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10月分


ニュース:米国の上下水道へのサイバー脅威を警告

米国の上下水道システムは不正アクセスの危機に常にさらされていると、サイバーセキュリティ・インフラ・セキュリティ庁(CISA)、FBI(連邦捜査局)、環境保護局、国家安全保障局(NSA)が共同声明を発表した。2019年3月から2021年8月にかけて発生した、ランサムウェア攻撃など5件を例に注意を喚起している。
【関連リンク】
https://us-cert.cisa.gov/ncas/alerts/aa21-287a
(2021年10月15日)

ニュース:米国が外国人渡航者にワクチン接種義務

米大統領府は、新型コロナウイルスワクチン接種を完了した海外からの渡航者に11月8日から入国を許可すると発表した。この規則は入国経路にかかわらず適用され、食品医薬品局(FDA)の認証を受けたワクチンか、世界保健機関(WHO)の緊急使用リストに掲載されているワクチンの接種を受けた渡航者の入国が認められる予定。入国希望者は接種証明書類の提示を求められる。
(2021年10月15日)

ニュース:米諮問委員会がモデルナ社製とJ&J社製ワクチンの追加接種を推奨

連邦政府諮問委員会は14日、全員一致でモデルナ社製の新型コロナウイルスワクチンの追加接種を推奨する方針を決定した。65歳以上の高齢者、重症化リスクの高い18歳以上の人、職場における感染リスクの高い医療従事者などに対する追加接種の緊急承認を推奨する。追加接種の用量は通常の半分。翌15日、ジョンソン・エンド・ジョンソン社製ワクチンの追加接種も推奨が決定したが、同社製ワクチンの接種者には枠を設けず、18歳以上の全員に追加接種を推奨するとした。委員の多くは、同社製ワクチン接種者にはファイザー社製かモデルナ社製のワクチンを接種することほうが高い抗体値を得られるとの意見を表明しており、食品医薬品局(FDA)もそれを考慮しているとみられる。
(2021年10月15日)

ニュース:ノルウェーで襲撃事件、イスラム過激派のテロか

13日夜、ノルウェー東部のコングスベルクで弓矢を使った襲撃事件が起こり、5人が死亡、3人が負傷した。容疑者は逮捕された。被害者は行き当たりばったりに選ばれ容疑者と面識がないこと、昨年、容疑者がイスラム教に改宗してから過激思想に傾倒しているとの情報から地元警察が警戒対象としていた人物であることから、治安当局は事件がテロ行為との見方を示している。
(2021年10月14日)

ニュース:米国の新型コロナ重症者が減少傾向

米疾病予防管理センター(CDC)は13日公表したアンサンブル予報において、今後4週間で新型コロナウイルスによる入院患者は減少すると見込んでいる。11月5日までに毎日の新規入院患者は500人から1万100人に上り、5週続けて減るという。ただし、子どもの新規感染者数は高止まりしており、毎週の新規感染者の4分の1を占めるという。
(2021年10月14日)

ニュース:9月は米国の子どもの新型コロナ感染例が最多に

新型コロナウイルスワクチンの5-11歳児への接種の承認が協議される中、米国内の18歳未満の子どもの新規感染者数と死者数が、9月に過去最高を記録したことが明らかとなった。パンデミックの初めから9月末までに600万人の子どもに感染したと報告されており、うち110万人が今年9月3日から30日までの新規感染報告例である。
(2021年10月14日)

ニュース:mRNAワクチンにより強い中和抗体反応か

米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)などの研究者によると、ジョンソン・エンド・ジョンソン社製ワクチンの接種(1回)を完了した人のうち、同社製ワクチンを追加接種したグループと、モデルナ社製またはファイザー社製のmRNAワクチンを追加接種したグループの抗体価を比べた結果、mRNAワクチン追加接種のほうが高かった。この論文は査読前だが、ジョンソン・エンド・ジョンソン社製ワクチンをめぐってはすでに他の研究者からも、追加接種はmRNAワクチンにすべきだとの意見が出ている。米国内外の医師や科学者の中で、同社製ワクチンを受けた後にファイザー社製かモデルナ社製のワクチンを追加接種する動きがみられるほか、サンフランシスコ市のように別種のワクチンの追加接種を認める自治体も現れている。
【関連リンク】
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2021.10.10.21264827v1
(2021年10月13日)

