4月分
ニュース:米議会議事堂正面にジャイロコプター着陸
15日午後、飛行禁止区域である米議会議事堂の西側正面にジャイロコプターが着陸し、操縦していた男が逮捕された。連邦航空局も、米国の防空を担う北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)も、このジャイロコプターを探知しておらず、低速の航空機が侵入した場合に阻止するために待機している沿岸警備隊のMH-65ヘリコプターに出動が命令されることはなかった。(2015年4月15日)
ニュース:DOD、サイバー戦略を改訂
サイバー空間における米国防総省の活動の指針となる新しいサイバー戦略が来週にも公表される予定であることが、国防総省高官の議会証言で明らかになった。カーター国防長官が指揮を執り進めてきたもので、ネットワークに高度に依存している国防総省が、セキュリティを向上させるための指針となる。(2015年4月15日)
ニュース:America’s PrepareAthon! 4月30日に開催
FEMA主導の災害に対する草の根啓蒙活動であるAmerica’s PrepareAthon!が4月30日に開催される。すべての連邦機関、州政府、自治体、民間部門が参加して行われ、災害の中でも地震、洪水、ハリケーン、竜巻、山林火災、雪嵐の6つを重点に準備を呼びかける。自分の地元ではどのような災害が起きうるのか、安全を保ち被害を最小限に抑えるためにはなにをすべきか、地域社会の復興計画への参加など、災害に対する準備体制と意識を高めるためのキャンペーンが行われる。(2015年4月15日)
ニュース:FRB、緊急時に備えNY市場外の職員を増員
ニューヨーク連邦準備銀行は利上げを間近に控え、自然災害やその他の事故で市場業務が停止することを警戒して、シカゴのサテライトオフィスの職員を増員した。この増員により、シカゴからでもニューヨーク連銀の日常業務のすべてを取り扱うことが可能になったとロイター通信は報じた。(2015年4月14日)
ニュース:SCADAへの攻撃が倍増―デル報告書
コンピュータ会社のデルが発表した研究報告書によると、増え続けるサイバー攻撃に対抗するために企業や組織はITセキュリティを強化しているものの、発電所や石油精製施設など工業施設へのサイバー攻撃は昨年1年間に倍増したという。リモート監視・制御システムであるSCADAへの攻撃が2013年から2014年の間に2倍以上に増えており、政治的目的が強く感じられるという。デルの報告書は下記のリンクから入手可能。(2015年4月13日)
掲載元へのリンク
掲載元へのリンク
ニュース:カリフォルニア州で大規模な実動訓練
カリフォルニア州兵、警察、消防など200人が参加して、放射能汚染爆弾を検知し、安全に取り除く訓練がリッチモンド消防訓練センターで行われた。インシデント発生の際に各組織が連携して除染、爆発物処理、緊急医療などを行うことが訓練の焦点となった。(2015年4月11日)
ニュース:首都ワシントンで停電
7日午後、米首都ワシントンで停電が発生し、博物館、駅、国務省、国防総省も電源を失った。ホワイトハウスと米議会議事堂も停電したが、復旧するまで自家発電機を作動させた。原因はメリーランド州の発電所で起きた爆発であり、外部からの攻撃によるものではないというが、首都ワシントンの電力網の脆弱性がまた明らかにされる形となった。(2015年4月7日)
ニュース:生物化学兵器攻撃への対応に関する有識者会議開催
米国内における生物化学兵器攻撃への対応と復旧に関する有識者会議(Blue Ribbon Study Panel on Biodefense)が4月1日に第4回会合を開き、攻撃を受けた場合は連邦政府のどの部署が対応を主導するのかを明確にする必要などが議論された。対策強化を提言する報告書の発行を初夏に予定している。(2015年4月6日)
ニュース:米国緊急事態準備目標への意見を募集
連邦緊急事態管理庁(FEMA)は、米国緊急事態準備目標を改訂中であり、草稿を公表して一般から意見を募ることを発表した。意見の提出期限は4月16日で、草稿は下記のサイトに掲載されている。(2015年3月27日)
掲載元へのリンク
掲載元へのリンク
ニュース:米下院、地震早期警告システムへの予算を要請
