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5月分


ニュース:海底通信ケーブル保守をめぐる安全保障上の懸念

ウォールストリート・ジャーナル紙は5月19日、海底通信ケーブルを保守する中国国営企業S.B.サブマリン・システムズ(SBSS 中英海底系統有限公司)に対し、国務省や米議会が安全保障上の懸念を示していると報じた。SBSSの船が保守作業の際に、海上で自らの位置を発信する自動船舶識別装置を停波することがしばしばある。米国側はこうした特異な行動を説明するようSBSS社側に求めているが、明確な回答が得られず、警戒感を強めている。海底光ファイバーケーブルは世界の通信ネットワークの重要インフラであり、民生用・軍用双方の通信に欠かせない。ケーブル敷設保守船は、ケーブルに物理的に接続して通信を傍受したり、海底の地形やケーブルの位置を測量したりできるので、安全保障上きわめて重要な情報を収集・改変する手段となりうる。
(2024年5月19日)

ニュース:基本的なサイバー慣行が重要―米国家情報長官

米国のヘインズ国家情報長官は5月2日、上院軍事委員会で証言し、米国の電力・水道・ガスなどインフラシステムが敵対者に不正アクセスされた事例の多くは、サイバーセキュリティ慣行を実施していれば防止できたと述べた。今年頻発している産業用制御システムへの侵入は、パスワードが弱いか初期設定のまま、すでに知られている脆弱性を修正していない、またはネットワーク接続のセキュリティが不十分な場合がほとんどだった。1回の攻撃によって公共サービスが広範に妨害される確率は低いものの、攻撃の回数が増えており、攻撃者が重要インフラの制御システムにアクセスして乗っ取る意思が強まっているので、多数の攻撃の少なくとも1回が重大な損害を与える確率は上がっていると指摘した。
(2024年5月8日)

ニュース:ブラジル南部で洪水被害

ブラジル南部で4月29日以降の豪雨により洪水や地滑りが発生し、すでに100人の死亡が確認されたが、130人が行方不明となっており、死者がさらに増えるおそれが強い。リオグランデドスル州は緊急事態宣言を発令し、倒壊した家屋、橋、道路などの下に生き埋めになったとみられる人々の救助を急いでいる。州都ポルトアレグレを流れるグアイバ川の水位は5メートル以上上がり、1941年の大洪水時の記録を更新している。
(2024年5月8日)

ニュース:露ハッカー集団が米国の多数の水処理施設を攻撃

ロシア政府寄りのハッカー集団が、以前に報告されていたよりはるかに多くの米国内の水処理施設を攻撃していたことが、米CNNの入手した資料により明らかになった。飲料水への影響はなかったものの、安全性への脅威に対処する資金や人員に乏しい地方の水道処理施設の実態がつまびらかになった。攻撃された施設は、脆弱なパスワードを用いた旧型の機器を利用していたケースが多く、侵入が比較的容易だったと資料に記されている。今年1月、サイバー攻撃を受けたテキサス州北部の施設で貯水タンクがあふれる事故が報告されている。ハッカー集団が米インディアナ州の下水処理場やフランスのダム、ポーランドの水道施設も攻撃対象としていたことも明らかになっている。
(2024年5月1日)

ニュース:米国務省がドイツに渡航危険情報

米国務省は5月1日、ドイツでテロ攻撃のおそれが高まっているという渡航危険情報を出し、危険度を下から2番目のレベル2に引き上げた。観光スポット、交通機関、ショッピングモール、空港、政府施設、ホテル、レストラン、宗教施設、大型イベント会場といった公共の場所が、前触れなくテロ攻撃をうけるおそれがあるとして警戒を呼びかけている。
(2024年5月1日)

