グローバルナビゲーションへ

本文へ

フッターへ



サイトマップ

検索


9月分


ニュース:レバノンで多数のポケベル爆発 サプライチェーン上で爆発物混入か

レバノンで9月17日、イスラム教シーア派政治・軍事組織ヒズボラの構成員が使用するポケットベル数千台同時に爆発し、子ども2人を含む12人が死亡、2750人以上が負傷した。翌18日には前日の爆発による死者の葬儀の場などでトランシーバーなど数十台が爆発、30人が死亡、750人以上が負傷した。レバノンの治安当局によると、通信機器は台湾のゴールド・アポロ社製だが、同社によると、ライセンス供与したハンガリー・ブタペストのB.A.C.コンサルティング社が製造したという。ニューヨークタイムズは19日、後者はヒズボラの使用する機器に爆発物を混入する目的でイスラエルが作ったペーパーカンパニーだと報じた。18日に爆発したトランシーバーは、日本のアイコム株式会社が2014年に製造・販売を中止した製品と報道されたが、同社は、爆発した製品には偽造品防止シールが貼られていないとのコメントを発表した。ヒズボラはイスラエルに傍受・侵入されやすい携帯電話ではなくポケットベルを使用することを構成員に呼びかけていた。
(2024年9月19日)


ニュース:中・東欧で豪雨による洪水被害

欧州中部・東部で9月13日から降り始めた豪雨により、数十年に一回とされる規模の洪水が発生し、18日までに25人が死亡、11人が行方不明となり、数万人が避難している。オーストリアではウィーン周辺が洪水にあう一方で、アルプス地域では9月としては初めて雪が降り、雪崩による死者も出た。オーストリアとチェコで始まった洪水が、ポーランド南西部・ルーマニア東部・スロバキア、そしてドイツ・ハンガリーへ広がった。
(2024年9月18日)

ニュース:NASAが小惑星衝突に備える演習を実施

NASA(米航空宇宙局)は、近い将来に小惑星が地球に衝突して大きな影響を与えるおそれはないとする一方で、リスク、対応の選択肢、さまざまなシナリオに沿った協力体制の可能性などを検討するため、惑星防衛省庁間机上演習を隔年でおこなっている。NASAの惑星防衛調整室はFEMA(連邦危機管理庁)と4月に実施した5回目の机上演習の予備的な結果を発表した。新たに発見された小惑星が72%の確率で14年以内に地球に衝突するシナリオで、米国と国際社会の対応を検討した。小惑星に宇宙機を衝突させて軌道を変更する、2022年に成功した実験(DART)のデータを初めて用いた。JAXA(宇宙航空研究開発機構)もオンラインで参加した。演習の完全な報告書と改善計画の年内の公表を予定している。
(2024年9月16日)

ニュース:トランプ前米大統領に再び暗殺未遂

米国のトランプ前大統領にゴルフ場で銃を向けた男が逮捕された。9月15日13時31分、フロリダ州ウェストパームビーチ市のトランプ・インターナショナルGCで、シークレットサービス(USSS)警護官が、脅威がないか先回りして捜索していたところ、茂みからのぞいているライフルに気づいて発砲した。そのときトランプ氏は300-500ヤード(270-460メートル)離れたところにおり、身辺警護官に連れ出された。ライアン・ラウス容疑者はSKS類似品の半自動小銃を撃たずに捨てて、自家用車で逃げ、隣のマーティン郡の保安官代理に逮捕された。50代後半のラウス容疑者は、2002年に自動小銃を所持して立てこもった事件のほか微罪の前科が多く、いずれも執行猶予されている。軍歴はない。ロシア・ウクライナ戦争においてはウクライナの外国人部隊への入隊を拒否され、志願兵募集に従事したと主張しているが、ウクライナ外国人軍団はラウス氏との関係を否定している。トランプ氏および2016年にトランプ氏に投票した自分の殺害をイランに呼びかける内容の電子書籍を23年に自費出版していた。
(2024年9月16日)

ニュース:南米の林野火災が2007年の記録を超える

南米では8月以降、ブラジルの熱帯雨林からボリビアの乾燥広葉樹林にいたるまで、林野火災がかつてないほどの猛威を振るっている。記録された火災ホットスポットは南米13か国で34万6000か所を超え、2007年の記録を塗り替えた。空は煙に覆われ、サンパウロやラパスといった都市の大気汚染は悪化している。出火原因の大半は放火や違法な野焼きだが、気候変動による高温・乾燥により延焼が加速している。南半球は冬なのに、サンパウロでは早くも32度を超える暑さとなっている。サンパウロなどブラジル南部では来週に雨が予報されているが、北のアマゾン地域や中西部の農業地帯では10月まで干ばつが続くと予報されている。
(2024年9月13日)

