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10月分


ニュース:米政府がバイオディフェンス戦略を発表

米バイデン政権は10月18日、国を生物兵器の脅威から守り、伝染病の影響を最小限化させるための新たなバイオディフェンス戦略を発表した。パンデミックへの備えとバイオディフェンスの予算として今後5年間で882億ドル(13兆円)を要求した。パンデミックに至る前に感染拡大を予報するための研究、ウイルスの動きに先んじるための迅速な検査、ワクチン開発期間を100日にまで短縮する研究などに投資する。患者が発熱などの症状を呈する前に感染拡大を検知すること、感染拡大後12時間以内に新たな病原体を特定すること、検査キットを1週間以内に数万個製造し、迅速検査キットを90日以内に製造するといった壮大な戦略目標も掲げている。バイデン政権は、適切な資源を投じれば現在不可能な技術も今後5年から10年で実現する可能性があるとしている。
(2022年10月18日)

ニュース:ナイジェリアの洪水で死者600人超

西アフリカのナイジェリアで断続的に降った大雨により大洪水が発生した。ナイジェリア政府人道問題担当局の発表によれば10月16日までに死者は600人を超えた。洪水はニジェール川とベヌエ川の流域で発生し、3つのダムの水量が収容能力を超えているという。隣国カメルーンがダムを放流したことで事態がさらに悪化した模様。洪水の規模は拡大を続けるとみられ、地方の当局は住民の避難や救援物資の提供を準備している。
(2022年10月18日)

ニュース:米政府が地域社会に気候変動対策用オンラインツールを提供

米国の国立海洋大気庁(NOAA)と内務省は「回復力と適応のための気候マッピング」(CMRA)ポータルを立ち上げた。気候変動に関連するハザード(危害要因)として干ばつ、林野火災、内陸の洪水、沿岸の洪水の警報と対象人口をリアルタイムで表示し、各地域の気候変動に対し回復力のあるインフラの計画を支援し、気候変動対策に利用可能な米政府の補助金の情報などを提供する。
【関連リンク】
https://resilience.climate.gov/
(2022年10月18日)

ニュース:FEMAがダムの安全確保に補助金3300万ドル

FEMA(米連邦危機管理庁)は、49州およびプエルトリコの非国営ダムの安全を確保するため、9月末までの2022会計年度に補助金3300万ドル(43億円)を交付したことを明らかにした。うち1500万ドルはインフラ投資法案によるもので、リスクの高いダムの修復のための技術・計画・設計・建設のために交付された。同法案に基づき、FEMAは今後5年間でダムの安全確保のため7憶3300万ドルを州・準州に配分することを予定している。
(2022年10月13日)

ニュース:ファイザー社オミクロン株対応ワクチンの抗体生成効果を確認

ファイザー社はオミクロン株BA.4、BA.5対応ワクチンの治験を18歳以上の被検者におこなった結果を公表し、このワクチンを追加接種するとBA.4とBA.5に対する中和抗体価が上昇したことが確認されたと報告した。また、従来株とオミクロン株の両方に対応する2価ワクチンの安全性も確認されたという。2価ワクチンを接種された55歳以上の被検者は、従来型ワクチンの4回目接種を受けた同年代の対照群よりも高い抗体反応を示したという。
(2022年10月13日)

ニュース:被害額10億ドル超の自然災害が米国で年初来15件

米国立海洋大気庁(NOAA)の国立環境情報センター(NCEI)によると、今年初め以来の米国では被害額が10億ドル(1470億円)を超える自然災害が15回起きている。熱帯低気圧2回、その他の暴風10回、洪水1回、干ばつ・熱波1回、林野火災1回で、合計340人超が死亡した。米国では8年連続で、被害額10億ドルを超える自然災害が10回以上起きたことになる。
(2022年10月13日)

ニュース:米沿岸部の病院は気候変動に耐えられない

9月28日にハリケーン・イアンがフロリダ州フォートマイヤーズに上陸後、同州中部から南西部の病院16軒以上が入院患者を避難させる必要に迫られ、フロリダ州全体で約1000人の患者が避難を余儀なくされたことが明らかになった。避難の理由は屋根が吹き飛ばされた、地上階が浸水したといった建物の構造上の理由から、停電、断水、近隣の道路や橋の崩壊などさまざまだ。米国のメキシコ湾と大西洋の沿岸の都市は暴風や海面上昇の脅威にさらされているが、高潮対策が取られなければ、今後の災害で傷病者が出ても地域の病院も被災して使用できなくなっているおそれが強いことが再確認された。
(2022年10月12日)