ニュース:集団免疫戦略は失敗、英下院議員委員会報告

英議会下院の健康および社会的ケア委員会と科学技術委員会は、新型コロナウイルス・パンデミック対応の教訓に関する報告書を公表し、ジョンソン政権が当初、集団免疫を標榜したことは大変な失策で、もっと早期に都市を封鎖すべきだったと結論した。英国は同パンデミックによる死者が他の先進国と比べて著しく多く、対応はインフルエンザ対応の例に縛られて柔軟性を欠き、SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)への対応で得られた教訓が生かされなかったことも指摘された。
【関連リンク】
https://committees.parliament.uk/publications/7496/documents/78687/default/
(2021年10月12日)

ニュース:メルクが新型コロナ抗ウイルス薬の緊急使用許可申請

米国の製薬会社メルク・アンド・カンパニーは、軽症ないし中等症の新型コロナウイルス感染症患者の治療を目的とした経口抗ウイルス薬の緊急使用許可を米食品医薬品局(FDA)に申請したことを明らかにした。この治療薬Molnupiravirは治験において少なくとも一つのリスク要因をもつ軽症ないし中等症の患者の入院率と死亡率を半減させたという。同社はすでに米政府と1回700ドルで170万回分の供給契約を結んでおり、2021年中に1000万回分を生産する予定だという。
(2021年10月11日)

ニュース:米国の9月までの災害損害額は180億ドル

米国立海洋大気庁国立環境情報センターが発表した9月の気候報告によると、米国における2021年初めから9月末までの自然災害による損害は180億ドル(2兆円)に上った。被害額は7年連続で100億ドルを超えた。災害による死者は538人で、昨年の2倍に増えた。米国の9月の気温は20世紀の平均を1.7度上回る19.9度で、史上5番目に暑い9月となった。
(2021年10月8日)

ニュース:米国の陸上運輸業者にサイバーセキュリティ義務

米バイデン政権は、鉄道など陸上運輸システムの運営者に新たなサイバーセキュリティ上の要件を義務付ける方針である。ランサムウェアなどサイバー攻撃による業務停止のおそれが高まる中、米政府は重要インフラ運営企業にいっそうのサイバーセキュリティ強化を要求している。今年初めにはパイプライン運営者にも同様の義務を課している。
(2021年10月7日)

ニュース:重要インフラのバイオディフェンス義務化を推奨―米超党派委員会

バイオディフェンスに関する米議会の超党派委員会が報告書を発表し、国土安全保障省内に重要インフラ・バイオディフェンス・プログラムの設立を提唱した。2001年の炭疽菌事件では重要インフラ部門が無防備状態につけこまれた結果、11部門が影響を受けた。現在は16の重要インフラ部門全てがバイオテロにあうリスクを負っており、いくつかの部門に問題が生じれば影響は広範囲に及ぶおそれがあるとして、重要インフラを生物兵器の脅威から防護することを議会が国に義務付けることを推奨している。
【関連リンク】
https://biodefensecommission.org/reports/insidious-scourge-critical-infrastructure-at-biological-risk/
(2021年10月6日)

ニュース:ファイザー社がブラジルで新型コロナワクチンの大規模研究

ファイザー社は、ブラジル南部の一都市の12歳以上の全員に新型コロナウイルスワクチンを接種し、感染を追跡調査することを発表した。この研究はパラナ州西部の人口約14万3000人の都市トレドで公衆衛生当局の協力を得て行われ、ワクチン接種後、実生活において新型コロナウイルスの感染がどのように起こるのか調査する。接種者を1年間追跡し、ワクチンの有効性がどれだけ持続するのかも調査する。ファイザー社の調査に先立ち、より小さな町で、ブラジルの主要な生物医学研究機関であるブタンタン研究所が、中国のシノバック・バイオテック社製CoronaVacワクチンを用いて同様の研究を行っている。
(2021年10月6日)