ニュース:米下院共和党が中国製港湾クレーンを問題視

中国の国営企業である上海振華重工(ZPMC)の港湾クレーンが米国内外で圧倒的なシェアを占めていることが、米国と同盟国にサイバー面などの脆弱性をもたらしているとする、米下院の多数党(共和党)スタッフによる調査報告書が発表された。国土安全保障委員会のグリーン委員長、中国共産党に関する特別委員会のムーレナー委員長、国土安全保障委員会運輸・海上保安小委員会のヒメネズ委員長の名で発表された。米国におけるZPMCの港湾クレーンのシェアは80%弱にのぼる。同社など中国国営企業と米国の港湾の契約には、米国側の許可なく設備・技術にアクセス・改変することを禁止する条項がないこと、契約にないセルラーモデムが搭載されたZPMC製クレーンもあること、ZPMCが西海岸の港湾のクレーンへのアクセスをたびたび要求していること、同社が中国共産党の指導下にあり人民解放軍と協力していることなどを指摘している。

【関連リンク】
https://homeland.house.gov/wp-content/uploads/2024/09/Joint-Homeland-China-Select-Port-Security-Report.pdf
(2024年9月12日)

ニュース:米国で鳥インフルエンザへの警戒感高まる

鳥インフルエンザが流行しやすい秋・冬に向けて、高病原性のH5N1に感染した鳥からヒトへの感染に対する警戒感が米国で高まっている。鳥またはヒトからヒトへの感染が起きる可能性は必ずしも高まっていないが、気温が涼しくなって家畜の動きが活発になることで、感染する動物の増加が予測されるため注意が必要だという。季節性インフルエンザウイルスと鳥インフルエンザウイルスに同時に感染した細胞の中で、それぞれのウイルスに由来する分節RNAを保有する新たなウイルス株が出現する、遺伝子再集合という現象が懸念されている。2009年に世界的に流行したインフルエンザウイルスA(H1N1)pdm09も、ブタの体内で複数のウイルスの遺伝子が再集合して出現したと分析されている。CDC(疾病管理予防センター)は、遺伝子再集合によるウイルスの変異を防ぐため、畜産で働く人にはインフルエンザワクチン接種をとくに強く勧めている。
(2024年9月12日)

ニュース:米国地質調査所が地すべりハザードマップを公表

米国地質調査所(USGS)が9月11日公表したハザードマップによると、米国の44%で地滑りがありうる。これまで、米国における地すべり感受性(傾斜・土質・水流などによる斜面の不安定性)の地図は、地すべりリスクの高いごく一部の地域のものしかなかった。米本土全体および世界各地の地すべり感受性の地図を作成する過去の試みは、精度が低く、傾斜の緩やかな地域の危険を過小評価する傾向があった。しかし、地すべりが起きた場合の被害が大きいのは、開発が進んでいる傾斜の緩やかな土地なので、全米の詳細な地図が必要だ。そのため、精密なデジタル高度データと数十万件の地すべりのデータを使用し、複数のアプローチを試したうえで、地すべりしやすい傾斜の密集度を用いて全米各地の感受性を示す方法を開発した。
(2024年9月11日)

ニュース:カナダの二酸化炭素排出量が林野火災のため世界4位に

2023年のカナダの林野火災は、過去40年間の平均と比較して7倍以上の面積が焼失するほど極端な規模だった。この火災による炭素排出量を2023年5-9月の衛星観測データから逆解析したところ、大国の化石燃料消費による年間排出量に匹敵する647メガトン(信頼区間570-727メガトン)となった。化石燃料消費による年間排出量がこれより多い国はインド・中国・米国しかない。延焼の主な原因は、少なくとも1980年以後のカナダで最高の気温と乾燥である。気候予測によれば、2050年代にはこのような高温がふつうになる可能性が高い。すると、カナダの森林の火災が増え、炭素吸収源としての持続可能性が懸念される。研究結果はネイチャー誌に掲載された。

【関連リンク】
https://doi.org/10.1038/s41586-024-07878-z
(2024年8月28日)

ニュース:「全米暑熱戦略」を公表

米政府の全米統合暑熱健康情報システム(NIHHIS)は8月27日、「2024―2030年の全米暑熱戦略」を公表し、酷暑被害が年々深刻化する中、暑さに強い国造りに向けた指針を示した。「全米気候回復力枠組」の目標に沿って、米政府の能力の規模・内容・資源を調整・強化する。目的は、暑熱リスクに対する社会的理解を促進し、科学的対策を開発し、官民の能力・コミュニケーション・意思決定を改善することによって、暑さに強く繁栄する国を造ることである。

【関連リンク】
https://cpo.noaa.gov/wp-content/uploads/2024/07/National_Heat_Strategy-2024-2030.pdf
(2024年8月27日)

ニュース:FEMAが公共放送局の次世代警報システムの費用を支出

FEMA(米連邦危機管理庁)は次世代警報システム支援プログラム(NGWSGP)に4000万ドル(58億円)を支出することを明らかにした。公共テレビ局が警戒・警報メッセージをさまざまな通信機器に送信できるように、先進テレビシステム委員会放送基準(ATSC 3.0)の導入を支援する。公共ラジオ局が統合公共警戒警報システム(IPAWS)の放送をおこなえるように、デジタル化を支援する。障害者、アクセス・機能上のニーズのある人、英語力の限られた人に警告・情報提供する能力の構築を支援する。局地的な警戒・警報を発信する能力や、遠隔地域の受信能力向上事業を支援する。
(2024年8月23日)