ニュース:NASAが隕石の軌道変更に成功

米航空宇宙局(NASA)は10月11日、地球近傍小惑星ディデイモスを公転している衛星ディモルフォスに無人探査機DARTを衝突させ、公転周期を32分短縮して軌道を変えることに成功したと発表した。これにより地球に衝突するおそれのある小惑星の軌道を変えることが基本的に可能だと証明した。
(2022年10月12日)

ニュース:オミクロン株対応ワクチンの接種を米国の5歳以上にも推奨

米疾病管理予防センター(CDC)は新型コロナウイルスオミクロン株対応ワクチンの小児に対する追加接種を推奨することを決定し、ファイザー社製ワクチンの5-11歳、モデルナ社製ワクチンの6-17歳への接種を承認することを発表した。12歳以下の小児には1回の接種量を13歳以上より減らす。
(2022年10月12日)

ニュース:大型ハリケーンが米フロリダ州に襲来

9月28日、米フロリダ州南西部に大型ハリケーン・イアンが上陸、10月2日までに死者74人以上が確認された。風速はほぼ67メートルに達し、5段階で上から2番目に強いカテゴリー4となった。高潮が12フィート(3.6メートル)に達した地域もあり、強風を受けて波が海岸に押し寄せ、海岸に立ち並ぶホテルや住宅が跡形もなく流された。その後、勢力を弱めて熱帯低気圧に変わった後、再びハリケーンへと勢力を強めてサウスカロライナ州に上陸、米南東部では175万世帯が停電した。ハリケーン・イアンの被害額は最大470億ドル(6.8兆円)と推定されており、フロリダ州史上最悪の被害と考えられる。
(2022年10月5日)

ニュース:米国各地の自然災害リスクを採点

米カリフォルニア州に本拠を置くClimateCheck社は、全米の都市や特定の地区の不動産に対する気候変動リスクのデータを集積し、住所や郵便番号を入力するとリスクの点数(最大100点)を表示する無料サービスを始めた。干ばつ、暴風、洪水、猛暑、火災のリスクの点数も表示する。災害リスクが高まっているカリフォルニア州をはじめ、米本土48州およびワシントンD.C.の300以上の都市のデータがすでに公開されている。
【関連リンク】
https://climatecheck.com/
(2022年9月25日)

ニュース:ウガンダがエボラ出血熱流行を宣言

ウガンダの保健当局は20日、中央地域ムベンデ県でエボラ出血熱に感染した男性1人が死亡し、8人に感染の疑いがあるとしてエボラ出血熱の流行を宣言した。ムベンデ県では9月に原因不明の死者6人がすでに出ており、当局が男性を検査したところ感染が確認された。感染拡大を抑えるために感染源の特定を進める。世界保健機関(WHO)は専門家の派遣や感染者隔離用テントの提供を予定している。
(2022年9月20日)

技術研究情報:南極棚氷の融解時期の予測を前倒し

サイエンティフィック・アメリカン誌11月号は、2019年11月と20年1月におこなわれた調査探検の結果、南極のスウェイツ棚氷の融解は数年前に予測されていたより早く始まり、10年以内の崩壊が見込まれるとする記事を掲載した。棚氷は氷河が海水に流れ込むのをせき止めるダムの役割を果たしており、崩壊すると氷河の融解が大いに加速される。スウェイツ氷河が完全に融解した場合、世界の海面は約65センチ上昇する。そしてスウェイツ氷河の融解が西南極にある他の氷床を不安定化させると、海面は3.2メートル上昇するという。
【関連リンク】
https://www.scientificamerican.com/article/antarcticas-collapse-could-begin-even-sooner-than-anticipated/
(2022年10月19日)

技術研究情報:震動感知による洪水の早期警戒―ゲッティンゲン大学研究

地震探知のためにすでに設置されている震動センサーを利用して、洪水を1.5キロ遠方から検知し、早期警戒に役立てる方法があることを独ゲッティンゲン大学の研究チームが突き止めた。また、洪水の振動の到達範囲を計測することで、洪水の規模、速度、土砂輸送量といった情報をリアルタイムで得ることができ、今後の洪水被害減少に役立てられるという。研究結果はジオフィジカル・リサーチ・レターズ誌に掲載された。
【関連リンク】
https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1029/2022GL100170
(2022年10月13日)

技術研究情報:病院のハリケーン浸水リスクを検証―ハーバード大学研究

米国の大西洋とメキシコ湾の沿岸に位置する病院の浸水リスクについて、初の体系的な調査結果がハーバード大学公衆衛生大学院の研究チームによって公表され、比較的弱い熱帯低気圧でも沿岸部の病院に深刻な浸水リスクをもたらすことが報告された。調査対象は78の都市圏にある沿岸10マイル(16キロ)以内の682軒の病院で、米国民の4人に1人にあたる8500万人の需要に対応している。そのうち25の都市圏では過半数の病院が、カテゴリー2のハリケーン(風速の5段階評価の下から2番目)が上陸すると浸水するおそれがあるという。
【関連リンク】
https://www.hsph.harvard.edu/c-change/news/hospitals-at-risk-of-flooding/
(2022年9月29日)