ニュース:今年は大西洋ハリケーンが極めて活発という予報

米コロラド州立大学大気科学部は、今年の大西洋では1991-2020年の平均(以下「平年」)よりもかなり多くのハリケーンが発生すると予報した。命名暴風雨(米国立ハリケーンセンターが命名する最大風速17.4メートル以上の暴風雨)は23個発生して115日観測され(平年は14.4個、69.4日)、ハリケーンは11個発生して45日観測され(同7.2個、27.0日)、カテゴリー3以上の大型ハリケーンは5個発生して13日観測される(同3.2個、7.4日)と予報した。大型ハリケーンが米国またはカリブ海の島に上陸する確率も、平年よりかなり高いという。大西洋の熱帯低気圧積算エネルギー(ACE)は平年の約170%と予測している。4月時点でこれほど多数のハリケーンの発生を予報するのは初めてだという。大西洋の水温が平年より高いので、直接にハリケーンのエネルギー源にもなるし、気圧を下げて大気を不安定にすることを通じてもハリケーンの発生を助ける。また、今の熱帯太平洋のエルニーニョ現象を受けて、ハリケーンのシーズンたけなわの8-10月にラニーニャ現象が起きて、カリブ海から熱帯大西洋への高空の西風を弱め、鉛直ウィンドシアを減らすことによって、大西洋ハリケーンの発生と大型化を助けると見込んでいる。
(2024年5月1日)


ニュース:重要インフラのセキュリティと回復力に関する米大統領覚書

バイデン米大統領は4月30日、あらゆる危険に対する米国の重要インフラのセキュリティと回復力の強化を目的とする国家安全保障覚書22号に署名し公表した。米国の重要インフラに対する攻撃を準備しつつ非国家主体の悪意ある行動を容認または支援する国家との戦略的競争の時代に入ったうえに、気候変動災害やサプライチェーン・ショックにも備える必要があることを理由としている。重要インフラを防護する政府一体の取り組みを率いる権限を国土安全保障省に与え、サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)をセキュリティ・回復力国家調整部署とする。2023年国家インテリジェンス戦略の目標に基づいて、インテリジェンス・コミュニティに情報を収集・加工させ、他省庁、州・自治体、重要インフラの所有者・運用者と共有させる。重要インフラ16分野と、各分野のリスク管理機関(SRMA)として指定された連邦政府省庁を再確認する。国家サイバー戦略に沿って、16分野の内部および相互のセキュリティと回復力の最低基準を徹底する。
(2024年4月30日)

ニュース:米メキシコ湾岸で急速な海面上昇

ワシントンポスト紙は米国のメキシコ湾岸5州の海面が2010年以降、世界平均の2倍上昇しているという、衛星データの新たな分析を明らかにした。世界平均の2倍の海面上昇が続いている場所は、現在も過去も珍しいという。海面上昇は次第に減速するかもしれないが、すでに上昇した海面が低下することはないとするアリゾナ大学の気候学者のコメントを載せた。記事には「溺れる南部」という副題がついている。
(2024年4月29日)

ニュース:東アフリカで洪水被害

東アフリカで3月中旬から強風を伴う大雨が続き、各地で洪水や地滑りが発生、タンザニアでは155人が死亡、236人が負傷、ケニアでも45人以上が死亡、110人以上が負傷した。被害は両国のほぼ半分ずつに及び、タンザニアで20万人、ケニアで10万人以上が被災している。ケニアの鉄道は全土で運行を停止し、ジョモ・ケニヤッタ国際空港の滑走路が閉鎖されている。首都ナイロビ郊外の水力発電ダム2か所の水位が史上最高に達し、下流域の住民に避難が命令された。
(2024年4月29日)

ニュース:米国土安全保障省がAI安全性委員会を設置

米国土安全保障省は4月26日、AI安全性セキュリティ委員会(AISSB)を設置したと発表した。委員にはオープンAIのアルトマンCEO、アルファベットのピチャイCEO、半導体メーカーNVIDIAのファンCEOら主要なテクノロジー関連会社の代表や、AIや人権の専門家がいる。5月上旬から四半期ごとに会合を開いて、重要インフラにおけるAI(人工知能)の責任ある利用と、AIに起因するサービス中断に対する重要インフラ防護に関する提言をおこなう。また、4月29日には半年前の大統領令14110号に基づき、重要インフラに対するAIのリスクを軽減するための指針を公表した。
(2024年4月29日)

ニュース:グーグルが災害支援AIツールを米国の州兵に提供

グーグルは、災害支援活動を加速し効果を高めるため、被災地の画像を分析するAIツールを米国の州兵に提供すると発表した。グーグルの親会社であるアルファベット社内の研究部門「ベルウェザー」が航空写真を分析し、発災前の衛星画像や地図と比較して位置・道路・建造物・重要インフラを割り出す。すでに州兵とこの技術を試験運用しており、夏の林野火災シーズンには実運用を見込んでいる。
(2024年4月20日)

