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第26回 米中首脳会談―同床異夢の米中関係の行方(4月4日)

世界は米中の首脳会談に注目している。それは中国の習近平国家主席がトランプ大統領に何を表明するかよりも、トランプ大統領が中国に何を求めるかに注目が集まっている。なぜならば、トランプ大統領は選挙のときに公約した政策のほとんどを実行に移していないからである。

しかし、首脳会談はまだ開かれていないが、トランプ大統領はツイッターで「(会談が)たいへん厳しいものになるだろう」と弱気とも取れる発言をつぶやいた。

経済について、トランプ大統領は、中国を為替操作国に指定し、米中の貿易不均衡の是正を求めることを意気込んでいた。これに対して、習近平国家主席は静観の態度のようだ。中国の対米貿易は依然大きな黒字を記録しているが、国際貿易全体でみると、輸出が大きく落ち込んでいる。米中の人件費の格差から、アメリカが中国からの輸入を停止し、自国で生産するのは非現実的である。

したがって、米中首脳会談で貿易不均衡を是正する奇策を導き出すことはほとんど不可能である。中国としては、ボーイングの飛行機を追加発注する以外に、中国企業による対米投資の増額を表明する可能性が高い。しかし、ボーイングの飛行機の追加発注はトランプ大統領にとり魅力的なプレゼントとなるが、中国企業による投資の増額はアメリカとして素直に喜べないかもしれない。

今まで、米中の間で中国企業による知的財産権の侵害は大きな問題となった。そのほとんどはいまだに解決されていない。とくに、中国の国有企業による対米投資の増額は、普通のアメリカ人からみると、脅威となりうる。したがって、経済問題の解決をめぐる会談はほとんど成果が期待できない。

それ以外の問題について、習近平国家主席はトランプ大統領に米中が国交回復したときの約束を確認したいはずである。それは、台湾は中国の一部分であること、中国の内政に干渉しないことなどである。というのは、トランプ大統領は選挙のときに、「われわれは一つの中国の原則に縛られない」と発言したからである。

トランプ大統領は就任後の言動をみるかぎり、一つの中国の原則に縛られないという発言は台湾を独立国家と認めるのではなく、貿易不均衡を是正するために中国の譲歩を引き出す戦略だった可能性がある。したがって、台湾問題についてトランプ大統領はあっさりと習近平国家主席の要求を丸呑みする可能性が高い。

それに対して、習近平国家主席はトランプ大統領に何もプレゼントしないわけにはいかない。おそらく今回の米中首脳会談でもっとも意見が共有しやすいのは北朝鮮の問題であろう。中国としては、アメリカが韓国でサード(ミサイル防衛システム)を配置することに猛反対である。しかし、北朝鮮は核実験やミサイルの発射を止める気配はない。というのは、中国が真剣に北朝鮮を制裁していないからとみられている。

習近平国家主席はトランプ大統領に対して、サードの配置の凍結を求めるとともに、北朝鮮に対する制裁をきちんと実行すると表明するだろう。米軍はすでにサードの配置を始めているが、一時的にその運用を凍結することができる。こうしてみれば、トランプ大統領が予言したとおり、米中首脳会談はたいへん厳しいものになるだろう。

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