7月分
ニュース:経鼻ワクチンに長期の効果か
コロンビア大学医療センターの新しい研究結果から、経鼻インフルエンザ・ワクチンに、インフルエンザ・ウイルスに対する長期的な免疫効果がある可能性が指摘された。経鼻インフルエンザ・ワクチンFluMistをマウスに噴霧したところ、肺の内部でT細胞が作られ、ワクチンが対応しているタイプ以外の様々な菌株のインフルエンザに対して、長期的な免疫効果をもたらすことが判明した。T細胞はヒトがインフルエンザに感染することを完全に防ぐわけではないが、ウイルスを体内からより早期に除去し、インフルエンザの悪化を防ぐ効果が見込まれるという。(2016年7月18日)
ニュース:ルイジアナ州で警官銃撃、3名死亡
ルイジアナ州バトンルージュで、高速道路沿いの商業施設に突撃銃を持った男がいるとの通報を受け、警察が出動したところ、男がいきなり発砲して銃撃戦となり、警官3人と犯人が死亡した。犯人は29歳の黒人男性の元海兵隊員。黒人が抑圧されている、革命を起こすべきだなどといったメッセージをインターネット上で発信しており、警察が犯行動機を調べている。(2016年7月18日)
ニュース:トルコでクーデター未遂
15日、トルコ軍の一部がクーデターを試みたが、およそ半日後に政府側が鎮圧に成功し未遂に終わった。これによりクーデター参画者100人以上、市民や警察官など161人、合わせて265人以上が死亡した。事件後、エルドアン政権はクーデターに関わっていたとみる人物・集団に対し大規模な粛清に乗り出している。(2016年7月16日)
ニュース:米下院、国土安全保障関連法案4本を可決
米下院は7月14日までに、国土安全保障のための法案4本を可決した。H.R. 4404は国土安全保障省に、テロ組織への参加・支援を目的とする米国からの出国および外国から米国へのテロリストの入国を取り締まる能力の演習を義務付ける。H.R. 4785は、同省の管理担当次官に、車両の管理の改善を指示する。H.R. 5385は、『4年毎の国土安全保障見直し』の内容と手順の改善を目的としている。H.R. 5056は、空港の境界や立入制限区域の出入口における保安上のリスクの評価を更新するよう、運輸保安庁長官に指示する。(2016年7月14日)
ニュース:ニースでトラックによるテロ、84人死亡
14日午後10時半頃、フランス南部のリゾート都市ニースで、革命記念日の花火見物などのために集まった群衆に大型トラックが突入、およそ2キロにわたって蛇行して人々をはねながら走行を続け、犯人1人のほか少なくとも85人が死亡、52人が重体となっている。犯人はニース在住のチュニジアとフランスの二重国籍の男。警察はかねてから軽微な刑事事件の常習犯として知ってはいたが、テロ組織との関わりは把握していなかったという。(2016年7月14日)
ニュース:米国の上半期の災害被害額は131億ドル以上
米国海洋大気庁(NOAA)の分析によると、米国では2016年上半期だけで8件の大きな自然災害があり、30人が死亡、131億ドル以上の損害を受けたという。被害額が10億ドルを超える大災害が、上半期だけでこれだけ頻発したのは初めてだという。(2016年7月11日)
ニュース:ダラスで警官が銃撃され5人死亡
7日、アフリカ系アメリカ人(黒人)に対する警察の不当な暴力への抗議デモが行われていたテキサス州ダラスで、警察官が狙撃され、警官5人が死亡、民間人を含む11人が負傷し、米史上最悪の警官銃撃事件となった。犯人は現場付近のコミュニティ・カレッジ校舎に立てこもり、8日未明になっても白人警官を殺害したいと言い続け、投降する見込みがなかったので、警察は爆薬を搭載したロボットを差し向けて犯人を爆殺した。犯人は25歳の黒人男性で、陸軍予備役兵だった。(2016年7月8日)
ニュース:バングラデシュ人質テロ事件―日本人7人殺害
バングラデシュの首都ダッカで7月2日、ラマダン最後の金曜の夜の賑わいの中、外国人客が多く訪れる大使館街のレストランを、武装集団が襲撃した。武装集団は人質をとり、12時間後に警察が現場を制圧するまでに人質20人(17人が外国人、うち7人が日本人)、警察官2人、犯人5人が死亡した。現場で殺害または逮捕された犯人6人は全員がバングラデシュ人で、同国では非合法化のイスラム過激派組織ジャマートゥル・ムジャヒディン・バングラデシュのメンバーだが、比較的裕福な家庭の出身で高等教育を受けた若者たちだった。(2016年7月2日)
ニュース:イスタンブールの国際空港で自爆テロ
6月28日夜、トルコのイスタンブールにあるアタチュルク国際空港のロビー入口付近で銃乱射と爆発があり、45人が死亡、236人が負傷した(犯人を除く)。犯人は3人で、AK-47自動小銃を乱射した後に自爆したという。犯人はロシア、ウズベキスタン、キルギスの出身で、背後にはISの関与が疑われる。(2016年6月29日)
