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7月分


ニュース:世界各地で交通・金融・医療機関などにシステム障害

 サイバーセキュリティ会社のクラウドストライクが7月19日、セキュリティソフトウェアを更新する際、問題のあるデータを含んだファイルを配信した結果、マイクロソフト・ウィンドウズを搭載した端末でシステム障害が起き、交通・金融・医療機関などに影響が及んだ。世界の航空便の4.6%にあたる5078便が欠航した。米国の多数のテレビ局や英スカイ・ニュースの放送が中断した。クラウドストライクは19日早朝に原因を突き止めたが、世界的なシステム障害は夕刻まで続いた。影響を受けた企業がシステムを18日以前の状態に復元するのは数日かかる場合がある。
(2024年7月19日)

ニュース:米消防局が林野と市街地の接触面の火災リスクを知るためのツールを公開

 米国民の約3分の1は林野と市街地の接触面(WUI)に住んでいるが、そこにおける林野火災のリスクを理解している住民は少ない。増大する火災リスクに地域社会が対処するためには、データに基づく有効で包括的なリスク低減・減災の取り組みが求められる。各地の消防と地域社会の取り組みを支援するため、米消防局はWUIの位置と林野火災の潜在的影響への認識を高め、取り組みの手がかりとなるツールを2つ、ウェブサイトで公開した。

【関連リンク】
https://www.usfa.fema.gov/blog/new-tools-launch-to-raise-awareness-on-wildland-urban-interface-fire/
(2024年7月18日)

ニュース:トランプ前米大統領が銃撃され軽傷、観衆3人死傷

 米国のトランプ前大統領が7月13日18時11分、ペンシルベニア州西部のバトラー郡区の広場で演説中に銃撃されて右耳に負傷し、観衆の1人が死亡、2人が重傷を負った。犯人は舞台の約130メートル北にある倉庫の屋根の上からAR-15類似品の半自動小銃を8発撃った直後、シークレットサービス(USSS)の対狙撃班に射殺された。トランプ氏は警護官に囲まれて立ち上がり、観衆に向かって右の拳を掲げて「ファイト!」と3回叫んでから連れ出され、近くの病院で手当てを受けた。犯人の20歳の男は現場の約80キロ南に住む介護施設職員で、犯行にあたり他者に支援された形跡はない。銃は父親が合法的に購入していた。USSSは大統領選の主な候補者の警備を計画して州・自治体の警察に業務を割り当てている。銃撃を防ぐ機会を逃したことや、事件直後の説明に反する事実が明らかになっていることについて、チートル長官らUSSSへの批判が高まっている。具体的には、犯人が利用した倉庫が警備されていなかったこと、犯行の約1時間前に地元の警察官が犯人を不審者として通報しており、捜索中だったのにトランプ氏に演説を開始させたこと、警備を増やしてほしいというトランプ陣営の要求を断っていたことである。
(2024年7月14日)

ニュース:北米の十数か国でハリケーン・ベリルの被害

 6月28日に熱帯大西洋で発生したハリケーン・ベリルは、7月1日にグレナダ領カリアク島を通過してカリブ海に入り、2日にはカテゴリー5(風速70メートル超)ハリケーンとなった。5日にメキシコのユカタン半島に上陸すると弱まったが、メキシコ湾で再びハリケーンとなり、8日に米テキサス州南部に上陸した。米国では北東に向かい、9日にアーカンソー州で温帯低気圧化して11日にカナダ・オンタリオ州で消滅した。ハリケーン・ベリルは1年でもっとも早く熱帯大西洋で発生したカテゴリー4(風速58-70メートル)およびカテゴリー5のハリケーン、6月および7月のハリケーンの最大風速、8月より前の熱帯低気圧積算エネルギーなどの記録を樹立した。死者は64人に上った(グレナダ6人、セントビンセント・グレナディーン8人、ベネズエラ6人、ジャマイカ4人、米国39人、カナダ1人)。物的損害は62億ドル(1兆円)以上、うち米国では45億ドル(7300億円)以上と算定されている。ヒューストン市などテキサス州では猛暑の中で270万世帯が停電し、酸素濃縮装置の停電や家庭用発電機の排ガスによる一酸化炭素中毒で住民が命を落とした。
(2024年7月11日)