来年度連邦政府予算案において、地震早期警報システムのため1,610万ドルを割り当てるよう、30人を超える米下院議員が要請した。現在は650万ドルの予算が割り当てられているが、カリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州で地震早期警報システムを設立するには3,830万ドル、運用には毎年1,610万ドルを要すると見積もられている。(2015年3月26日)
新技術情報:災害時に公開情報を地図上にリアルタイムで表示するアプリ
公開情報を可視化するアプリを製作するAppallicious社は、全米の各都市について、災害の被害状況をリアルタイムで地図上に示す災害評価支援ダッシュボード(DAAD)のベータ版を公開した。FEMAが承認したダッシュボードを通じて市民が支援を要請したり、初動要員が被害状況を更新したりすることが可能だ。(2015年4月17日)
掲載元へのリンク
掲載元へのリンク
新技術情報:再充電可能なアルミ電池
スタンフォード大学の科学者チームは、急速に充電でき、寿命が長く安価なアルミ電池の開発に成功した。アルカリ電池のように環境汚染源とならず、リチウムイオン電池のような発火の恐れもないことに加え、出力が衰えることなく7,500回以上の充電に耐えられるという。この研究の論文はネイチャー誌4月号にも掲載された。(2015年4月16日)
掲載元へのリンク
掲載元へのリンク
新技術情報:緊急時にCPRボランティアを募るアプリの活用広まる
災害時に心肺停止した人が多く、消防などの初動要員だけで救命できない場合、心肺蘇生法(CPR)の訓練を受けた市民にアラートを送信する携帯用アプリPulsePointが、米クリーブランド市などで活用され始めている。同市では昨年4,000人がこのアプリをダウンロードし、36人が緊急要請に応じて現場に駆けつけた。(2015年4月13日)
掲載元へのリンク
掲載元へのリンク
新技術情報:スマートフォンのネットワークを利用した地震早期警報システム
米国地質調査所を中心とした研究チームは、マグニチュード7以上の地震が発生した直後に、スマートフォンのネットワークを利用してアラートを送信するシステムを研究中である。数百、数千台のスマートフォンのセンサーを地震計として、クラウドソーシングによる地震早期警報システムを構築する。東南アジアやアフリカなど、大地震が起こる恐れがあるものの早期警報システムが存在しない地域で、特に有効になるのではないかと期待されている。(2015年4月10日)
掲載元へのリンク
掲載元へのリンク
新技術情報:NOAA、高潮シミュレータ試験を実施
米国海洋大気庁(NOAA)は、どのような高潮と被害が起こりうるのかを地域住民に可視化して知らせるシミュレータの実用試験を行っている。この高潮シミュレータは、高潮によって水位がどこまで上がるのかを、道路から見た光景という形で示す。サウスカロライナ州チャールストンで実用試験が行われており、利用者からのフィードバックを受けてシミュレータの改善を行う。(2015年4月7日)
出版情報:ヨーロッパ科学財団『極度の自然災害:災害リスクを減らし、回復力を高める』
高い頻度で起こる自然災害によって失われる生命やインフラや資産への被害は世界レベルで大きくなっている。極度な自然災害は起こる頻度は低いものの、一度起これば被害は甚大であり、世界的規模の災害を引き起こし、すでに問題を抱えているグローバル社会の持続可能性が困難になるほどの影響を引き起こしかねない。稀にしか発生せず我々が実際に経験する機会があまりないがために、災害リスク管理の中で無視されがちなメガ災害に備えて、より堅強なリスク管理、減災、復興、持続可能性計画が今後必要とされる。(2015年4月発行、66ページ)
掲載元へのリンク
掲載元へのリンク
出版情報:ホームランドセキュリティ・トゥデイ誌『ある病院はエボラ患者受け入れにどのように備えたか:適正な慣行と手続きは伝染病患者と接するスタッフを守る』
米海兵隊のCBRNE(化学・生物・放射性物質・核・爆発物)防護担当官が、エボラ出血熱患者受け入れに備えた病院スタッフの訓練プログラムの開発、訓練環境などについて寄稿。ワシントンD.C.首都圏のメドスター・ヘルス病院における2014年の事例。(イアン・プリート著、2014年4月発行)
掲載元へのリンク
掲載元へのリンク
出版情報:アメリカの健康に投資する:各州の公衆衛生に対する財政支出と主要な健康統計、2015年版
