10月分
ニュース:初動要員を現場の薬物から守るオンラインツール
初動要員が出動した現場に、微量を吸い込むだけでも危険な麻薬・向精神薬が残っていることは、米国では日常化している。フェンタニルなど合成オピオイドを取り扱うリスクについて、初動要員が学んで防御策がとるためのオンラインツールキットを、米国立労働安全衛生研究所(NIOSH)が公開した。ツールキットは、合成オピオイドなどの薬物から身を守るためにすべきことを示し、安全措置を図解している。(2019年10月18日)
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ニュース:米国の生物兵器対策は機能不全という証言
バイオディフェンス超党派委員会の事務局長が米議会で証言し、生物兵器の脅威に対する防御態勢は不十分であるうえに、間違った方向に進んでおり、過去と比べて交代していると批判した。ロシア・中国・北朝鮮・イランは生物兵器を生産・使用する能力を維持していると考えられ、アルカイダやIS(いわゆる「イスラム国」)といったテロ組織も、入手するため活動しているとみられる。米国土安全保障省はこの脅威を承知しているのに、同省の生物兵器対策事業はうまく機能していないと指摘した。アシャ・ジョージ事務局長(公衆衛生学博士)が10月17日、下院国土安全保障委員会の緊急事態準備・対応・復旧小委員会で証言した。(2019年10月17日)
ニュース:豪州も極右テロの脅威増加を警戒
豪保安情報機構(ASIO)は最新の年次報告書を公表し、豪州における極右テロの脅威は近年増しており、以前より組織化していると注意を喚起した。今後、豪州で起きる極右によるテロは一人ないし少人数のグループによるもので、入念に練られた攻撃ではないものの、高機能の銃器が使用されるおそれがあるとしている。(2019年10月16日)
ニュース:全米の地滑り発生箇所を示す双方向マップが完成
米国地質調査所(USGS)は、今まで地滑りが起こった場所のデータをまとめた、検索可能な、ウェブベースの双方向マップを公表した。このデータは今まで連邦政府、州政府、自治体などに散在しており、全データを集約して系統的に分類するという骨の折れる取り組みを行う政府機関はなかったが、今回USGSがそれを完成させた。マップ上の地滑りがあった箇所をクリックすると、その地滑りの詳細情報が表示されるしくみだ。(2019年10月11日)
ニュース:独治安当局内に極右思想のおそれ
ドイツの治安当局は、移民や政治家を狙ったテロの計画に、内部の人間が関わっているおそれがあるとして調査を開始した。10月12日付ウォールストリート・ジャーナル紙が報じた。ドイツでは昨今、兵士や警察官の中で極右過激思想が広まっているとの懸念が共有されており、オンライン・チャットルームでの人種差別発言、違法な銃器保有、左派・リベラル派の政治家や活動家に対する殺害予告リストなどを中心に捜査が進められているという。(2019年10月12日)
ニュース:米国土安全保障長官代行が辞任
米国土安全保障省で4月から長官代行を務めていたケヴィン・マクアリーナン氏が辞任した。トランプ政権発足後、国土安全保障省長官の役職に就いたのは、代行を含めマクアリーナン氏で4人目だった。(2019年10月11日)
ニュース:ドイツ東部で銃撃テロ
ユダヤ教の祭日(贖罪の日)の10月9日、ドイツ東部の都市ハレのシナゴーグ(ユダヤ教の礼拝所)を狙ったとみられる銃撃事件が発生、2人が死亡、2人が負傷した。犯人は襲撃の様子をビデオカメラでインターネット生中継していた。犯人の男はユダヤ人を批判、ホロコーストはなかったと主張した後、礼拝中のシナゴーグに侵入しようとした。しかし、シナゴーグはテロを警戒してドアの外側の取っ手を取り外し、内側から施錠していたので、犯人は侵入に失敗し、付近の墓地の入口やケバブ店で発砲した。(2019年10月10日)
ニュース:米加州、林野火災防止のため大規模計画停電
切断された送電線を原因とする林野火災発生を防ぐためとして、カリフォルニア州の電力会社、パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック(PG&E)は10月9日から34郡の約80万世帯への送電を計画的に停止した。カリフォルニア州の山間部では強風が予報されており、夏季に雨量が少なかったこともあって、林野火災が起きやすくなっている。(2019年10月10日)
