5月分
ニュース:米国土安全保障省にテロ対策の新部局
米国土安全保障省のマクアリーナン長官代行は、省内に標的型暴力およびテロ抑止局を創設したと発表した。人種や宗教を動機とした標的型の暴力行為の抑止にテロ対策の範囲を広げ、資源をより効果的に活用、関係各所の調整を行い、州政府や自治体のニーズによりよく応えることが目的。(2019年5月19日)
ニュース:人気アプリにスパイウェア
依頼者からの注文を受けてハッキングを行う集団によって作成されたスパイウェアが、世界中で多くのユーザーを持つアプリのセキュリティ上の問題点を悪用し、遠隔操作で携帯電話を乗っ取っていたことが判明した。被害を受けたのはFacebookの子会社であるWhatsAppで、乗っ取った携帯電話のカメラとマイクを操り、個人データや位置情報を傍受していたという。背後にいるのはイスラエルのNSO Groupという集団とみられ、かねてから抑圧的な政府に監視ツールを販売していることで知られている。(2019年5月14日)
ニュース:米国の麻疹流行は2000年以後で最大
米疾病予防対策センター(CDC)は、麻疹の感染例が国内22州で704件確認され、2000年に米国における麻疹の撲滅が報告されて以来、もっとも多くなったことを公表した。CDCによると、その一因は、ワクチン接種に反対する団体が故意に誤情報を拡散していることだという。1989年に麻疹を含む混合ワクチンの接種が始まってから、麻疹の感染件数は99パーセント減少し、感染報告例は年間数百件に減少したが、2006年から上昇に転じた。感染例はワシントン州とニューヨーク州で多く確認されており、ことにニューヨーク州では感染期間も長期化している。感染期間が長引くと麻疹が米国に再び根付く可能性も高まるので、CDCは流行を終わらせることに全力を尽くしている。(2019年5月11日)
ニュース:英緊急通信システムに大幅遅延と予算超過
英会計検査院(NAO)は5月10日、英国の現行の初動要員通信システムにとって代わる緊急サービスネットワーク(ESN)の予算が、当初予算を約5割の31億ポンド(約4,430億円)超過し、計画がさらに遅れるという報告書を公表した。新たな計画ではESNは予定より3年遅れの2022年に稼働を予定しているが、英会計検査院は2022年までにESNが稼働準備を完了する可能性は極めて低いとしている。(2019年5月11日)
ニュース:米政府が医療安保戦略を公表
トランプ政権は5月9日、新たなグローバル・ヘルス・セキュリティ戦略を発表し、世界規模の協調的な活動によって、感染症の脅威を減らす努力を強め、貧富の差を縮めることで、疾病が少ないより安全な世界を作ることをめざすと宣言した。自然発生的であるか、故意に拡散されたものであるかを問わず、国内外の感染症を抑止、検知、対応することが新戦略の目的だという。(2019年5月9日)
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ニュース:米国防長官にシャナハン氏指名か
ホワイトハウスは、パトリック・シャナハン国防長官代行をトランプ大統領が正式に国防長官に指名する見込みだと発表した。シャナハン氏はマティス長官の辞任に伴い、1月から国防長官代行を務めている。キャリアの大半でボーイング社に勤務しており、国防総省創設以来、公職経験がもっとも少ない国防長官となる。就任には上院の承認が必要となるが、ボーイングの利益を優先していないかという上院議員の追及が予測される。(2019年5月9日)
ニュース:米国土安全保障省の要職の多くが空席
米国土安全保障省の要職に空席が目立ち、職員不足で業務に支障が出るおそれが指摘されている。ワシントン・ポスト紙の調査によると、5月8日時点で長官、副長官、3つの次官職が、省全体では主要職務の47パーセントが任命されないまま空席になっているという。この件に関してGAO(米議会の政府監査院)長官は4月末、同省に書簡で勧告を行い、5月1日には下院国土安全保障委員会が公聴会を開いた。(2019年5月8日)
ニュース:コンゴ民主共和国のエボラ流行が拡大
コンゴ民主共和国東部のエボラ出血熱による死者は、現在の流行が昨年8月に始まってから1008人に達し、2014-16年にアフリカ東部で1万1300人の死者を出した大流行に次ぐ規模となった。現地の医療従事者に対する暴力が収まらず、今後も感染拡大を防ぐ努力が妨げられるおそれがある。(2019年5月5日)
ニュース:NASAが小惑星衝突を想定した演習を実施