ニュース:アストラゼネカ社が既往症のある人のための抗体薬使用申請

アストラゼネカ社は、今年初めに行われた治験で新型コロナウイルス感染症の発症の予防に強い効果を示した抗体薬について、緊急使用承認申請を米国の規制当局に行った。注入式のAZD7442という抗体薬は、既往症のためワクチンの効果が弱い人を主な対象としている。発症のリスクを77%減らす効果がみられたという。
(2021年10月5日)

ニュース:米大統領令、取引企業社員のワクチン接種を義務化

米大統領府は、連邦政府と取引のある企業の社員が12月8日までに新型コロナウイルスワクチンを接種することを義務付け、今後、政府と新たな契約を結ぶ際の必須事項として接種義務を付け加える大統領行政命令を発布した。これに応じてゼネラル・エレクトリックやIBMといった大企業の中で、米国で勤務する社員にワクチン接種を義務付ける動きが出ている。
(2021年9月27日)

ニュース:インド製新型コロナmRNAワクチン、年内にも生産開始

インドのモディ首相は国連総会で演説し、自国の製薬会社Gennova社による新型コロナウイルスmRNAワクチンの開発が最終段階に入っていると述べた。治験は第2、第3段階に入っており、今年中にも生産を始める見込みだという。インドでは点鼻型ワクチンの開発も進んでおり、世界の医薬品の製造拠点としてだけでなく製薬開発分野でも存在感を増している。
(2021年9月25日)

ニュース:インドが世界で初めて新型コロナDNAワクチンを承認

インド政府はDNAの環状鎖を用いた新型コロナウイルスワクチンZyCoV-Dを承認し、今年中に生産を開始するとしている。DNAワクチンの承認は世界初で、他のDNAワクチンがこれに続くとみられる。ZyCoV-Dは皮下にジェット注射され、治験で67%の有効性が認められた。
(2021年9月20日)

ニュース:ファイザー社製新型コロナワクチンが5-11歳児にも有効

ファイザー社と独ビオンテック社は5-11歳児を対象にした新型コロナウイルスワクチンの治験で高い抗体価が確認されたと発表した。米国の規制当局にこの結果を報告し、米国内での緊急使用承認を申請する見込み。
(2021年9月20日)

技術研究情報:地滑りリスクは都市部でより高まる―スタンフォード大学研究

大雨による地滑りのリスクは農山村よりも都市部のほうが高いことを示す新研究を、スタンフォード大学の研究チームが発表した。米太平洋岸の大雨による地滑りの膨大なデータから斜面の傾斜、岩盤の種類、林野火災の有無といった他の要因を除いてみると、都市部では農山村の10倍ほど地滑りのリスクが高いという。研究はアメリカ地球物理学連合(AGU)の隔週刊誌に発表された。
【関連リンク】
https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1029/2021GL094038
(2021年10月13日)

技術研究情報:熱帯性低気圧による降雨量が年々増加―インディアナ大学研究

インディアナ大学の研究者が、熱帯低気圧の大雨による内陸地の洪水のデータに関する研究を発表した。この種の洪水の被害は近年大きな課題となっているが、継続的な記録は1948年以後しかない。そこで研究チームは、ノースカロライナ州とサウスカロライナ州の木の年輪に基づいて集め、過去319年の季節性の大雨のデータを生成した。データを分析すると、熱帯低気圧による降雨量は10年ごとに2-4ミリ増え、319年間に63-127ミリ増えていることがわかった。熱帯低気圧の移動速度が落ちていることが原因とみられる。研究結果は米国科学アカデミー紀要に掲載された。
【関連リンク】
https://www.pnas.org/content/118/41/e2105636118
(2021年10月7日)

