8月分
ニュース:カリフォルニア北部の広範囲で林野火災
米カリフォルニア州北部の各地で、熱波に続いて起きた嵐の強風と雷による林野火災が多発している。サンフランシスコ湾岸地域北部のソノマ郡やナパ郡、同地域より南のサンタクルズ郡、モントレー郡カーメルバレーなど、サンフランシスコ市を除いたほぼ全域が影響を受けており、19日夜の時点で600平方キロ以上が炎に包まれている。広範囲で火災が発生しているため、消防機材が不足し、他州に機材と人材の支援を求めている。ニューサム知事によると、州内の大規模林野火災は現在23件、小規模なものは367以上を数えるという。(2020年8月19日)
ニュース:米国が発展途上国の電力網の改善を支援
米国国際開発庁(USAID)は国立再生可能エネルギー研究所(NREL)と提携し、発展途上国が自国の電力システムの弱点を見つけて、より回復力があり持続可能かつ安全な電力システムを構築できるように、リソース、データ、ツール、直接的な技術支援を提供する。USAIDとNRELの共同事業は「回復力のあるエネルギープラットフォーム」という。(2020年8月19日)
ニュース:米国土安全保障長官代行の任命は無効―GAO報告
GAO(米議会の政府監査院)は、国土安全保障省のチャド・ウルフ長官代行とケン・クチネリ副長官代行の任命は無効であり、職務権限を行使する法的根拠はないと結論した。2019年4月にニールセン長官が辞任した後、ケヴィン・マクアリーナン氏が長官代行に就任したことからして継承順位を誤っており、マクアリーナン氏の辞任後も、本来就任するはずではない人物が長官代行に就任しているという。GAOはこの問題を国土安全保障省の監査官に委ね、現状の修正を求めた。(2020年8月14日)
ニュース:ブニヤウイルス、中国で再出現
2009年に発見された、ダニが媒介して起こるブニヤウイルスが中国で再出現し、専門家はヒトからヒトへの感染に注意を呼び掛けている。今年に入ってから江蘇省で37人、安徽省で23人が重症熱性血小板減少症候群(SFTS)と診断され、うち少なくとも7人が死亡したという。ダニや感染した動物から感染し、血液、傷口、呼吸器官などを通じてヒトからヒトに感染するという。致死率は1-5パーセント、高齢者は重症化リスクが高いとみられている。(2020年8月11日)
ニュース:ロシア、新型コロナウイルスのワクチン認可を発表
ロシアのプーチン大統領は11日、世界初の新型コロナウイルス・ワクチンを認可し、今年の夏・秋にも数百万人に投与を開始すると発表した。ワクチンは、1950年代に旧ソ連が世界で初めて打ち上げた人工衛星にちなんで「スプートニク」と命名され、大統領は自身の娘もすでに接種したと、安全性を強調している。開発を行ったモスクワのガマレヤ国立研究所は、大規模な第3段階の治験も行っておらず、研究内容も外部の研究者の精査を受けていないので、諸外国の専門家は軒並み、安全性に疑問を呈している。WHOの記録によると、ロシアのワクチンは第1段階の治験を終えたところで、ロシア軍人50名そのほか数名のボランティアへの投与による治験しか行われていないという。(2020年8月11日)
ニュース:衛星インターネットの危険性を指摘―ブラックハット大会
衛星インターネットサービスのセキュリティの問題点が指摘されてから10年以上が経つが、脆弱性はいまだ解消されておらず、航空機や船舶の運航を危険にさらしていることが、オンライン上で行われた2020年度ブラックハット・セキュリティ・カンファレンスで指摘された。オックスフォード大学の博士課程に在籍する研究者が発表したもので、18基の衛星から航空機や船舶の運航に関わる安全上重要なデータを4テラバイト以上傍受することが可能だったという。(2020年8月5日)
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ニュース:ベイルートで大爆発
レバノンの首都ベイルートの港で4日、大爆発が発生し、少なくとも220名が死亡、7000人以上が負傷し、多数が行方不明となっている。爆発の原因は倉庫に保管されていた3000トン近い硝酸アンモニウムとみられる。2016年に貨物船から押収された後、税関から司法当局に対して危険性が警告されていたものの無視され、長期間放置されていた。(2020年8月5日)
ニュース:新型コロナ、感染拡大止まらず
7月には世界で800万人以上の新型コロナウイルス感染者が報告され、7月だけで、1-6月の合計とほぼ同数となった。世界の累計感染者数が1800万人となったのを受けて世界保健機構(WHO)は4日、感染者数の増加が加速しており、6週間毎に倍増していると注意を喚起した。ジョンズホプキンス大学のサイトによると、7月には米国で187万人が感染しており、4月の86万人と比べて2倍以上になっている。米国の累計感染者数は500万人に迫る勢いで、世界の4分の1以上を占める。米国の死者数はほぼ15万5000人で、世界の5分の1である。(2020年8月5日)