ニュース:極右過激派の脅威が米国で高まる
国際テロ組織に忠誠を誓う米国生まれの過激派よりも、米国内の極右過激派のほうが、生物化学兵器の入手を熱心に追求する傾向があるという証言を、上院国土安全保障・政府問題委員会で、テロリズム専門家が行った。米国では国際テロリストよりも極右過激派の人数が多く、活動がより活発で、より多くの人命を奪っていることを指摘し、極右過激派に対する注意を喚起した。(2019年10月1日)
ニュース:ロボットを使って地下経路を探索
地下の環境と状況を表す地図を迅速に作成し、経路を見つけ、捜索する方法の競技会を、米国防総省国防高等研究計画局(DARPA)がピッツバーグ近郊の炭鉱で開催した。参加チームはロボットやドローンを駆使して、数マイル、時に複数階にまたがったトンネルや都市の地下壕のマッピングを行い、中の物体とその数を割り出すことに挑んだ。災害救援や武力紛争下の状況への応用が期待される。(2019年9月26日)
ニュース:新たなエボラ予防接種の試験接種開始
エボラ出血熱に対する2種類目の予防接種が、コンゴ民主共和国で試験的に行われることが決まった。ジョンソン・エンド・ジョンソンが製造するワクチンを、エボラ熱の拡散が緩やかな地域で、感染する可能性がある人々に、10月半ばから接種する。(2019年9月26日)
ニュース:重要インフラを狙ったサイバー攻撃が増加
米国などの重要インフラ運営企業が、以前に例のないほど数多くのサイバー攻撃にあっている。サイバーセキュリティ会社のProofpoint社が報告書を発表した。2019年4月5日から8月29日の間に、米国だけで17社以上が、3者の異なるハッカーからフィッシング攻撃を受けたという。ハッカーが何者かは定かではないが、同社によると背後に国家がついている可能性が高い。(2019年9月25日)
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技術研究情報:現場に急行する緊急車両の安全を高める技術
現場に向かう途中の緊急車両が、一般車両の運転者が携帯電話などに気を取られてサイレンや警告灯に気づくのが遅れるなどの原因で事故にあっており、初動要員にとってのリスクは、いまや現場での事故よりも高くなっている。米国土安全保障省科学技術部局は、シカゴのHAAS Alert社と協力して、サイレンや警告灯以外に、緊急車両がリアルタイムでデジタル警告を送信できるように、C-V2X(緊急車両と歩行者や一般車両を連携させる技術)の活用をめざしている。(2019年10月18日)
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技術研究情報:ロボット・ライフガード、ハリケーン救援で活躍
ハリケーン・ドリアンがバハマのアバコ島を直撃した後、ロボット型ライフガードが救援物資の配達や安全な避難経路の発見に一役買った。「緊急統合命綱」(Emergency Integrated Lifesaving Lanyard = EMILY)といい、高解像度のソナーなどで水中の瓦礫を探知し、冠水域における安全な避難経路図を描く。米海軍研究所(ONR)が、海軍の小企業イノベーション研究支援事業、小企業技術移転事業およびHydronalix社と共同開発した。(2019年10月17日)
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技術研究情報:家屋全体を包む防火毛布
防火機能のある毛布で建物を覆うことで林野火災から守ることは可能だとする、新しい研究結果がFrontiers in Mechanical Engineering誌に掲載された。実験室内でさまざまな素材をテストし、炎の温度が上がっていく中でも、防火毛布で構造物を覆えば保護することができると実証した。住宅密集地域で効果を発揮するためには、応用の方法や、2階建て以上の建物を保護する際の方針を検討する必要があるという。(2019年10月16日)
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技術研究情報:新型衛星SWOTで洪水予測向上