NASA(米航空宇宙局)は、小惑星が地球に衝突する軌道に入ったとするシナリオに基づく演習を行う。NASAの惑星防衛調整局(PDCO)が他国の関係部署と協力して行う机上演習で、危機管理における相互および政府間のコミュニケーションの円滑化を目的とする。(2019年4月27日)
ニュース:コンゴ民主共和国の医療従事者が安全保障を要求
コンゴ民主共和国でエボラ出血熱患者の治療にあたっている医療従事者たちは、同国政府に身の安全を保障するよう要求し、要求がかなえられない場合は来週からストライキに入ると宣言した。流行地域には、エボラ出血熱が作り話または「エボラ・ビジネス」で儲けを企む外国の陰謀だという噂を信じる住民が多く、エボラ出血熱感染が発覚しても医療施設に行くことを拒み死亡する例も多い。医療従事者はこうした噂を信じる地域住民の暴力の対象ともなっている。(2019年4月26日)
ニュース:世界初のマラリアワクチンの接種が始まる
WHO(世界保健機関)の主導により、アフリカ南部のマラウィを皮切りに、2歳以下の乳幼児にマラリアワクチンを接種する、大規模なパイロットプロジェクトが始まった。このワクチン「RTS, S」を4回に分けて接種すると、マラリアに対して部分的な免疫がつく。臨床実験では感染率を4割以下に抑えることが証明されたという。マラリアワクチンが実用化されるのは史上初めて。接種はケニア、ガーナでも予定されており、36万人分のデータが集められるという。(2019年4月23日)
ニュース:スリランカで大規模な同時多発テロ
スリランカの最大都市コロンボほか3都市で4月21日、キリスト教の復活祭を祝う信者でにぎわう教会や高級ホテルなど計8か所で同時多発的に爆発が起き、258人が死亡した。国内のイスラム過激派組織ナショナル・タウヒード・ジャマート(NTJ)のメンバーが各事件現場で自爆テロを実行したことが確認されたほか、IS(いわゆる「イスラム国」)が犯行を声明した。NTJのメンバーには、中東に渡ってISに訓練された人物もいるとみられる。
スリランカ政府はNTJがテロを計画していることを4月初旬までに把握しており、メンバーの詳細情報や、教会や観光客の多く集まる場所が狙われていることなど、具体的なテロ実行情報を入手していた。さらに、インド政府や米政府からも情報が提供されていた。これだけの情報を入手していながら事件を未然に防げなかった理由として、昨年秋から続いているシリセナ大統領とウィクラマシンハ首相の権力闘争のせいで、首相側に情報が一切共有されていなかったと指摘されている。また、インド政府の情報が活用されなかった理由として、スリランカ政府側が、自国とパキスタンの間の緊張を高めるためにインド政府が提供したものと憶測し、無視した可能性があるとみられている。(2019年4月23日)
スリランカ政府はNTJがテロを計画していることを4月初旬までに把握しており、メンバーの詳細情報や、教会や観光客の多く集まる場所が狙われていることなど、具体的なテロ実行情報を入手していた。さらに、インド政府や米政府からも情報が提供されていた。これだけの情報を入手していながら事件を未然に防げなかった理由として、昨年秋から続いているシリセナ大統領とウィクラマシンハ首相の権力闘争のせいで、首相側に情報が一切共有されていなかったと指摘されている。また、インド政府の情報が活用されなかった理由として、スリランカ政府側が、自国とパキスタンの間の緊張を高めるためにインド政府が提供したものと憶測し、無視した可能性があるとみられている。(2019年4月23日)
技術研究情報:遺伝子操作ウイルスで薬剤耐性菌を退治
米国と英国の研究者チームは、薬剤耐性菌に感染した15歳の患者を、遺伝子操作したウイルスの助けを借りて治療することに成功したと発表した。自然界にはバクテリオファージという、バクテリアを破壊する作用のあるウイルスが多数存在する。これに遺伝子操作を行うことで、患者の感染症に対抗する特性のあるファージを作り出すことに成功したという。感染症の症例は個別に異なるので、今回の治療法がどの症例にも適用できるわけではないが、薬剤耐性菌が大きな脅威となるなかで、貴重な一歩といえる。研究成果は5月8日、Nature Medicine誌オンライン版に掲載された。(2019年5月9日)
出版情報他:GAO報告書「核テロと闘う―国土安全保障省は主要都市の安全を確保するための事業の欠点を補う必要がある」
国土安全保障省の都市安全確保事業は、放射能汚染爆弾を含む核テロリズムを探知・抑止する能力を、州政府と自治体に与えることを目的としている。放射能検知器など機器の調達費と最大5年間の訓練を提供している。参加する都市は計画を提出し、同省の補助金が終了した後もこの能力を維持するための資金調達先を示すことを要求される。GAOの調査では、同省がこの事業の支出と効果を十分追跡しておらず、事業を維持するうえでの課題に対処していないことが判明した。(2019年5月19日発行、41ページ)