ニュース:2024年6月は史上もっとも暑い6月

 EUのコペルニクス気候変動サービスの地表・海面気温データによると、2024年6月は史上もっとも暑い6月だった。2023年6月も、それまでで史上もっとも暑い6月だった。それから13か月連続で「史上もっとも暑い○月」を記録している。このように高温記録の更新が続いたのは、2015-16年以来だという。
(2024年7月8日)

ニュース:米労働安全衛生局が暑さ対策規則の制定に着手

 米労働安全衛生局(OSHA)は7月2日、気温の高い場所で働く人の雇用主に、熱中症など傷病の予防計画を立てることを求める規則案を公表した。屋内外を問わず、製造業、建設業、海運・漁業、農業など同局管轄下のあらゆる雇用主に、職場の暑さの危険因子を評価し抑制する計画の作成を雇用主に義務付ける。計画には飲み水・休憩・冷房の要件、気温の高い場所での労働に慣れていない新人や復帰者の保護、熱中症をきたした労働者に対応する手順などが求められる。計画書は気温の高いすべての職場で、労働者・管理者・高温安全調整員の一人ひとりがわかる言語で提供させる。

【関連リンク】
https://www.osha.gov/sites/default/files/Heat-NPRM-Final-Reg-Text.pdf
(2024年7月2日)

研究開発情報:熱に強い特別高圧変圧器をスパコンで設計

 変電所の特別高圧変圧器の寿命と信頼性を高める研究が、テキサス大学オースティン校でおこなわれており、電力網の回復力と持続可能性を高めると期待される。変圧器の寿命は主として絶縁体によって決まる。現在使用されているクラフト紙のような材料は、断熱性が高いので熱を蓄えて変圧器を過熱してしまう。同校の研究チームは、窒化ホウ素を添加したセルロース紙について3次元熱伝達モデルのシミュレーションをおこない、熱伝導性をわずかに上げるだけで最高温度を5-10度下げることができると示した。シミュレーションに使用したスーパーコンピュータ「スタンピード2」は、米国立科学財団の資金により同大学で運用されている。研究チームは、AI(人工知能)・運輸・電力網に使用される次世代半導体のパッケージに、熱伝導性の高いナノ絶縁体を利用することの利点を分析している。

【関連リンク】
https://new.nsf.gov/news/transformers-cooler-side-grid
(2024年7月13日)

研究開発情報:氷床を守って海面上昇を緩和するジオエンジニアリングの可能性

 気候変動による海面上昇の主な経路は氷床・氷河の融解と海水の熱膨張である。ダグラス・マカイール・シカゴ大学名誉教授ら氷河学者6名は、南極とグリーンランドの氷床の融解を遅らせるジオエンジニアリングの大規模な研究を提唱する白書を発表した。著者らはシカゴ大学とスタンフォード大学の研究会で2案を検討した。棚氷の周りにカーテン状の障壁を設置して温かい海水から守る案と、氷床に立坑を掘り、受動的な排水または排熱によって氷流を止める案である。こうした介入には、費用対効果が悪かったり、生態系や北極先住民の生活を損なったりするリスクがあるので、倫理やガバナンスの議論、多様な専門と意見の科学者による熟議、北極先住民や島嶼国など多様な利害関係者の関与などを提言している。

【関連リンク】
https://climateengineering.uchicago.edu/wp-content/uploads/2024/05/Glacial-Climate-Intervention_A-Research-Vision.pdf
(2024年7月11日、52ページ)

研究開発情報:林野管理のための野焼きが可能な時期と気候変動の関係

 2023年の米国で燃えた林野面積の過半は、生態系を管理するための野焼きで燃やされた。野焼きを安全・有効におこなえる気温・湿度・風速などの気象条件は限られている。今後の気候変動は林野の野焼きをおこなう機会の有無に影響しうる。米ロスアラモス国立研究所などの研究者は、本土48州の生態域で野焼きが許可されている期間の情報と気候変動の予測をもとに、現在(2006-15年)と将来(2051-60年)の気候の下で林野の安全・有効な野焼きが可能な日数を計算した。この予測は本土48州の植生地域の57%を対象としている。東部の生態域では最高気温の上昇により、野焼きに適した日が減る。北部・北西部では最低気温の上昇と風速の低下により、野焼きに適した日が増える。野焼きに適した日が減る地域については、夜間に実施するなど現在おこなわれていない方法の検討を勧めている。論文はnpj Climate and Atmospheric Science誌に掲載された。

【関連リンク】
https://doi.org/10.1038/s41612-024-00649-7
(2024年7月9日公表)