技術研究情報:ある種のマスクは逆効果―デューク大学
デューク大学の研究者チームは、現在幅広く入手可能な各種のマスクを用いて、会話時の飛沫の飛散をどれだけ抑えられるか検証した。首から顔下部を覆う「ネックフリース」やバンダナは、大きな飛沫が細分・拡散されて空気中に長時間浮遊し、むしろ逆効果になることが明らかとなった。研究結果はScience Advancesオンライン版に掲載された。(2020年8月7日公表)
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技術研究情報:粉塵爆発防止の新技術
穀物や粉末を扱う工場では、一般的な可燃物と認識されていない物質でも燃焼反応に敏感な状態となって爆発・炎上する場合があるので、爆発の可能性がある粉塵の状態をあらかじめ把握することが重要となる。米バーデュー大学では、爆発する可能性がある、浮遊する粉塵の集まりを検知する、OpenCVアルゴリズムを使用した画像ベースのアプリを開発した。これにより、爆発するような環境が醸成される前に早期に適切な安全対策をとることが可能になるという。(2020年8月6日)
報告書など:米国科学・工学・医学アカデミー出版「エスカレーターでの転落」
エスカレーターにおける転落事故は、空港ほか公共交通システムの重要なリスク管理事項である。空港と他の公共交通におけるエスカレーター利用の主な違いは、乗客が載せる手荷物が大きく、空港のエスカレーターの状況に乗客が慣れていないことである。エスカレーター使用に伴うリスクを軽減し、空港と他の公共交通に共通する事故報告スキームを策定し、より積極的にデータを分析することで、転落事故の原因を割り出すことをめざす。(2020年8月発行、86ページ)
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報告書など:米国科学・工学・医学アカデミー出版「微生物の脅威に立ち向かうための革新のフロンティアを探究する」
米国科学・工学・医学アカデミーは2019年12月4-5日、微生物の脅威に対する科学的・技術的・社会的革新の主要な成果を検証するワークショップを開催した。診断、ワクチン開発、生産、抗微生物薬といった分野の技術革新、非薬物的介入、サーベイランスの変化について報告が行われた。(2020年8月発行、178ページ)
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報告書など:米国科学・工学・医学アカデミー出版「SARS-CoV-2のゲノム疫学データ・インフラのニーズ」
2019年12月に中国・武漢で新型コロナウイルス感染症例が報告されて以来、病原ウイルスSARS-CoV-2の感染は世界に広がり、発見から6か月で約1000万人が感染、約50万人が死亡した。本報告書では、
臨床データと疫学的データを用いてウイルスのゲノム配列を追跡し相互の関係性を示すシステムに、必要なデータを定義し記述するための枠組みを提示する。このようなシステムの構築により、検知、診断、対策の取り組みに、ウイルスの進化に関するデータを統合することが可能となる。また、取り組みに関連するすべての既存のゲノム配列の、代表的でグローバルなサンプルであることを保証するための、データ収集メカニズムを探究し、既存の国内・地域的・世界的データソースを調整するための課題と機会を検討する。(2020年8月発行、120ページ)
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臨床データと疫学的データを用いてウイルスのゲノム配列を追跡し相互の関係性を示すシステムに、必要なデータを定義し記述するための枠組みを提示する。このようなシステムの構築により、検知、診断、対策の取り組みに、ウイルスの進化に関するデータを統合することが可能となる。また、取り組みに関連するすべての既存のゲノム配列の、代表的でグローバルなサンプルであることを保証するための、データ収集メカニズムを探究し、既存の国内・地域的・世界的データソースを調整するための課題と機会を検討する。(2020年8月発行、120ページ)
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報告書など:米国科学・工学・医学アカデミー「暴力的過激主義、テロリズム、放射性物質セキュリティの科学的側面」
2019年12月3日から5日にかけて、米国、ロシア、ヨーロッパから30名の科学者、技術者、研究者、アナリストが集まり、暴力的過激主義、テロリズム、放射性物質のセキュリティの交差点にある科学的側面についてワークショップを開催した。暴力的過激主義はなぜ、いつ、どこで、どのようにして放射性物質を使用するテロに至るのかという問題や、テロ抑止のための国際協力の機会について議論した。(2020年8月発行、14ページ)
