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6月分


ニュース:カナダの林野火災で米東部に深刻な大気汚染

高温と乾燥が続いたカナダで林野火災が400件以上発生し、米国に到達した煙による大気汚染が問題となっている。5月には西部のアルバータ州やサスカチュワン州からの煙のため、米国西部・中西部の9州が大気汚染警報を出した。6月5日以降、ケベック州からの煙が米国東部に達した。ニューヨーク市の大気汚染は6日時点で世界の大都市で最悪、7日には1966年のスモッグ以来最悪となった。米国立気象局は東海岸のほぼ全域に大気汚染警報を発令し、西はオハイオ州やカンザス州に至る地域の住民に、屋外活動を控えるよう呼びかけた。ニューヨーク州保健当局は小児や呼吸器系疾患患者に対し、外出が必要なときは高機能マスクの着用を推奨した。米政府はカナダの消火活動に協力するため、消防士を約600人派遣した。
今年のカナダの林野火災シーズンは例年より早く始まった。そのうえ、すでに約2400件の火災で合計4万4000平方キロメートルが焼けており、この面積は過去10年間の平均の約15倍である。カナダの全ての州で異常な乾燥や中程度ないし重度の干ばつが観測されている。高温と相まって林野火災の延焼が長期化しており、今後も大規模な林野火災の発生が懸念される。
(2023年6月9日)

ニュース:DJI社製ドローンの乗っ取りに成功

セキュリティ会社IOActive社が中国DJI社製のドローンに対し、公開されている脆弱性や非侵襲的技術を用いてコードを入力して実行させる実験の結果を公表した。実験の結果、ファームウェアの更新時に適切なタイミングで特定の電磁的な不具合を注入すれば、ドローンに侵入できることがわかったという。DJI社製のドローンはセキュリティに定評があり、市販品の市場の7割を占有している。もっとも人気が高いMavic Proシリーズは、中古品もインターネット上で多数が売買されている。
【関連リンク】
https://ioactive.com/drone-security-fault-injection-attacks-gabriel-gonzalez/
(2023年6月1日)

ニュース:カナダ政府、初の災害リスク評価を公表

カナダ政府はこのほど全国的な戦略的災害リスク評価を初めて公表した。カナダのもっとも深刻な災害である地震、林野火災、洪水のリスクを検証し、カナダが直面する災害リスクの全貌、現行の対策やリソース、防災・危機管理システムを説明することで、国民が各自にとっての災害リスクを理解し、災害に備え、復旧活動をおこなうことが可能となるように作成されている。
【関連リンク】
https://www.publicsafety.gc.ca/cnt/mrgnc-mngmnt/ntnl-rsk-prfl/index-en.aspx
(2023年5月26日)

ニュース:気候変動のリスク評価モデリングをおこなう共同機関を創設

米国の国立科学財団(NSF)と海洋大気庁(NOAA)は、保険業界が気候・気象の情報を金融リスクと社会的リスクに換算するのを支援する目的で、産学共同研究センター(IUCRC)の創設を支援する合意を結んだ。保険業界はこれまで、過去の破局的災害のデータ、建築基準、構造物の情報などに基づいて将来の災害による損害を予測してきた。こうした大災害モデルは気候の予測を十分に組み込んでおらず、気候変動リスクが正確に数値化されていないおそれを指摘する研究もある。産学共同研究センターは、気候モデルと大災害モデルを組み合わせて保険・再保険・住宅ローンの意思決定ツールを改善し、人材を育成する。
(2023年5月25日)

技術研究情報:ドローンで野焼きをして林野火災を予防―ネブラスカ大学

大規模な林野火災を起きにくくするため、燃えやすい下生えなどをあらかじめ焼き払う野焼きがおこなわれてきたが、火をつける消防士にとって危険な作業でもある。ネブラスカ大学リンカーン校は、野焼きのために着火具を投下するドローン「IGNIS」を開発し、特許を取得した。GPS測位・航法システム、赤外線カメラ、過マンガン酸カリウムを含むピンポン球大の球400個を搭載する。操縦者がコースを設定し、球の投下を指示すると、IGNISは球に不凍液を注入して投下する。球は地上で発火する。1回のペイロードで50-75エーカー(20-40ヘクタール)を焼くことができる。すでにネブラスカ、アリゾナ、カリフォルニア、コロラド、オレゴン、テキサスの各州で使用されている。
【関連リンク】
https://nrt.unl.edu/nrt-director-team-awarded-patent-fireball-dropping-drones
(2023年6月17日)

技術研究情報:林野火災延焼拡大の原因は人間活動―ローレンス・リバモア国立研究所

米カリフォルニア州における近年の夏季の林野火災は、過去よりも広く延焼している。この傾向の原因は、人間活動による気候変動だと、ローレンス・リバモア国立研究所の研究員らは結論した。高温や干ばつの原因が気候の自然なばらつきなのか、それとも人間活動による気候変動なのかを見極めるのは困難だが、シミュレーションによると人為的気候変動は気候の自然なばらつきよりも焼失面積を172%広げる効果があった。2031年から2050年にかけては、カリフォルニア州における平均的な夏季の焼失面積は現在より52%増えると予測している。研究結果は米国科学アカデミー紀要に掲載された。
【関連リンク】
https://www.llnl.gov/news/human-caused-climate-change-center-recent-california-wildfires
(2023年6月14日)