研究開発情報:世界の主要都市の猛暑日は30年前より52%多い

 世界各国の首都のうち人口のもっとも多い20都市は、最高気温35度以上の日(日本国気象庁の定義による猛暑日)が、2023年には1994年と比べて52%多かったことが、国際環境開発研究所(IIED)の分析によってわかった。猛暑日が増える傾向ははっきりしており、ニューデリーでは過去10年間の日の44%が猛暑日だった。ジャカルタ、ソウル、ブエノスアイレス、北京ではとくに急速に増え、ジャカルタの猛暑日は1994-2003年には合計28日しかなかったのに、2004-13年には153日、2014-23年には167日に増えた。
(2024年6月28日)

報告書など:全米アカデミーズ「微生物脅威フォーラム 2023年度報告書」

 世界は引き続き新型コロナウイルス・パンデミックの影響に対応しながら、高病原性鳥インフルエンザや風土性の動物由来病原体など他の感染症の脅威に対処している。全米アカデミーズ国際保健委員会の微生物脅威フォーラムは2023年、感染症関連慢性疾患およびアルボウイルス(節足動物体内で増殖しその吸血活動により脊椎動物に伝播するウイルス)対策に関するワークショップを合計2回開催した。また、同フォーラムはワンヘルス行動協力体との協力を続け、学際的にも市民社会とも公衆衛生に関する対話に熱心に取り組んでいる。

【関連リンク】
https://doi.org/10.17226/27910
(2024年7月公表)

報告書など:全米アカデミーズ「2020-21年の米メキシコ湾岸地域における複合災害の被害」

 米メキシコ湾岸地域は社会経済的不平等と健康格差のため気象・気候災害に脆弱な住民が多かったところへ、2020-21年に大型ハリケーン7回と冬の大嵐1回に見舞われた。この間、新型コロナウイルスの感染拡大が未曾有の公衆衛生危機と社会経済的危機をもたらした。従来、災害の被害は個人単位で財産の損失を中心に数量化されてきた。この時期のメキシコ湾岸の災害は一つひとつが「被害額10億ドル以上の災害」に分類されている。しかしながら、この表現は、金銭に換算できない被害も、複合災害が既存の身体的・社会的脆弱性を悪化させ、適応能力を弱め、地域社会を将来の災害により脆弱にするという効果も反映していない。本報告書は災害回復力・対応・復旧の取り組みを妨げる複合災害の相互の関連、影響、教訓を探る。結論は、メキシコ湾岸と似た脆弱性を抱え、災害が頻発している他の地域にも当てはまる。

【関連リンク】
https://doi.org/10.17226/27170
(2024年7月発行、297ページ)

報告書など:全米アカデミーズ「化学テロリズム―大国間競争時代における米国の戦略の評価」

 内外の暴力的過激主義組織(テロ組織)は、生物兵器や放射能兵器よりも化学兵器によって害を及ぼしてきた。化学的脅威を特定・防止・対抗・対応する米国の能力とその規模は、国・州・自治体各級の戦略・政策・法令に規定されている。化学テロ事件の数は増えたり減ったりしてきたが、脅威が消え去っているという根拠は実証的にも分析としてもない。米国の安全保障戦略の重点は暴力的過激主義組織から大国間競争に移った。どちらのほうが脅威かという認識がこのように変わり、優先順位が変わったので、化学テロリズム対策が影響を受け、予算の優先順位も影響を受ける。戦略に沿った予算を組むためには、リスクを再評価し、新戦略に則りリスクの優先順位を見直すことが必要である。新しい優先順位に大量破壊兵器対策予算を合わせて、有望な研究の実用化にインセンティブ(誘因)を与えるべきだ。

【関連リンク】
https://doi.org/10.17226/27159
(2024年7月発行、187ページ)

報告書など:全米アカデミーズ「核テロリズム―大量破壊兵器に対する米国の防止・対抗・対応戦略の評価」

 核・放射性物質テロリズムを防いできた戦略的抑止、軍縮・不拡散条約、世界的テロ対策などの取り組みが成功を続ける保証はない。成功していると、他の課題に注目と資源が移り、脅威がもはや存在しないと誤認されるリスクがある。核・放射性物質テロリズムへの米国の対策は脅威の様相の変化に取り残されている。米政府は諸外国・国際機関、州・自治体、国立研究所、大学、市民社会と協調し、安全保障コミュニティ全体がテロリズムと戦うように重点的取り組みを維持しなければならない。核インシデントへの十分な対応・復旧能力を自治体・州において構築・維持するため、FEMA(連邦危機管理庁)はCDC(疾病管理予防センター)、環境保護庁、エネルギー省、国立衛生研究所と協力して自治体・州の資源と能力に投資する必要がある。

