5月分
ニュース:米農務省が災害被災農業者を援助
米農務長官は19日、昨年の自然災害によって損失を被った農家を対象に、緊急援助事業と緊急畜産援助事業から合計37億ドル(5000億円)を支出する計画を発表した。昨年12月29日にバイデン大統領が署名して発効した災害援助補正歳出法を根拠とする。同法は2022年の林野火災・干ばつ・ハリケーン・暴風雪その他の適格な災害による損害に対し37億ドルを援助すること、そのうち5億ドルは干ばつまたは林野火災による畜産農家の損害を対象とすることを定めている。
(2023年5月19日)
(2023年5月19日)
ニュース:FEMAが地域社会の災害回復力構築に補助金
FEMA(米連邦危機管理庁)は19日、災害回復力構築を目的とする地域社会のプロジェクトに1億6000万ドル(216億円)の補助金を支出すると発表した。内訳は、回復力あるインフラとコミュニティの構築(BRIC)事業に応募し選定された325件に1億3600万ドル、洪水減災支援事業に2400万ドル。このうち5400万ドルは先住民部族政府のプロジェクトに支出する。19日はバイデン大統領がインフラ投資・雇用法に署名してから18か月である。同法はFEMAの回復力・減災事業に70億ドル弱の支出を規定しており、FEMAは今回発表分を含め3.7億ドル以上の補助金を支出した。
(2023年5月19日)
(2023年5月19日)
ニュース:イタリア北部で豪雨、13人死亡
イタリア北部のエミリア・ロマーニャ州が豪雨に見舞われ、洪水や地滑りにより13人が死亡、数千人が避難を強いられた。地域によっては36時間に年平均降雨量の半分が降って土手が決壊し、氾濫した河川が町や農地に流れ込んだ。イモラ市では5月21日にF1グランプリ自動車レースが予定されていたが、現地の緊急対応組織が救助活動で手一杯であり、被災地域の会場に観衆が押し寄せることによる混乱を避けるため、中止が決定された。イタリアでは昨年11月に南部ナポリ湾のイスキア島の豪雨による地滑りで12人が死亡、昨年7月には熱波によりアルプスで雪崩が発生し11人が死亡するなど、異常気象災害が多発している。
(2023年5月18日)
(2023年5月18日)
ニュース:世界の気温は5年以内に史上最高になるとの予測
世界気象機関(WMO)によると、世界の気温は温室効果とエルニーニョ現象により5年以内に記録破りの高温に達する可能性が高いという。2023年から27年のいずれかの年に、世界の地表付近の年平均気温が産業革命前より1.5度以上高くなる可能性が66%あり、記録が始まって以来もっとも気温の高い1年間および5年間となる可能性が98%あるという。
(2023年5月17日)
(2023年5月17日)
ニュース:サルモネラ菌感染治療薬の再検証
サルモネラ菌感染の際に用いられる抗菌薬に対する菌の耐性が年々高まっており、重症の感染者の治療に有効な薬の選択肢が限られてきている。そのため、今後も推奨できるサルモネラ菌感染治療薬の種類を改めて検証した研究結果が、米フロリダ州で開催された感染症の学会で報告された。重症の感染者には従来どおりセフトリアキソン、軽症の感染者には従来用いられてきたフルオリキノロンではなく耐性の低いトリメトプリム・スルファメトキサゾールの投与を推奨している。
(2023年5月15日)
(2023年5月15日)
ニュース:WHOがポリオに対する緊急事態宣言延長を勧告
世界保健機関(WHO)はポリオウイルスの国際的な拡散に関して、国際保健規則に基づく第35回の緊急委員会を開催し、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」の延長を勧告する同委員会の声明を5月12日付で発表した。ポリオに対するこの緊急事態は2014年5月5日に宣言された。現状は依然としてその要件を満たしていると判断し、ポリオ発生国へ渡航する際は予防接種や追加接種を検討するよう呼びかけている。
(2023年5月13日)
(2023年5月13日)
ニュース:世界の国内避難民と難民が史上最多を記録
ノルウェー難民評議会は、2022年の世界では、史上最多の711万人が住む家を失って国内避難民または難民となったとする報告書を発表した。主な原因はウクライナでの戦争、パキスタン大洪水、今も続く新型コロナウイルス・パンデミックの影響である。穀物の主要輸出国ウクライナでの戦争による食糧危機も事態を悪化させた。国外に出た難民の4分の3の出身国はシリア、アフガニスタン、ウクライナ、スーダン、コンゴ民主共和国など10か国に集中している。3年連続のラニーニャ現象によるパキスタン、ナイジェリア、ブラジルでの洪水、ソマリア、ケニア、エチオピアでの干ばつといった気象の影響も大きい。
(2023年5月11日)
(2023年5月11日)
ニュース:コンゴ民主共和国で豪雨による大規模な地滑り
豪雨が続くコンゴ民主共和国東部で5月4日に河川が氾濫、土砂崩れが発生し、400人以上の死亡が確認され、多数が行方不明となっている。南キブ州カレヘ地区の2集落に被害が集中している。土砂で道路が寸断されており救助隊が接近できず、被害拡大が懸念される。
(2023年5月10日)
(2023年5月10日)
ニュース:米政府が新型コロナ緊急事態宣言を解除