研究開発情報:新型コロナウイルスワクチンが重症化を防止するメカニズム

新型コロナウイルスワクチンが、接種後に感染した人の重症化を防止する効果は統計的に明らかだったが、メカニズムは明らかでなかった。オックスフォード大学の研究チームは、オックスフォード=アストラゼネカCOVID-19ワクチンとプラシーボのランダム化比較試験をおこない、接種にはCOVID-19発症時の白血球と血小板の減少を抑制する効果がある一方で、Th-2細胞に偏った、潜在的に有害な免疫反応を誘導しないことを発見した。マルチオミクス統合解析により、発症時のmiRNAの全体的減少とmRNAレベルの炎症誘発性反応が関連しているとわかった。ワクチンが重症者にみられる炎症誘発性反応を抑制することで重症化を防止する役割と、ブレイクスルー感染において媒介する益を明らかにした。また、ワクチンの評価における臨床的に有意義なエンドポイントの重要性を示した。

【関連リンク】
https://doi.org/10.1038/s41467-024-47463-6
(2024年5月18日)

報告書など:パンハンドル林野火災に関するテキサス州下院報告書

今年2月26日にテキサス州北部の回廊地帯の東部で発生し、同州史上最大の林野火災となったパンハンドル火災に関する州下院調査委員会の報告書。この火災では3人が死亡し、1万5000頭以上の牛が死に、約138軒の建物が焼失し、100万エーカー(4045平方キロ)以上の土地が燃えた。火元4か所のうち3か所では老朽化した電柱が折れたため電線が地上の乾燥した草が着火し、1か所では油ガス田敷地内で電線に触れた木の枝が着火した。消火が遅れた原因として、消防航空機が適切に配置・派遣されなかったことと、機器の不一致を一因とする州当局・自治体・対応要員の通信・調整の失敗を挙げている。石油・ガス会社に対する監視と法令の執行を強化し、電柱を検査して交換する電力会社の責任を明確化すること、航空消火体制の強化、消防団への援助、住民への防火対策の周知と動機付けを推奨している。

【関連リンク】
https://www.house.texas.gov/_media/pdf/committees/reports/88interim/House-Interim-Committee-on-The-Panhandle-Wildfires-Report.pdf?v=88
(2024年5月1日)

報告書など:FEMA「宗教組織および地域社会組織とつながる―危機管理担当者の計画における検討事項」(草稿)

危機管理担当者が宗教組織や地域社会組織と関係を築いて持続させるための基礎を提供することを目的とした手引き。これらの組織は地域の防災能力と回復力を高めるのに役立つさまざまな経験と能力を有しており、防災計画、災害対応、復旧に重要な役割を果たす。災害リスクが高く、歴史的に行政サービスが不十分だった住民の参加を得るうえでとくに効果が高い。本稿は、初版が2018年に公開された後の出来事の教訓とFEMA(米連邦危機管理庁)の事業を反映して、検討事項とリソースを追加している。FEMAは実地経験に基づく意見を最終稿に取り入れるため、5月23日、同29日、6月4日にウェビナーを開催する。

【関連リンク】
https://www.fema.gov/sites/default/files/documents/fema_engaging-faith-based-and-community-organizations_guide_2024.pdf
(2024年5月発行、31ページ)

報告書など:FEMA「気候変動適応計画―危機管理担当者のためのガイド」

気候変動に伴い、米国の自然災害の分布が変わり、各地の地域社会は新しい危険に直面している。熱波など極端な気象現象、洪水、林野火災は、頻繁化したり発生の季節が変わったりしている。こうした変化により、過去の災害に基づいて将来の災害に備える計画を立てることが難しくなっており、危機管理担当者は、災害リスクと地域社会の回復力を評価する方法を変えなければならない。本ガイドでは気候変動の地域的影響とそのコミュニケーションの方法を解説し、適応計画の6段階プロセスを説明する。

【関連リンク】
https://www.fema.gov/sites/default/files/documents/fema_climate-adaptation-planning-guide_2024.pdf
(2024年4月発行、82ページ)