2021年に打ち上げられる予定の衛星によって、地表の水の分布の変化をかつてない精度で観測し、洪水と干ばつをより正確に予測できることになりそうだ。米航空宇宙局(NASA)とフランス国立宇宙研究センター(CNES)の表層水観測衛星(SWOT)は、250メートル四方以上の湖沼・貯水池・湿地帯と幅100メートル以上の河川の水面標高を観測することができ、これにより地表水動態の把握が大きく進むと期待されている。アフリカ、南米、インドネシアといった、今まであまり研究されてこなかった地域での洪水の実態解明が期待される。また、米国やカナダのようにすでに多くの研究がなされている地域でも、洪水予測モデルを向上させるような氾濫原マップの修正や、雪解け、ハリケーン、アイスジャム(雪氷が河川の狭隘部に詰まって形成した天然ダム)などを原因とする洪水が起こりそうな地域を、より正確に予測できるようになるという。(2019年9月26日)
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報告書など:GAO報告書「高速道路災害復旧支援―連邦高速道路局は事業決定について説明責任を向上させるべきである」
米国の道路や橋の災害復旧費用は、連邦政府と州政府や自治領政府(例・プエルトリコ)が分担するのが原則だが、不可欠な幹線道路の応急工事費は連邦政府が負担する。2017年のハリケーン被害に関連して、GAOでは連邦高速道路局(FHWA)が不適切に応急工事費として分類していた3つの事業を発見した。今後の事業が適切に分類されるようにするため、同局が応急工事をはっきり定義し、その理由を文書化することを、GAOは推奨する。(2019年10月17日発行、35ページ)
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報告書など:FEMA「全米インシデント管理システム―全米認定システム 認定検証委員会のための補足ガイド」
全米インシデント管理システム(NIMS)のリソース管理に関する部分は、リソース管理の方法を全国共通化することによって、インシデントの原因や規模にかかわらず、あらゆる脅威と危険(ハザード)を管理するために関係者が協力することを可能としている。FEMA(連邦緊急事態管理庁)はこれを強化する官民の取り組みを牽引しており、官民のパートナーおよび利害関係者の意見を取り入れ、NIMSの枠組みにおける人員の認定に関する基本ガイドラインとなる全米認定システム(NQS)を策定した。(2019年10月16日公表、18ページ)
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報告書など:GAO報告書「林野火災―対応と復旧の独特の問題に取り組むため、FEMAはさらなる措置をとることができる」
カリフォルニア州では2017年と18年に林野火災で159人が死亡し、3万2000以上の構造物が焼失した。瓦礫除去や住居提供のため、FEMA(連邦緊急事態管理庁)は20億ドル(2200億円)を提供した。FEMAは2017年10月と12月の林野火災に対する支援の事後検討報告書をまとめたが、活動を包括的に検証して、政策や手続きを更新すれば、将来の林野火災における対応と復旧の取り組みを強化できると、GAOでは考える。国土安全保障省もGAOの結論に同意した。(2019年10月9日発行、66ページ)
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報告書など:GAO報告書「プエルトリコ電力網の復旧―課題解決には情報と調整の改善が求められる」
2017年のハリケーン被害によって、プエルトリコでは米国史上最長(一部では11か月)の停電が発生した。応急の一時的・部分的修理によって停電は解消したが、さらに時間と資金をかけて、完全復旧のための事業が行われている。しかし、2019年7月時点で、FEMA(連邦緊急事態管理庁)も住宅都市開発省もこの事業に補助金を支出していない。その理由の一つは、どのような事業が補助金の対象となるのかを、FEMAが文書ではっきり示していないからだ。また、現地では多数の組織が電力網復旧に関与しているので、その調整が課題となっている。(2019年10月8日発行、78ページ)
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報告書など:空港に対する無人機の悪影響の軽減に関する有識者委員会 最終報告書