米政府は新型コロナウイルス感染症を理由に2020年1月宣言した公衆衛生上の緊急事態を、5月11日解除した。これにより、無料検査や検査キット配布は終了し、連邦政府職員や契約業者が新型コロナウイルスワクチンを接種する義務も、外国人が空路で米国へ入国する際に接種証明を提示する義務もなくなる。緊急事態宣言後、新型コロナウイルス感染症による米国内の死者は110万人を超えたが、2021年1月から死亡率は95%、入院率は91%減少し、公衆衛生上の危機は収束したとして宣言解除を決めた。
(2023年5月10日)
(2023年5月10日)
ニュース:米国防総省が科学技術戦略を発表
米国防総省は5月9日、国防における科学技術面の優先事項や目標を明文化した国防科学技術戦略(公開版)を発表した。国防総省が科学技術への投資の判断を脅威情報に基づいて緻密におこなうための情報システムとプロセスの構築、新しい軍事能力を迅速・大規模に創造・配備するためのイノベーション・エコシステムの育成、研究開発基盤の確保に注力する。
【関連リンク】
https://media.defense.gov/2023/May/09/2003218877/-1/-1/0/NDSTS-FINAL-WEB-VERSION.PDF
(2023年5月9日)
【関連リンク】
https://media.defense.gov/2023/May/09/2003218877/-1/-1/0/NDSTS-FINAL-WEB-VERSION.PDF
(2023年5月9日)
ニュース:米農務省が防火帯拡大に補助金
米農務省は林野火災を抑制し消防士を守るための防火帯拡大に、補助金6300万ドル(85億円)を支出する。財源は2021年のインフラ投資・雇用法と2022年のインフレ抑制法により確保されている。コロラド州、モンタナ州、オレゴン州、サウスダコタ州、ワイオミング州での事業を対象に、林野火災の延焼を防ぐ道路や河川に沿った防火帯を住民とともに指定し、拡大する。
(2023年5月8日)
(2023年5月8日)
ニュース:WHOが新型コロナ「緊急事態宣言」終了を宣言
WHO(世界保健機関)は5月4日、専門家による委員会を開き、新型コロナウイルス感染症による死亡率の低下や医療システムへの負担の減少などにより、多くの国で通常の生活が戻りつつあると指摘した。これを受けてテドロス事務局長は、2020年1月に宣言した「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の終了を宣言した。新型コロナ対策は、緊急事態から他の感染症と同様の管理をおこなう新たな段階を迎えた。
(2023年5月4日)
(2023年5月4日)
ニュース:アラスカで林野火災の脅威が深刻化
米アラスカ州の最大都市アンカレジは2019年に最高気温32度を記録し、2016年以後5件の大きな林野火災が発生している。今まで林野火災のなかった米国北部の都市部でも、地球温暖化により林野火災の脅威が高まっており、各地の消防は警戒を強めている。アンカレジの新興住宅地ヒルサイドは、急な斜面に森の外れまで造成され3万5000人が住んでいるが、他の地域への道路は1本しかなく、災害時は渋滞して避難できないおそれがある。今年はエルニーニョ現象が予測されており、林野火災が起きやすくなるとして国立気象局は注意を呼びかけている。
(2023年4月30日)
(2023年4月30日)
技術研究情報:夏場の干ばつをピンポイント予測
米国立大気研究センター(NCAR)は、米国西部における夏季の干ばつを数か月前にピンポイントで予測する試みをおこなっている。統計と機械学習を組み合わせて冬季と春季の主要な干ばつ指標を分析し、続く夏季の各地における乾燥度との相関を予測する。予測は1か月から3か月前に可能で、的中率は81から94%、地理的精度は4キロメートル以内だという。研究費は国立大洋海気庁、米国科学アカデミー、米国地質調査所が提供している。論文はWater Resources Research 3月号に掲載された。
【関連リンク】
https://doi.org/10.1029/2022WR033734
(2023年5月17日)
【関連リンク】
https://doi.org/10.1029/2022WR033734
(2023年5月17日)
技術研究情報:体内の放射性物質を除去する経口薬の治験開始
生体内に取り込まれた放射性物質を取り除く、初めての経口薬の臨床試験が始まった。すでに米食品医薬品局(FDA)が承認した放射性物質の体外除去剤はジエチレントリアミンペンタ酢酸が有効成分で、医療従事者が点滴する必要があり、プルトニウム、アメリシウム、キュリウムと結合して排出する。今回治験中のHOPO 14-1は、経口カプセルなので備蓄と緊急時の使用が容易だ。非臨床試験では前記の3元素のほかウラニウムやネプツニウムなど多数の放射性物質を除去している。HOPO 14-1は2006年に発見され、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の資金で開発されてきた。
(2023年5月15日)
(2023年5月15日)
報告書など:GAO報告書「FEMA―組織管理を強化し、増大する課題に対処する機会」
全米の災害準備と対応を牽引する中でFEMA(連邦危機管理庁)が直面する課題と同庁の戦略計画について、GAO(米議会の政府監査院)の国土安全保障・司法担当官が下院運輸・インフラ委員会経済開発・公共建物・危機管理小委員会で証言した。長らく問題となってきた労働力管理の問題と、災害復旧への米政府の断片的な対応が、FEMAの活動を困難にしている。FEMAおよび他省庁はGAOが指摘した問題に取り組んでいるが、GAOの推奨策を完全には取り入れていない。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-23-106840