技術研究情報:グリーンインフラの効果に疑問―ペンシルバニア州立大の研究

大雨による洪水を制御するために水はけのよい歩道、川岸への植林、浸透盆地といったグリーンインフラに投資する自治体も多いが、水害対策としての費用対効果が低いとする新研究を、ペンシルバニア州立大学の水文学研究チームが発表した。グリーンインフラは他の公益ももたらすが、水害に対する効果を正しく理解して今後の対策を立てる必要があるという。
【関連リンク】
https://news.psu.edu/story/668996/2021/09/14/research/urban-stormwater-study-finds-little-difference-between-managed
(2021年10月4日)

技術研究情報:救助隊員の位置情報を追跡する機器、来年初めリリース

救助隊員の正確な位置情報を表示する携帯電話サイズの機器「POINTER」が、長年の開発の末に米国で2022年初頭にソフトリリース、同年末には大々的に展開されることが決まった。国土安全保障省科学技術局とNASA(米航空宇宙局)ジェット推進研究所(JPL)が開発した。木、コンクリート、鉄筋といった密度の高い物質を通過する準静的磁場によって救助隊員の実際の位置を数センチ単位の正確さで検知し、新たな3D技術で処理する。重さは数十グラムほど、電源は小型の再充電可能なリチウム電池。
(2021年10月)

報告書など:GAO報告書「高速道の橋梁―連邦高速道路管理局は腐食対策の慣行に関する州への情報提供を改善することができる」

2021年現在、米国の橋梁を修理し腐食の影響を減らすためには数十億ドル以上を要すると見積もられている。GAOは橋の腐食制御のための各州の計画を検証することを米下院に要請された。本報告書では、1)全米高速道路システム内の橋の状態および明らかになっている腐食の影響、2)橋の腐食に対応するための各州の慣行および各州が優先している対策、3)橋の腐食に対応するため連邦高速道路管理局が行っている州政府への支援、を検証した。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/assets/gao-21-104249.pdf
(2021年9月28日、53ページ)

報告書など:GAO報告書「気候変動に対する回復力―国道の回復力を高め財政リスクを減らすための選択肢

この10年間、連邦高速道路管理局(FHWA)は国の資金で建設された道路の気候変動に対する回復力を高めるため、技術的支援や回復力に関する研究に対する資金援助を行ってきた。GAOは4州でFHWAの援助により行われたプロジェクトを検証し、今後、回復力をさらに高めるための10の選択肢を指摘した。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-21-436
(2021年9月22日、84ページ)

報告書など:米国土安全保障省監察官室「FEMAの新型コロナウイルス初期対応の教訓」

国土安全保障省監察官室は新型コロナウイルスに対するFEMA(連邦危機管理庁)の初期対応に対する監査を実施し、医療従事者用のマスクなど個人防護具(PPE)や人工呼吸器を必要とする医療機関に分配するため行った調整の効果を検証した。FEMAは保健社会福祉省など各省庁と密接に連携して配分を行ったが、今回のパンデミックの規模はFEMAの資源要請システムや分配プロセスの弱点をあぶり出すことになった。
【関連リンク】
https://www.oig.dhs.gov/reports/2021/lessons-learned-femas-initial-response-covid-19/oig-21-64-sep21
(2021年9月21日公表、33ページ)

報告書など:GAO報告書「電力網の回復力」

米国内の電力網が直面している数多くのリスクについて、数々のGAO報告書の中から例をひいて簡潔に説明。電力網の回復力向上のために連邦政府に可能な施策も解説。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-21-105403
(2021年9月20日公表、2ページ)

報告書など:GAO報告書「公共交通―過去の教訓を明らかにすることは、連邦公共交通局が安全リスクを管理するプロセスを向上させるのに役立つ」

運輸省連邦公共交通局(FTA)に公共交通の安全を監督させるため、要件と権限を追加する新法が近年施行された。これに応じてFTAは米国各地の公共交通当局に対し、安全リスクを管理し減少させる安全性管理システム(SMS)を組み入れた、新たな安全計画の策定を命じた。GAO(米議会の政府監査院)では公共交通当局が新しい安全計画にSMSを組み入れるにあたって行っている試み、FTAが安全リスクを特定・評価・減少させるためにとっている方策、FTAが安全基準を義務化しているしくみなどを調査した。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-21-104029
(2021年9月20日公表、37ページ)