空港およびテナントにとって、無人航空機(ドローン)は外周の警備、施設の測量・点検、機材の点検および緊急対応に役立つ。その一方で、操縦者の不注意、危険に対する無知または悪意のため、外部の無人機が接近・侵入する事件が増えており、北米の空港の安全・運用・経営に対する脅威となっている。この課題が解決されていない最大の原因は、無人機に関する規制と法令の枠組みである。その改善策を提言するため、国際無人機協会(AUVSI)と国際空港協会北米支部(ACI-NA)は今年4月、「空港に対する無人航空機の悪影響の軽減に関する有識者委員会」を任命した。空港周辺を飛行する無人機を監視する主な役割を、米連邦航空局とカナダ運輸省が果たすため、財源をはじめリソースを両国が手当てすることや、無人機を実力で阻止する権限を州・自治体の警察に与えることを推奨している。(2019年10月2日発行、47ページ)
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報告書など:FEMA「既存の重要施設の風に対する脆弱性を評価する際のガイドライン」
2017年のハリケーン・イルマとアリア、18年のハリケーン・マイケルなどによる近年の暴風はプエルトリコ、米領ヴァージン諸島、フロリダの重要施設に大損害を与えた。本書は風圧、風に飛ばされた瓦礫および強風に吹きつけられた雨に対する重要施設の脆弱性を評価するための指針を設計者に提供する。近年のハリケーン、現行の建築基準および過去の風による災害の所見・教訓を取り入れている。本書の指針は、ハリケーン多発地域の内外および竜巻多発地域の重要施設に当てはまる。(2019年9月27日公表、222ページ)
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報告書など:GAO報告書「沿岸警備隊の陸上インフラ―災害回復力を高めるプロセスは、国土安全保障省のリスク管理枠組の方向に沿うべきである」
米沿岸警備隊は埠頭、船の基地、航空基地など陸上施設を2万以上有するが、多くは沿岸にあり、ハリケーンなど極端な気象現象に脆弱なことがわかっている。沿岸警備隊は陸上施設の減災に取り組んでおり、被災した施設を新基準に従って再建し、他の施設についても脆弱性を調査している。しかしながら、国土安全保障省の「重要インフラのリスク管理の枠組み」は、まずどのインフラが重要なのかを決めてから、リスクを評価し、リスク管理対策を行うことを求めており、沿岸警備隊の取り組みはこれに必ずしも合致していない。この点を改善すれば、沿岸警備隊が将来の極端な気象現象に備える財源を確保するのに役立つ。(2019年9月25日発行、43ページ)
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報告書など:GAO報告書「重要インフラ保護―電力網に対する重大なサイバーセキュリティ・リスクへの対策が必要である」
電力網の運営を支える産業制御システムは、サイバー攻撃にますます脆弱となっている。エネルギー省は、電力網インフラの中核部分のサイバーセキュリティ・リスクに対する取り組みに主要な役割を果たしているが、全米規模の戦略に必要な、電力網サイバーセキュリティの特徴に基づく計画をまだ立てていない。(2019年9月25日公開、84ページ)
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報告書など:米国土安全保障省「テロリズムおよび標的型暴力に対抗するための戦略的枠組み」
政治的、思想的または宗教的動機がはっきりしていないものの、犯人が標的を事前に選んでおり、既知のテロ戦術と同等の大規模な殺傷または破壊の意図がうかがえる攻撃を、標的型暴力と定義する。標的型暴力は地域社会、学校、宗教施設その他の集会の安全を脅かしている。テロリズムと標的型暴力の脅威は関連性を強めており、対策にも共通点がある。そこで、この枠組みは両方の脅威について、分析と対抗手段を示す。白人至上主義過激派をはじめとする人種的・民族的過激派などの国内テロリストの危険性といった、今日の国内での課題に重点を置き、こうした脅威に対する予防措置を提案する。本枠組は、青少年などこの脅威にもっとも脆弱な人々を保護する必要性を認識して作成され、透明性、市民的権利・自由、データ保護の重要性を強調している。(2019年9月23日発行、40ページ)
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