【関連リンク】
https://doi.org/10.17226/27215
(2024年7月発行、159ページ)

報告書など:「災害支援金―COVID-19の教訓を用いてFEMAの見積りを改善できる」

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックに関する2020年3月13日の全国的非常事態宣言から24年3月までの間に、FEMA(米連邦危機管理庁)は災害支援金(DRF)から1253億ドルを個人および59の州・準州・部族政府に対し、葬儀、ワクチン接種会場、感染検査会場、個人防護具などの費用として支出した。そのうち1036億ドルはすでに消費された。COVID-19関連支出は続いており、他の災害にも備えなければならないので、DRFの予算は足りない。FEMAはCOVID-19関連の2021-22年度の負担を過小に見積もり、その後も見積もりの正確さの目標に達していない。GAO(米議会の政府監査院)は、大統領が宣言した大規模災害における財政的負担をいかにして見積もるのかについて、COVID-19の教訓を文書化することをFEMAに推奨する。

【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-24-106676
(2024年7月9日公表、18ページ)

報告書など:GAO報告書「農務省林野部―優れた慣行に則って改革すれば、林野管理のための野焼き事業を強化できる」

 米農務省林野部は林野管理のためにおこなっている野焼き事業を改革中である。林野部はこうした火災抑止のための野焼きをより多くおこなうことを計画しており、事業改革の優れた慣行を取り入れているが、全面的には取り入れていない。業績指標の策定、人材管理、実施状況の監視、首脳の関心・注意に関する慣行の実施が不十分なので、施策を推奨する。


【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-24-106239
(2024年7月8日公表、57ページ)

報告書など:米国の銃乱射事件は2023年も高止まり――FBI報告書

 FBI(連邦捜査局)は『米国における2023年の銃乱射事件』に関する報告書を公表した。FBIは人の多い場所で銃撃による殺人(未遂含む)を続けた事件を銃乱射事件と定義しており、23年には48件を指定した。この48件は26州とワシントンD.C.の5種類の現場(広場・商業施設・学校・医療施設・住宅)で起きた。2022年の50件よりは減ったものの、19年の30件と比べて高止まりしている。2019-23年の5年間では229件にのぼり、直前の2014-18年の5年間に指定された121件と比べて89%も増えた。2019-23年の229件は44州とワシントンD.C.の7種類の現場(商業施設・広場・学校・官公庁・住宅・医療施設・礼拝所)で起きた。発砲事件であっても正当防衛、ギャング抗争、薬物絡みの暴力、同居人・家庭内の争い、立てこもり・人質事件、他の犯罪の結果としての銃撃、他人を危険にさらしたようにみえない事件は含まれていない。

【関連リンク】
https://www.fbi.gov/file-repository/2023-active-shooter-report-062124.pdf/view
(2024年6月25日)

報告書など:全米アカデミーズ「効果的な気候減災・適応のための公共インフラ」

 全米アカデミーズの環境変化・社会委員会が2024年5月に開催した、気候変動の影響を減らして適応するうえでのハード・ソフトの公共インフラの役割に関するワークショップの内容の要約。

【関連リンク】
https://doi.org/10.17226/27866
(2024年6月発行、12ページ)

報告書など:全米アカデミーズ「コミュニティ主導の移住」

 米メキシコ湾岸地域では、損害額10億ドル以上の災害が1980年から2023年半ばまでの間に232件発生した。暴風雨の多様化・頻繁化は、昔からの社会経済的不平等を悪化させており、不本意な移住と慢性ストレスの悪循環にはまった地域社会も少なくない。被災地住民が移住するのは新しいことではないが、メキシコ湾岸で気候変動関連災害が急速に激甚化しているので、移住の苦しみを和らげる発災前の政策を立てる必要性が差し迫っている。しかしながら、リスクに対処し、課題認識を広め、地域社会の価値や優先順位を尊重しながら環境リスクから離れて移住する選択肢を探るための一貫した包摂的なプロセスは、メキシコ湾岸地域にも、米国全体としても存在しない。

【関連リンク】
https://doi.org/10.17226/27213
(2024年発行、591ページ)