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出版情報他:GAO報告書「ジカ熱への緊急支援―国際開発庁が国外の活動を支援しているが、支援金の追跡と対応計画に改善の余地がある」
西半球におけるジカ熱の流行を受けて、国際開発庁(USAID)は蚊の繁殖の抑制、啓蒙キャンペーン、研究といった活動を米国外で支援しているが、国別の支出を追跡していない。同庁がジカ熱対策を行った26か国のうち22か国では、流行が始まった時点で同庁との二国間の保健事業がなかったので、同庁が対策を展開するのに時間がかかった国もあった。(2019年5月13日発行、52ページ)
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出版情報他:GAO報告書「災害復興契約―災害対応と復興支援における契約の使用に関してFEMAは問題を抱えている」
2018年6月30日時点でFEMAは災害対応のためにほぼ45億ドル(5000億円)の契約を交わしている。災害発生後に迅速に物資とサービスを供給できるように事前契約を活用する意義など、FEMAが直面している課題について、GAOは下院国土安全保障委員会で証言した。(2019年5月9日公表、17ページ)
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出版情報他:GAO報告書「国土安全保障省―管理上の各種の課題に取り組むためには継続的なリーダーシップが欠かせない」
米政府が2003年に国土安全保障省を設置したとき、GAOは22の連邦政府機関を同省に統合する事業を、高リスク事業のリストに載せた。同省の管理機能を強化し、GAOが示した優先順位の高い推奨事項に取り組むには、省内のリーダーシップが欠かせない。(2019年5月1日発行、14ページ)
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出版情報他:GAO報告書「重要インフラ保護―運輸保安庁のパイプライン保安プログラム管理の弱点に対処する必要がある」
運輸保安庁(TSA)は全米の石油・ガス等のパイプライン管理者に対し、任意の保安指針を策定・提供し、パイプライン・システムの脆弱性を評価している。TSAのこの取り組みの弱点を指摘し、パイプライン保安プログラムの主な面の管理を強化するための推奨事項を示す。(2019年5月1日発行、15ページ)
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出版情報他:GAO報告書「高優先順位の公開推奨事項―DHS」
昨年4月、GAOは国土安全保障省に対し、優先順位が高い推奨事項19件を提示し、同省はそのうち4件を実行した。残り15件に今年はFEMA洪水保険、南西部の国境の壁、サイバーセキュリティ、放射性物質保安など11件を、優先順位の高い事項として追加した。(2019年4月26日公表、19ページ)
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出版情報他:GAO報告書「2017年度災害契約―災害対応と復興を支援するため、災害後の契約の使用を改善する必要がある」
被災地の瓦礫除去や再建を行う契約を米政府が結ぶときは、地元企業を優先することが法律で定められているが、4省庁による災害後の契約をGAOが検証したところ、地元企業を優先する方法を米政府職員が理解していないケースが判明した。(2019年4月24日発行、87ページ)
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出版情報他:GAO報告書「2017年のハリケーンシーズン―米領バージン諸島とプエルトリコにおける連邦政府による電力網復旧支援」
米領バージン諸島とプエルトリコにおける送電・配電システムは2017年、ハリケーン・イルマとマリアによって大半が損傷した。プエルトリコの電力会社は発災前からの債務のため復旧能力がなかったので、FEMA(連邦緊急事態管理庁)は32億ドル(3600億円)を投じ、電力網復旧のためにかつてなく直接的な役割を担った。(2019年4月18日発行、36ページ)
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