ニュース:緊急時テキストメッセージが注目集める
フロリダ州オーランドのナイトクラブ乱射事件をきっかけに、警察の緊急番号に音声電話ではなくテキストメッセージを送ることができるシステムの必要性が、注目を集めている。オーランドの事件では、銃乱射犯の注意を引いてしまうことを恐れて、携帯電話から警察への通報ができなかった被害者が多く出た。チャールズ・シューマー上院議員(民主党・ニューヨーク州)は、市民が緊急番号にテキストメッセージを送ることを可能にするよう、連邦通信委員会がに要請していると述べた。(2016年6月26日)
ニュース:米疾病予防管理センターに未報告の事故
米疾病予防管理センター(CDC)は、生物テロに使用される恐れのある病原菌を2007年から2011年1月の間に不適切に取扱ったケースのうち、34件が手違いで未報告のままであったことを明らかにした。未報告事故の大半はCDCのコロラド州フォートコリンズの研究所で起きた。2年前にCDCアトランタ研究所における炭疽菌の不適切な取扱いによる事故を受けて、米下院エネルギー商業委員会が報告を求めた際に、CDCは誤ってアトランタ研究所の事故のみを報告したという。研究所での事故を報告する全米的な体制が整っていないため、リスク評価や安全状況の分析や情報共有ができていないという構造的問題がうかがえる。(2016年6月24日)
ニュース:米連邦航空局の小型ドローン規制の内容
米連邦航空局(FAA)が小型ドローン(無人航空機)の商用利用を初めて認め、規制の内容を発表した。最大重量55ポンド(24.9キログラム)、最高時速100マイル(160キロ)、最大高度400フィート、飛行範囲は操縦者の見通し線内、飛行時間帯は日中のみ(以上の制限は免除もありうる)。操縦に必要な遠隔操縦士認証を受けるためには、16歳以上で、FAA認定試験場で航空基礎知識の試験に合格し(有人機操縦士はオンライン受講可能)、運輸保安庁(TSA)の身元調査に合格しなければならない。を認証を受けている人の監督下で操縦することが要求される。この規制(連邦規則集14巻107条)は8月29日に施行される。(2016年6月21日)
新技術情報:ヤシの実にヒントを得た耐震建築研究
高さ30メートルの木から落ちたヤシの実はなぜ割れないのか。こんな疑問に端を発した、耐震建築の研究がドイツのフライブルグ大学で行われている。今までの研究で、主に木化した石細胞でできているヤシの実の内果皮層内には、特徴的なはしご状の維管束のシステムを型作る導管があり、亀裂偏向を通じてエネルギーを分散させることで、全体に亀裂が入らないようにしているようだという。傾斜機能材料コンクリート内の織物繊維の配列にこの内果皮の働きを適用すれば亀裂偏向が可能になり、地震や落石などの天災と人災から建築物を守ることができるのではないかと、研究者は考えている。(2016年7月8日)
新技術情報:ジカ熱の判定を1回2ドルで行う
ペンシルバニア大学の研究者が、信頼性が高く安価で迅速なジカ熱ウイルスの判定法を開発した。3Dプリンターで製作したカートリッジに試薬を載せて、ジカ熱ウイルスの遺伝物質を探すので、抗体を用いて判定を行う方法よりも誤判定が少ないという。温度を制御するために電気ではなく化学反応でカップを温める。1回の検査に2ドルしかかからない。(2016年7月5日)
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新技術情報:新型の無人走行車
Leica Geosystems社とMilrem社はこのほど、無人走行車ペガサスの新バージョンを共同で発表した。世界初のオフロード走行可能な無人車だという。雪上や砂場といった足場の悪いところでも走行が可能で、レーザースキャナーと衛星システムセンサーを用いて正確な位置情報を得る。人が近づくのが危険な区域での利用や、事前に組み込んだプログラム通りのルートを走って監視を行うなどの利用が期待される。(2016年6月22日)
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新技術情報:片側からしか反対側が見えない、暴動鎮圧用の盾
暴動鎮圧にあたる警察官はライオットシールドと呼ばれる透明のプラスチックの盾を持つが、透明の盾では暴徒から警察の動きが丸見えなうえに、暴徒が盾越しに警察官と目を合わせることができるので、精神的な負担も大きい。この問題を解決するために、警備にあたる警官の側からは向こう側の暴徒を透視できるが、暴徒の側からは向こう側の警官を透視できない盾を、イギリスのノッティンガム大学の学生が開発した。盾は細かい孔の開いた明暗二層のビニールでコーティングされており、暴徒側の目は白い表面の光の反射に注目するので盾の向こう側を認識できないが、警官の側は、孔から入ってくる光を通して反対側をはっきり見ることができる。この効果は人の目が視覚を処理するしくみに基づいているので、周りの明るさの影響は受けないという。(2016年6月16日)