技術研究情報:大規模産業災害の健康と人的資本への長期的影響

1984年12月にインドのマディヤ・プラデーシュ州ボパールで発生した、ユニオン・カーバイド・インディア社の化学工場からのガス漏れ事故は、世界最悪の産業災害と評されることが多い。このボパールガス災害の長期的影響に関する研究結果がカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者チームによって発表された。母親の胎内における被災と、健康および社会的状況との因果関係を、出生コホートの比較と地理的な差分の差分法により推定した。1985年にボパールで生まれた男性は、がん罹患率や雇用に影響する障害のある確率が高いこと、教育水準が低いことなどが報告されている。また、ガス漏れの影響が及んだ範囲は当時考えられていたよりも広く、100キロメートル遠方でも影響が確認されたという。
【関連リンク】
https://bmjopen.bmj.com/content/13/6/e066733
(2023年6月13日)

技術研究情報:被災地支援に適した水素トラックを試運転

災害被災地では、支援に入った車両が燃料を補給できないことが多い。そこで米国土安全保障省科学技術局は、燃料補給なしで72時間稼働する支援トラックを陸軍工兵司令部、国防総省、エネルギー省、カミンズ社、FEMA(連邦危機管理庁)などと共同開発し、一連の試運転を完了した。このH2@Rescueトラックは自走式発電機にもなり、米国の平均的な住宅20軒に相当する25キロワットを供給し、避難所の照明や通信用トレーラーにも電力を供給することができ、騒音は出さない。エネルギーを蓄えて自走させ、電力を供給する燃料電池車は、被災地支援活動に適している。
【関連リンク】
https://www.dhs.gov/science-and-technology/publication/hydrogen-fuel-cell-powered-emergency-relief-truck-fact-sheet
(2023年6月10日)

技術研究情報:災害による人的資本の喪失

自然災害による人的資本の喪失が経済的不平等を悪化させる大きな要因であることを示す研究結果が発表された。ランド研究所、ペンシルバニア大学およびAmazonの研究者のチームが包括的なデータを収集し、自然災害による人的資本への影響を評価した結果、被災者の教育機会や財産の喪失による地域の総所得の減少は、不動産の損害に匹敵するという結論を得た。論文はNature Human Behaviour誌に掲載された。
【関連リンク】
https://www.nature.com/articles/s41562-023-01610-z
(2023年6月5日)

技術研究情報:温暖化によりフラッシュ干ばつが増加―オクラホマ大学

数週間で深刻化する突発的な干ばつ(フラッシュ干ばつ)が頻繫化している。オクラホマ大学のチームは、この頻繫化に対する温暖化の影響や、世界の耕作地に対する影響を研究した。耕作地で1年間にフラッシュ干ばつが起きるリスクは、2015年の北米と欧州では32%だったが、2100年には北米で49%、欧州で53%に達すると予測している。フラッシュ干ばつによる凶作は、食糧価格の高騰や暴動といった社会経済的圧力の増加にもつながる。研究結果はNature Communications Earth and Environment誌に掲載された。
【関連リンク】
https://www.nature.com/articles/s43247-023-00826-1
(2023年5月26日)

技術研究情報:カキ礁による海岸防護―米豪共同研究

米ラトガース大学や西オーストラリア大学の研究者チームが、カキ礁による海岸防護に取り組んでいる。カキ礁の骨格となるモジュールを設計し、波力の70%を防ぐ防波堤として育てて、メキシコ湾沿岸のフロリダ州パナマシティに設置することをめざしている。米国防高等研究計画局(DARPA)から1260万ドル(18億円)の資金を得ている。海岸を浸食から守ることは、津波や高波の被害を減らし、沿岸部の市民生活や国防インフラを守るため重要である。また、防波堤から離れた場所でも湿地帯や海藻などの生態系を成長させることができる。DARPAは別に、サンゴ礁を防波堤として育てるマイアミ大学(フロリダ州)とハワイ大学の2チームにも資金を提供している。
(2023年5月22日)

報告書など:GAO報告書「暴力的過激主義とテロリズム―米政府省庁は国内の脅威に対してさらなる手段をとることができる」

暴力的過激主義と国内テロリズムによる、国内の安全に対する脅威が増している。FBI(連邦捜査局)や国土安全保障省など米政府省庁は、この種の脅威の防止と対抗に取り組んでいるが、改善の余地がある。例えば、暴力的過激主義を防止し国内テロリズムに対抗する包括的な戦略を策定することができる。2021年の米議会議事堂襲撃事件のような事態を予防し、発生時には対処するため、情報共有の方法を改善することもできる。報告および事業評価のための事件データ収集を、調整しておこなうこともできる。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-23-106758
(2023年6月15日、3ページ)