(2023年5月17日発行、20ページ)
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-23-106840
(2023年5月17日発行、20ページ)
報告書など:GAO報告書「緊急警報―NOAAは津波警報が必要な人々に確実に届くよう、追加の措置をとるべきである」
国立海洋大気庁(NOAA)は、津波発生時の警報を、テレビ・ラジオの緊急放送、携帯電話へのショートメッセージ、ソーシャルメディアやウェブサイトへの投稿により発信している。同庁は、津波発生時に市民が重要な情報を簡単に入手できるように、ウェブサイトの改善などの措置を講じている。津波リスクの高い先住民居留地、農漁村、遠隔地などの住民に警報を確実に届けるため、さらなる取り組みを推奨する。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-23-105961
(2023年5月16日発行、33ページ)
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https://www.gao.gov/products/gao-23-105961
(2023年5月16日発行、33ページ)
報告書など:GAO報告書「FEMA災害対応要員―より的確な採用データを収集し、人手不足を解消する措置が必要」
ハリケーン、林野火災、パンデミックなど災害が頻繫化・複雑化しているので、FEMAの活動の需要も増えているが、FEMAはそれに応じる職員体制の構築に苦闘している。2019年から入局者数は定員を割っており、必要なポストの空席は増え続けている。FEMAは職員採用にかかる時間の削減に努めているが、その取り組みの有効性を判断するための正確なデータを保有していない。GAOは、FEMAが採用データの収集方法および必要なポストの空席を埋めるための取り組みを評価する方法を改善することを推奨する。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-23-105663
(2023年5月2日発行、36ページ)
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https://www.gao.gov/products/gao-23-105663
(2023年5月2日発行、36ページ)
報告書など:FEMA「情報共有 官民パートナーシップのための手引き」(草稿)
災害への備え、災害時の対応および復旧のためには、行政・企業・NGOが情報共有能力の強化のため協働することが求められる。状況把握、活動の準備体制、災害回復力を構築するための意思決定を改善するため、情報は欠かせない資産である。防災・危機管理における官民パートナーシップ構築のための手引きの草稿を4月25日から5月24日まで公開し、意見を募集した。
(2023年4月、28ページ)
(2023年4月、28ページ)
報告書など:「協働がカギ―2021年の洪水発生時におけるドイツの重要インフラの対応」
2021年ヨーロッパ洪水のうちドイツ西部における対応を、国連大学環境・人間安全保障研究所(ドイツ・ボン)の研究者たちが評価した。対応には協働、調整、コミュニケーション、情報管理、時間管理といった組織要因がカギであり、それに物質的、人的、社会的要素と、それを取り巻く災害の文脈の法的枠組みと政策が関わってくる。しかし、実行された対応は、実現可能な要素を欠き、被災者のニーズに基づかないものであったので、不十分な対応に終始した。準備体制の計画にあたっては重要インフラ、その相互依存性、協働プロセスに十分な配慮が必要であることが再確認された。論文はInternational Journal of Disaster Risk Reduction誌6月号に掲載された。
【関連リンク】
https://doi.org/10.1016/j.ijdrr.2023.103710
【関連リンク】
https://doi.org/10.1016/j.ijdrr.2023.103710
報告書など:GAO報告書「抗生物質耐性―米政府省庁は対策を始めたが、さらなる措置が必要」
抗生物質耐性をもつ感染症は治療が困難または不可能となりうる。米疾病管理予防センター(CDC)では、医療機関で発生した抗生物質耐性をもつ感染例のデータが不足している。薬剤耐性の検査方法を開発して利用を促進するためには、さらなる研究が必要である。また、新しい抗生物質の候補は十分な数が開発されておらず、開発のためのインセンティブを米政府が十分に与えていない。抗生物質の適正使用に関する米政府の要件は、病院と介護施設にしか適用されていない。GAOの医療問題担当官と科学・技術評価・分析担当官が、下院エネルギー・商務委員会監督・調査小委員会で証言した。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-23-106776
(2023年4月28日発行、17ページ)
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https://www.gao.gov/products/gao-23-106776
(2023年4月28日発行、17ページ)