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出版情報他:GAO報告書「重要インフラ保護: 化学施設関係者から内部告発を受け付ける国土安全保障省の手順には改善が必要」
国土安全保障省は、全米の化学インフラのリスク評価および保護を目的として化学施設対テロ基準(CFATS)を定めている。化学施設がCFATSを遵守していない場合、の職員や契約業者は同省に内部告発報告書を提出することで、執行と遵守を手助けすることができる。GAOでは2015年6月16日から16年4月19日までに受理された内部告発者による報告書の数、種類、同省の対応を評価した。(2016年7月12日発行、49ページ)
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出版情報他:GAO報告書「国土安全保障省は重要インフラ評価の改善に進歩を見せたが、さらなる改善が必要」
米国土安全保障省は政府監査院(GAO)の勧告に従って重要インフラの脆弱性評価手法の改善に努めており、進歩が見られるが、脆弱性を評価すべき分野など評価に関する指針の必要性、同省内の調整の欠如のために起こっている評価の不必要な繰り返しといった課題が、まだ残っている。(2016年7月12日発行、21ページ)
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出版情報他:テロおよび国土安全保障に関するトライアングル・センター警察管理職研究フォーラム「暴力的な過激思想を防止するために、コミュニティの警察力を生かすための慣行」
デューク大学警察管理職研究フォーラムとノースカロライナ大学による2年間の研究成果。政治思想に動機付けられた暴力行為を防止するために、全米の警察が用いている慣行で役立つものを特定すると同時に、警察とアメリカ人イスラム教徒の関係に焦点を当てながら、地域社会に暴力行為予防への参加を促すうえでの、地域社会の警察に対する信頼の欠如などの問題点を見直す。(トライアングル・センターのトライアングル=三角地帯とは、デューク大学、ノースカロライナ大学チャペルヒル校、ノースカロライナ州立大学からなる同州中部の学術都市圏。)(2016年7月発行、エリザベス・ミラー、ジェシカ・トリヴァー、デビッド・シャンザー著、39ページ)
掲載元へのリンク(PDF:306KB)
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出版情報他:米議会調査部「初動要員ネットワーク(FirstNet)および公共安全のための次世代通信機能:議会の課題」
2012年2月22日に成立した米国公法112-96(合衆国法典第47編第1424条)は、FirstNetが「商務省電気通信情報局内の独立した機関」であることと、パートナーシップや州、連邦政府の参加のための条件を明確にし、法令と実務の面からの必要条件を定めている。全米規模のネットワークを構築し運営するための企画案の提出期限は2016年5月31日であり、早ければ2016年11月にも、FirstNet構築の契約を請け負う業者が決まる。契約請負先が決定しネットワークが運用可能となれば、2012年に議会が決定した目標にFirstNetの運用が適っているかどうかを評価する必要がでてくる。議会は両院での公聴会を定期的に行うことでFirstNetの開発と運用に注意を払う必要がある。(2016年6月17日発行、リンダ・ムーア著、29ページ)
掲載元へのリンク(PDF:794KB)
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出版情報他:米国土安全保障省 沿岸部災害回復力センター「災害復興における州の役割」
大規模災害からの復興に責務を担う州職員、州復興機関の指導者、州知事の役割に焦点をあて、災害復興における州政府の役割を解説明する。下記サイト上のビデオでは、1999年のハリケーン・フロイド、2005年のハリケーン・カトリナという2回の大災害を経験したノースカロライナ州とミシシッピ州の州政府当局者が、復興の経験を語っている。(2016年6月15日公表)
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