報告書など:イスラム過激派テロは依然として大きな懸念―欧州刑事警察機構

欧州刑事警察機構(ユーロポール)が14日発表した年次報告書は、イスラム過激派テロの件数は2年連続で減っているものの、テロリズムの中では依然としてEUにとって最大の脅威であるとの加盟国の見解を示した。2022年のEU域内では16件のテロ攻撃が実行され、12件が失敗または未然に防止された。被害者が死亡したテロはイスラム過激派の2件と極右の1件で、合計4人が命を落とした。IS(いわゆる「イスラム国」)やアルカイダなどの組織に属するEU居住者は減っている。その一方で、孤立して自己過激化した者が一匹狼型の攻撃をおこなったり、知り合いや友人といった関係で緩やかにつながったネットワークを作り、オンラインプラットフォームを利用して準備したりする傾向がみられるという。
【関連リンク】
https://www.europol.europa.eu/publications-events/main-reports/tesat-report
(2023年6月14日)

報告書など:米国土木学会「建物や構造物の不均衡崩壊の可能性を軽減するための基準 ASCE/SEI 76-23」

不均衡崩壊とは、一部の崩壊という「大元の原因と構造物の大部分または全体の崩壊という結果の間に顕著な不均衡のある」崩壊であると、米国土木学会のこの新基準は定義している。そして、構造物を補強したい民間の所有者・開発業者および規制当局者に向けて、専門家の意見が一致する対策を示している。新築と既存の建物・構造物について計画、評価、分析、材料の選定、設計、建設、試験の最低基準を記述している。「十分な強度、延性、変形能力、構造安定性」をもって設計・建設することで、不均衡崩壊に抵抗することを求めている。爆発に抵抗するための設計要件は、最近更新された「建物の爆発防護 ASCE 59」など別の基準に記述されている。
【関連リンク】
https://ascelibrary.org/doi/book/10.1061/9780784415931
(2023年6月12日発行、59ページ)

報告書など:GAO議会証言報告書「林野火災―米政府省庁は消防職員の採用と保持に対する障壁に直面している」

米農務省森林局と内務省内の4機関では1万8700人の職員が消防活動に従事している。低賃金、キャリア向上の課題、ワーク・ライフ・バランスの悪さといった労働環境の問題のため、消防職員(火災管理専門家や支援職員を含む)を採用して引き留めることが難しくなっている。農務省森林局と内務省は対策を講じているが、成果を測るのはまだ早い。GAO(米議会の政府監査院)の天然資源・環境担当官が、上院エネルギー・天然資源委員会で証言した。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-23-106888
(2023年6月8日発行、9ページ)

報告書など:GAO報告書「人獣共通感染症―監視を強化し、野生生物がヒトに与える健康リスクをより正確に評価するため、米政府の措置が必要」

動物とヒトの間でも感染する病原体による人獣共通感染症は200種類以上あり、米国の野生生物にも海外から持ち込まれる動物にもリスクがある。米政府機関は国内の野生生物の人獣共通感染症に対するサーベイランスシステムを整備中だが、新たに出現した感染症の情報を共有するなど、より協力する必要がある。野生生物の輸入規制に関する米政府の規則の一部は、過去の感染拡大に応じて定められており、将来の感染拡大を積極的に防止するのには不十分かもしれない。GAO(米議会の政府監査院)はこうした懸念への対策を推奨した。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-23-105238
(2023年5月31日、60ページ)

報告書など:ブルッキングス研究所「米国の災害政策改革のための4つの指針」

災害時の米政府による州・自治体への援助の根拠法である、スタッフォード法は35年前の11月に制定された。同法制定後、自然災害発生は頻繫化し、異なった形の災害支援や準備体制が必要になってきた。今後、新たな災害政策が論じられていく中で政策決定者が考慮すべき点として、ブルッキングス研究所は災害政策とプログラム改革の核となる4原則、公正さ、有効性、効率性、環境的価値を提唱する。
【関連リンク】
https://www.brookings.edu/blog/the-avenue/2023/05/25/four-principles-for-reforming-us-disaster-policy/
(2023年5月25日)

報告書など:FEMA「地域減災計画ハンドブック」

減災計画への関与を地域社会全体に促し、リスクを評価し、さまざまなリソースを活用することによって、自治体は住民、経済、自然環境へのリスクを減らすことができる。このハンドブックは、自治体・特定目的地区が減災計画を策定・更新する際の指針であり、FEMAの「地域減災計画政策ガイド」の姉妹編である。同ガイド(2022年4月公開、23年4月施行)は、自治体が連邦規則集の要件の理解することを助け、また、地域減災計画を審査する国・州の当局者が自治体に訓練と技術支援を提供することを助ける。ハンドブックのほうは、自治体が地域減災計画を立てるための助言やアプローチ、ケーススタディ、定義、リソースなどを提示している。減災計画の核心の減災戦略は、リスク評価により割り出した潜在的損失を減らすための長期的な設計図である。
【関連リンク】
https://www.fema.gov/sites/default/files/documents/fema_local-mitigation-planning-handbook_052023.pdf
(2023年5月発行、253ページ)