技術研究情報:電線の一部地中化でハリケーンの影響が激減

ハリケーンによる停電を減らすには、主な配電ポイントの付近を中心に電線路の5%を地中化するだけで、停電の影響を受ける住民の数をほぼ半減する効果があることが、プリンストン大学の研究により明らかになった。ハリケーンにより5日間以上続く停電が20年に1回以上起きるリスクは、今世紀末までに23倍になると考えられている。また、ハリケーンにより停電する被災地は熱波にも見舞われることが予測されており、停電を防ぐことで被害を減らすことが期待される。研究結果はネイチャー・コミュニケーションズ誌に掲載された。
(2022年9月23日)

報告書など:FEMA「サイバーインシデント対応計画の検討事項―危機管理担当者の手引き」(草案)

危機管理担当者は、サイバーインシデントに対する準備と対応に中心的な役割を果たす。サイバーインシデントの技術的専門家でなくてもよいが、自分の地域社会と業務に対するインシデントの潜在的影響を理解し、それに備えることが求められる。有害事象(ハザード)の種類にかかわらず、インシデントが発生した際の協力相手をあらかじめ知り、有効な事態対処計画を立てておくことは、危機管理担当者の主な役目である。本手引書は、州・自治体の危機管理担当職員が協力してサイバーインシデントに備え、対応計画を作成する際の助けとなることを目的として作成された。
【関連リンク】
https://www.fema.gov/sites/default/files/documents/fema_planning-considerations-for-cyber-incidents_2022.pdf
(2022年10月発行、54ページ)

報告書など:GAO報告書「公衆衛生準備体制―保健社会福祉省は戦略的国家備蓄の要件と在庫リスクに取り組む必要がある」

米国の戦略的国家備蓄は、緊急時に使用するための医薬品や資材など数十億ドル分の在庫品からなる。新型コロナウイルス流行によってその重要性が浮き彫りになった。保健社会福祉省の在庫計画報告書は、2019年に法制化された要件を満たしておらず、推奨される在庫水準に達しない場合のリスクについて報告しなかった。同省は備蓄計画の手順を改める必要がある。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-23-106210
(2022年10月17日発行、71ページ)

報告書など:米空軍「気候行動計画」

本計画は米空軍が気候変動の下で作戦能力を維持し、回復力を高め、今後の気候変動の影響の緩和に貢献することを目的として、具体的で測定可能な目標と主な結果を定義する。政策・方針、技術革新、作戦の発展が気候変動の下で有効であり続けるための空軍全体のアプローチを示す。優先事項は、気候変動リスクの下でも空と宇宙空間における優位を維持すること、空軍の業務に関する決定は気候変動に関する情報に基づいておこなうこと、エネルギー利用を最適化しコスト競争力のある代替エネルギー源を利用することである。
【関連リンク】
https://www.safie.hq.af.mil/Programs/Climate/
(2022年10月4日発行)

報告書など:GAO報告書「核兵器のサイバーセキュリティ―国家核安全保障局は基本的なサイバーセキュリティ・リスク管理慣行を完全に実施すべきだ」

国家核安全保障局(NNSA)は最先端コンピュータへの依存を高めており、核兵器や製造機器にデジタルシステムを組み込んでいるが、これらのシステムは不正にアクセスされるおそれがある。連邦政府の法令や政策によると、サイバーセキュリティ管理プログラムを設ける際はリスク管理の責任の割り当てなど6つの慣行を取り入れることが適切である。しかし、NNSAやその契約業者はこれらの慣行を完全に実施するに至っていない。また、NNSAと契約業者による下請け業者のサイバーセキュリティに対する監督体制は一貫していない。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-22-104195
(2022年9月22日発行、81ページ)

報告書など:GAO報告書「公衆衛生緊急事態―データ管理の課題は全国的対応に影響する」

急展開する公衆衛生緊急事態に効果的に対応するには、リアルタイムでのデータの収集と共有が欠かせない。米政府はそのため、1)患者の特徴などのデータを収集する際の基準の共通化、2)情報処理システムの相互運用性、3)データの報告と共有を可能にするハード、ソフト、ネットワーク、方針からなる公衆衛生ITインフラの整備という3つの課題を克服する必要がある。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-22-106175
(2022年9月22日、2ページ)