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報告書など:大西洋評議会「国土安全保障省の将来-主な所見と推奨事項」
米国のシンクタンク・大西洋評議会が発表した、国土安全保障省の今後についての報告書。同省は大きな非軍事的脅威に対する防衛体制を指揮するという使命に立ち戻る必要がある。米国に敵対的な国々は湾岸戦争当時、米国に戦場で勝利することは不可能だと学び、米軍の管轄外の民主主義に対する攻撃へと転じた。国防総省も司法省も米政府のどの省も、こうした脅威に対する防衛手段をもたない。新型コロナウイルスの脅威、気候変動による米国のインフラへの長期的な脅威、米国の覇権を阻害しようとする国家による非キネティックな(物を壊さない)行動の増加など、最近の脅威は国家と国民の防衛を根本的に変える必要があることを示唆している。(2020年8月13日発行)
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報告書など:米国科学・工学・医学アカデミー「COVID-19感染抑制のため防護的行動の採用を促す方法」
COVID-19感染を抑制しうる防護的行動をとる市民を増やすため、方針の策定を支援することを目的とする、専門家の緊急提言。市民の知識を増やし、行動の敷居を下げ、より健康的な行動の選択を容易にしてやりがいを与えるようにすることで、宣伝を補強する。(2020年7月発行、20ページ)
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報告書など:米国科学・工学・医学アカデミー出版「州運輸当局における緊急時管理ガイド」
州運輸当局の計画や手続きは、州・自治体の緊急時体制や計画と対応している必要がある。そのためには緊急時計画やオペレーションにおいて、複数の省庁や管轄区域が協力しなければならない。本ガイドは、すべての災害に対応する緊急時管理のアプローチや、緊急対応計画における既存の慣行を収録した2010年のガイドを更新したものである。(2020年7月発行、400ページ)
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報告書など:米国科学・工学・医学アカデミー出版「セキュリティ入門―運輸当局のための物理的セキュリティ、サイバーセキュリティ入門」
2009年に運輸当局のためのセキュリティ入門初版が発行されてから、交通・運輸セキュリティの取り組みは大きな進歩をとげた。大規模テロ攻撃の例は少ないものの、自然災害、意図せず生じた人的介入、銃乱射のような犯罪行為などによるシステム障害のリスクは高まっている。サイバーリスクも増加しており、データのみならず、運輸当局が運営するトンネルの換気などの制御システムにまで影響が及びかねない。本ガイドでは物理的セキュリティ、サイバーセキュリティの双方に関連する現在の慣行、地上交通への適用について情報を提供する。(2020年7月発行、212ページ)
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報告書など:GAO報告書「公衆衛生準備体制―保健社会福祉省は医療対策革新の加速に必要な新たな権限を行使するため、いくつかの措置を講じた」
COVID-19パンデミックやその他の感染症の流行は、公衆衛生上の緊急事態を予防・対応・緩和する能力が米国にあるのかという懸念を生んだ。米議会は保健社会福祉省に民間の非営利団体と共同でこの問題に取り組む権限を与えた。非営利団体はベンチャーキャピタルの慣行を利用して、有望で革新的な治療薬、ワクチン、機器を開発する企業に投資することができる。同省はパートナーシップを構築・監督するための計画を立てたが、2020年7月時点でまだ相手の非営利団体を選んでいない。(2020年7月29日公表、11ページ)
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報告書など:GAO報告書「COVID-19関連の契約―パンデミック対応における連邦政府契約に関する考察」
米政府は2020年6月半ばまでに、COVID-19パンデミック対応のため178億ドル(1.9兆円)の契約を交わした。その85パーセントは保健社会福祉省、国土安全保障省、国防総省、退役軍人省が契約した。患者の救命や医療従事者の防護のための人工呼吸器、医療用ガウンやマスクといった物資110億ドル(1兆1800億円)分を調達した。94億ドル(1兆円)分の契約は、緊急性を理由に競争入札なしで行われた。(2020年7月29日発行、46ページ)
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