日)

2016年、日本に観光に来た外国人は2400万人に上るといわれている。そのうち、中国人の観光客は600万人だった。それに対して、中国に入国した外国人(台湾、香港とマカオ出身者が含まれない)は2500万人であり、うち、観光が目的で中国を訪れた外国人は800万人余りだった。日本が受け入れた外国人観光客の3分の1程度である。

中国には、決して観光資源がないわけではない。なぜ外国人観光客は中国に行かないのだろうか。

中国は景気が減速するなかで、輸出と投資依存の経済から、消費依存の経済に構造転換を図っているが、観光サービス業は消費を振興し、雇用創出にも貢献する。中国の旅行会社に訪ねると、外国人観光客を受け入れるビジネスが少なく、売り上げのほとんどは中国人観光客の外国旅行によるものといわれている。

そもそも、観光サービス業はどのようなビジネスだろうか。

観光の目的は人によって異なるが、食を楽しむ人、文化を楽しむ人、ゆっくり休養する人、それぞれである。中華料理は、世界でもっともポピュラーな料理である。しかし、近年、食材の残留農薬の問題が報道され、食の安全性問題が取り沙汰されている。中国では、安心して中華料理を楽しめないのが現実であろう。

そして、文化財については、観光地に行くと、至るところで高額の入場料が取られている。入場料を取ってはいけないところでも、観光地を管理する政府機関または会社が提供する車に乗らなければならず、その車代が高いケースがある。要するに、観光客にとり、金の徴収が過大になされているため、不愉快な思いをし、二度と訪れない人が増えているということである。

振り返れば、1980年代、当時、中国の観光サービス業にとり、交通手段が整備されず、外国人観光客が利用できるホテルが少なかったことがボトルネックだった。今、中国には、空港、高速鉄道、高級ホテルなどのインフラは先進国に負けないぐらい整備されている。

そして、1980年代、中国で買い物を楽しめるのは掛け軸や印鑑といった記念品しかなかった。今、中国は世界の工場であり、品質の優れた商品を世界へ輸出している。しかし、中国国内の店を覗いてみると、品質もデザインも普通だが、値段は世界一流のものがほとんどである。ゆえに、中国人は中国国内で買い物せず、日本などへ来て、買い物しているのである。

本来なら洋服やカバンなどの商品は、生産地(中国)で買ったほうが日本やフランスなどに比べ、輸送費がかからないため、安いはずである。しかし、同じブランドのものは中国よりも、海外で買うほうが遥かに安い。

一言でいえば、外国人観光客にとり、中国観光は食も買い物も楽しめないから、中国に行く人が減っているのである。そのうえ、近年、大気汚染などの環境破壊が深刻化しており、外国人観光客のみならず、ビジネスマンも中国を敬遠するようになった。

観光サービス業は、文化産業であり、環境産業でもある。中国は文化が衰退し、環境が破壊されている。これまでの40年間、経済発展に取り組んできたが、モノづくりの製造業は、人件費などの上昇により、発展が難しくなっている。一方の観光サービス業も発展が遅れている。中国経済はこれからどのようにして成長していくのだろうか。

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