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ニュース:WHO、欧州での麻しん増加に懸念
世界保健機関(WHO)は、麻しんの罹患が欧州で増加していることに警鐘を鳴らした。2016年、欧州における麻しんの罹患数は5273件で過去最低となったが、翌17年には2万1315件へと跳ね上がり、死者も35人に上った。罹患者数が特に多かったのはルーマニア、イタリア、ウクライナなど。特定の社会層で予防接種をためらう傾向があることや、予防接種の供給量が十分でなかった時期があることなどが原因として指摘されている。米国では2017年、麻しんの罹患例は118件しか報告されていない。(2018年2月20日)
ニュース:FEMAが緊急事態専門家の講演を配信
米連邦緊急事態管理庁(FEMA)は他の危機管理組織と協力して、専門家の講演と質疑応答のビデオをFEMAのサイトで視聴できるようにしたPrepTalksの配信を開始した。緊急事態に管理者が直面する問題への新たな視点の導入や議論の活発化を目指し、感染症、災害被災者の教訓、減災、災害復興における社会資本の重要性といったトピックを取り上げる予定。第1回の講演は2月13日、デニス・ミレティ博士の「公共警告メッセージ」で、公衆が適切な行動をとることを促すような警報の設計や伝達方法について、2回目は20日に「次なる感染蔓延―歴史に学ぶ」と題して過去のインフルエンザ流行から学ぶ対処法について、講演が公開された。(2018年2月20日)
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ニュース:米政府の契約業者にサイバーセキュリティの欠陥
サイバーセキュリティ会社のBitSight社は、米政府の医療・保健部門の契約業者の8パーセント超、航空宇宙・軍需部門の契約業者の5.6パーセントが2016年以後に情報流出を報告しており、技術部門および航空宇宙・軍需部門の契約業者社員の5人に1人が旧式のインターネットブラウザを使用していると発表した。2017年には信用調査会社・エクイファクスから大量のデータが流出した結果、FEMA(連邦緊急事態管理庁)に20万件以上の虚偽の災害給付金申請が行われるなど、民間企業からのデータ流出が米政府省庁に影響を及ぼし、事態を複雑化させている実態を報告している。(2018年2月16日)
ニュース:フロリダの高校で銃乱射、17人死亡
フロリダ州南東部パークランド市のマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で2月14日午後、半自動小銃を持った男が侵入、火災報知機を作動させて生徒・教職員をおびき出した後、生徒14人、教職員3人を射殺、16人を負傷させた。犯人は同校の元生徒で、犯行後は避難する生徒に紛れて脱出し、その後、自宅方面へ歩いているところを逮捕された。(2018年2月14日)
ニュース:米情報機関がファーウェイ、ZTEに懸念表明
CIA(中央情報局)、FBI(連邦捜査局)、NSA(国家安全保障局)などの米国の6つの情報機関の責任者は、上院情報委員会で証言し、米国民は中国のスマートフォンメーカー・ファーウェイ(華為技術)と通信機器メーカーのZTE(中興通訊)の製品とサービスを使用すべきでないとの見方を示した。中国政府が米国の通信インフラを通じて秘密裏に情報への不正アクセスや改竄を行う可能性があるとしている。(2018年2月13日)
ニュース:米政府の来年度国防予算案は6850億ドル
米政府は2月12日、国防予算案を議会に提出した。2019年度(18年10月-19年9月)では6860億ドル(74.5兆円)と、前年度比12パーセント増となっている。エネルギ―省予算に含まれる核兵器関連予算を加えた総額は7160億ドル。兵器調達に1443億ドル(18年度比15.3パーセント増)、研究開発・試験・評価に924億ドル(同23.9パーセント増)、米軍の数万人規模の増員などが盛り込まれている。その一方で、デビッド・ノーキスト国防次官(会計監査担当)は、近年の予算制限の結果として即応体制・メンテナンス・近代化の予算不足4060億ドルが累積しており、インフレも考えると予算増加とはいえないと主張している。(2018年2月12日)
ニュース:ファンシーベア、防衛業務従事者のメールに不正アクセス
ロシアのハッカー集団ファンシーベアが、軍用無人航空機、ミサイル、ロケット、ステルス戦闘機などの製造に携わる大小の軍需企業社員87人以上に対し、メールアカウントへの不正アクセスを試み、一部の対象者については成功していたことがAP通信の調査で判明した。対象者のうち40人は、ハッカーからのフィッシングメールのリンクをクリックしていたという。(2018年2月8日)
ニュース:米国務省内にサイバー部局設置
ティラーソン米国務長官は、国務省内に「サイバー空間・デジタル経済局」を設置することを発表した。新たな部局は省内のサイバー問題調整官室と経済局の国際通信・情報政策室を統合する形で発足し、国際的なサイバーセキュリティ上の優先事項について外国政府との調整に従事するという。ティラーソン長官の就任後、独立したスタッフと権限を持っていた国務省内のサイバーセキュリティ調整官室は縮小され、外国政府との連携が重要な国境を越えたサイバー問題に国務省が積極的に関与しないことに対して、共和・民主両党から不満が表明されていた。(2018年2月7日)
ニュース:災害支援を担う業者のFEMAによる選定に不備
災害被災者支援業務を行う能力のある業者を、米連邦緊急事態管理庁(FEMA)があらかじめ選定していないために、迅速な支援をできていなかったり、契約が履行されなかったりしている実態がまた明らかになった。2017年9月のハリケーン・マリアで壊滅的な被害を受けたプエルトリコに、食糧を供給する1.56億ドルの契約を結んだ業者が、実際には従業員1人の企業で契約を履行する能力もなかったので、契約された3000万食が提供されなかったことをニューヨークタイムズ紙が報じた。昨年11月28日にはAP通信が、プエルトリコの被災者に防水シートとブルーシートを届ける3000万ドルの契約をFEMAと結んだ業者が、契約した資材を全く提供せず、4週間後に契約を打ち切られたという事実を明らかにしている。(2018年2月7日)