この10年近く、公衆衛生に対する財政支出はほとんど増えていない。病気予防や健康改善のための連邦政府の支出額は、州によって大きく異なる。州政府や自治体があらゆる災害に対応するための支援を提供する、公衆衛生緊急事態準備(PHEP)資金援助プログラムは、2004年度には5億1500万ドルであったのが、15年度には2億5500万ドルへと削減されている。また、災害時の医療ニーズの急激な高まりへの対応や、地域の病院の準備体制を向上させることを目的とする病院準備体制プログラム(HPP)への支出は、2004年度には5億1500万ドルであったのが、15年には2億5500万ドルへと5割以上削減されている。連邦政府・州政府・自治体の公衆衛生関連部署が、大量の死傷者を出すような事態に備えて基本的な対応能力を維持するためには、資金が不足している分野への支出を増やす必要がある。(トラスト・フォー・アメリカズ・ヘルス、2015年4月発行、20ページ)
掲載元へのリンク
掲載元へのリンク
出版情報:GAO報告書『航空管制:FAAには次世代航空交通管制システムに移行するにつれてサイバーセキュリティに取り組むためのより包括的なアプローチが必要である』
米連邦航空局(FAA)は2004年度から米航空交通管制システムの現代化を進めており、人工衛星など高度な技術を利用した航空交通管制システム(ATC) を取り入れている。ATCシステムはサイバーセキュリティ脅威モデルに基づいて開発されていないので、安全面の課題が多く残される。(2015年4月14日発行、56ページ)
掲載元へのリンク
掲載元へのリンク
出版情報:GAO報告書『核物質密輸と闘う:国土安全保障省の核物質検知技術の研究開発は強化可能である』
国土安全保障省の国内核物質検知部局(DNDO)の使命は、国内外の関係各所と協力して、核物質を用いたテロ攻撃に使用されうる物質の密輸を阻止・検知し、対応することにある。2008年度から13年度にかけて、DNDOは189の研究開発プロジェクトを開始しており、各プロジェクトの成果を評価する何らかの方法をとってはいるが、プロジェクトの成果がDNDOの目標課題への取り組みに総合的に貢献するか否かを評価するための系統的アプローチを有していない。(2015年4月6日発行、42ページ)
掲載元へのリンク
掲載元へのリンク
出版情報:米国科学アカデミー出版『災害後の健康で回復力に富み持続可能な地域社会:復興のための戦略、機会、計画』
大災害後にはインフラの再建、医療や社会福祉サービスの提供といった復興支援を行うために、複数のセクターが団結して事に当たる必要がある。しかし、米国には災害前の状態に戻るだけでは十分ではない、元々、経済的にも社会的にも不健全な状態にある地域社会が多々存在する。災害復興プロセスは現状を改善することが可能な、特異で貴重な機会を提供するものであるということを理解することが重要である。こうした機会を利用することが地域社会の長期的な健全性を向上させるうえで重要である。(2015年4月発行、600ページ)
掲載元へのリンク
掲載元へのリンク
出版情報:全米科学アカデミー医学研究所『医療支援のための広域災害対応コーディネーション:ワークショップ要約』
同じ広域圏内にある隣接した地域社会は、災害に対する脆弱性が似通っているので、共通の目標に向けて共同作業を行えるよう、責務と能力を配分する計画が必要である。その可能性を探るため、米国科学アカデミー医学研究所は2014年に3回のワークショップを開催し、広域大規模災害に対応するための地域社会の調整能力を高めるための方法を話し合った。(2015年4月発行、120ページ)
掲載元へのリンク
掲載元へのリンク
出版情報:GAO報告書『国土安全保障:連邦政府施設におけるセキュリティ向上対策の費用対効果を計るための方法が必要である』
2001年の同時多発テロ以降、米連邦政府施設のセキュリティを強化するため、爆風に耐える強化ガラス、建物外に置く防御ブロックなどの設置、警備員の増強といった対策がとられてきた。こうした強化策の費用はかなりの額にのぼるが、政府全体のデータが存在しないため、総額は不明である。セキュリティ向上のための投資の費用対効果を計るメカニズムなしには、各省庁はそうした投資が費用を正当化するものであるかどうか、テロ攻撃に対する脆弱性をどれほど減少させる効果があったのかを評価する方法を持たない。(2015年4月2日発行、43ページ)
掲載元へのリンク
掲載元へのリンク