ニュース:米国土安全保障省職員が内部文書を旅客機に置き忘れる
米CNNテレビの社員が旅客機に乗った際、「FOUO(私用禁止)」「国家安全保障上重要」と記された2017年12月付の国土安全保障省内部文書と、同省の生物テロ対策事業「バイオウオッチ」に勤務する科学者の搭乗券が、シートポケットに残されているのを見つけた。文書は今年2月4日のスーパーボウルが炭疽菌で攻撃されることを想定して、昨年7月と11月にバイオウオッチが実施した演習の事後報告書案で、演習で指摘された問題点や課題を記していた。CNNはスーパーボウルの終了を待ってこの事実を報道した。(2017年2月5日)
ニュース:米国でまた列車事故、2人死亡
ニューヨーク発マイアミ行きのアムトラック(全米鉄道旅客公社)の列車米サウスカロライナ州で側線に誤進入し、停車中の貨物列車に追突、運転手と機関士の2人が死亡、100人以上が負傷した。列車の進路が誤って側線へ切り替えられた場所は、貨物鉄道大手CSX社が所有・制御する区間で、進路が切り替えられた原因は現在調査中である。米国では昨年12月18日にシアトルで脱線事故により3人が死亡、今年1月31日にはバージニア州で踏切事故により1人が死亡するなど短期間で列車事故が相次いでおり、鉄道安全に懸念が表明されている。(2018年2月4日)
ニュース:FCC、アラート配信に地理的正確性を要求
米連邦通信委員会(FCC)は、無線緊急警報(WEA)システムに参加するインターネット接続事業者に対して、緊急事態の発生によって直接影響を受ける地域に対象を限って、より的確に警報を配信するよう求めることを決定した。2019年11月以降、接続事業者各社は、緊急事態の影響を直接受ける地域から誤差10分の1マイル(約160メートル)以内に限って警報を配信することと、警報配信後24時間は利用者が警報の内容を携帯電話で再確認できるようにすることを義務付けられる。(2018年2月2日)
ニュース:米東部で踏切事故、1人死亡
1月31日、米議会の共和党議員と家族を乗せてワシントンD.C.からウエストバージニア州の保養施設へ向かっていたアムトラック(全米鉄道旅客公社)のチャーター列車が、バージニア州の踏切でごみ収集車に衝突し、収集車に乗っていた男性1人が死亡した。収集車に乗っていて重傷を負った2人を含め、6人が負傷した。(2018年2月1日)
ニュース:気候変動がもたらすリスクを米国防総省が調査
1月26日、国防総省取得・技術・兵站担当次官室は、世界中の米軍のインフラに気候変動がもたらすリスクに関する大規模な調査の結果を公表した。評価には脆弱性に伴う費用の見積は含まれていないが、国内外の軍事施設のおよそ半数が、高潮による洪水被害、極端な高温・低温、強風、干ばつ、森林火災による被害を報告している。気候変動が加速する中、軍事施設の脆弱性は今後とも高まり続けると考えられる。(2018年1月26日)
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技術研究情報:減災計画の実効性調査―テキサスA&M大学
テキサスA&M大学で都市計画を研究しているフィリップ・バーク教授は、メキシコ湾、米国東海岸および西海岸の沿岸の郡・市町村が導入している175の減災計画を、5年かけて精査した研究報告書を発表した。米沿岸部の自治体が災害の前後にFEMA(連邦緊急事態管理庁)の補助金を得るためには、こうした対策の導入を求められる。全米研究評議会は、災害の被害を受けやすいとされる土地の使用を避けることがもっとも効果的だと結論しているが、土地使用ガイドラインが用いられることは実際にはほとんどなく、堤防の建築・管理といった他の減災対策が強調されることが多いという。さらに、災害頻発区域にある貧困地区で住宅建設や経済開発政策を市町村が推進する場合が多く、減災対策を無視したこうした善意の都市政策が、結果的には貧困地区が繰り返し洪水などの被害を受ける負の連鎖に結びついていると指摘している。(2018年2月1日)
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出版情報他:GAO報告書「重要インフラ防護―サイバーセキュリティ枠組を導入しているかどうか評価するためには、さらなる対策が必要である」
16の重要インフラセクターのうち12は、NIST(米国立標準技術研究所)の「重要インフラサイバーセキュリティ向上のための枠組」を導入するための指針を策定している。また、各セクターの監督省庁(SSA)である合計9省が、国土安全保障省などと協力して枠組を見直すと同時に、必要があれば導入のための指針や資料を作成してセクター特有のリスクや運用環境に対処している。GAOは、同枠組の導入をさらに進めるための9つの推奨策を提案した。(2018年2月15日発行、51ページ)
掲載元へのリンク(PDFファイル7.53MB)
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出版情報他:GAO報告書「重要インフラ保護―電力供給者は電磁波リスクへの対策を講じ、さらなる研究を行っている」
太陽嵐や高高度核爆発は、ある条件の下で、電力網に損害を与え、広い地域に停電をもたらしうる。北米電力信頼性企業体(NERC)が定めた新基準は、米国とカナダの一部ので電力会社に対し、太陽嵐等に対する脆弱性を自己評価し、対策を講じる義務を課している。GAOは、この種の電磁波リスクを減らすために電力業界がとっている対策を調査し、規制基準や監視プロセスを検証した。(2018年2月7日公表、95ページ)
掲載元へのリンク(PDFファイル2.98MB)
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