ニュース:タイでクレードIbのエムポックス感染を確認

タイ保健当局は8月22日、コンゴ民主共和国から中東を経由して入国した欧州在住の男性が、感染力・重症化率・致死率が高いクレードIb(コンゴ盆地系統群)のエムポックスに感染していたことを明らかにした。クレードIbのアジアにおける感染例は初めて。この感染者と接触した40人の経過を観察しており、今のところ症状は確認されていない。
(2024年8月22日)

研究開発情報:危機管理に活用が広がるアプリ「ネクストドア」

隣近所の情報を住民の間で共有するアプリ・ネクストドア(Nextdoor)の活用が危機管理担当者の間で広まっている。緊急時に住民、地元企業、公共サービス提供者が最新情報を共有することを助け、警察や消防がアカウントを設けて道路の通行止め、停電その他の緊急情報をプッシュ機能で掲示することができる。災害時にはヘルプマップという機能を用いて要支援者や支援できる人を知ることができ、食料や水の配布場所、避難所などの場所も掲示できる。ネクストドア・ホールディングス社は防災・危機管理組織に対して24時間体制のヘルプセンターを設けており、訓練マニュアルを作成するなど、アプリの緊急時活用の最適化に力を入れている。現在11か国の9000万人が利用している。
(2024年9月13日)

研究開発情報:古い都市治水インフラが洪水を悪化させる

米国の都市に降った雨水を流す治水インフラは数十年前、場合により100年以上前に設計された。それが近年増えている極端な気象現象に伴う洪水を悪化させているおそれがあると、ミシガン大学の新研究が指摘した。豪雨の際に住宅の私有車道・庭や街路の表面流出水や、河川や下水管の流水などが起こす相互作用は、設計時に想定されていなかった。都市治水システムには総体的アプローチが必要であり、地下インフラ、地上の河川、地面や舗装面を流れる水の接続性に配慮して設計を修正すべきだという。それゆえ、洪水ハザードマップは川沿いの氾濫原だけでなく、恒久的な水域から遠い都市のリスクも含める必要があると指摘している。論文はネイチャー・シティーズ誌に掲載された。

【関連リンク】
https://doi.org/10.1038/s44284-024-00116-7
(2024年9月9日)

研究開発情報:建物密度・街路網と都市洪水の程度の関係

世界各地の都市で、温暖化による豪雨の激甚化と都市自身の成長の結果、洪水が激しくなっている。カリフォルニア大学アーバイン校の土木環境工学部の研究者チームは、都市開発による洪水リスクを簡単に評価するために、町域の建物密度と街路網を用いる新しい数式を提案した。物理学において無秩序な多孔質固体、ガラス、複雑な流体など複雑系の研究に用いる統計力学を応用し、世界のどの都市においても町域レベルで洪水リスクを予測することができる分析モデルを構築した。洪水による損失を、都市形態を表す変数と極端な降雨量との一次関数として示している。モデルを導出した論文はネイチャー・コミュニケーションズ誌に掲載された。

【関連リンク】
https://doi.org/10.1038/s41467-024-50347-4
(2024年8月20日)

報告書など:GAO報告書「次世代の緊急通報電話―計画を始めた米政府省庁もあるが、コールセンターを改修したところはほとんどない」

米国の緊急通報コールセンター(日本の110番と119番に当たる911番)は、年間約2億4000万件の電話を受ける。一部のコールセンターは、より詳しい情報を初動要員に伝えることができ、音声通話だけでなくテキストメッセージや画像も受信できる次世代技術へ改修中である。米政府の運営する緊急通報コールセンター11か所のうち7か所が改修中だが、進捗は遅い。米政府の4省庁は州・自治体による改修を、サイバーセキュリティを含めて支援している。特定の省庁が支援を調整するのが有効か、意見が分かれている。

【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-24-106783
(2024年9月19日公表、43ページ)

報告書など:熱帯アジアの災害リスクが高止まり―世界リスク報告書

ドイツの開発援助機関Bündnis Entwicklung Hilftと、ルール大学国際平和法と武力紛争研究所が「世界リスク報告書」の2024年度版を公表した。世界193か国について災害、発展から取り残された人々、社会の構造の間の関係を分析し、地震・津波・洪水・干ばつなどに対する脆弱性とリスクをランク付けした。トップ10は昨年とほぼ同じで、フィリピンの災害リスクがもっとも高く、インドネシア、インド、コロンビア、メキシコ、ミャンマー、モザンビーク、ロシア、バングラデシュ、パキスタンが続いた。中国はトップ10を脱し、パキスタンが加わった。これらの国々は自然災害のリスクが高いだけでなく、貧困、汚職、医療の不足、防災態勢の不備など、自然災害に立ち向かう手段を社会が持っていないことで被害が深刻になるとみている。

【関連リンク】
https://reliefweb.int/report/world/worldriskreport-2024-focus-multiple-crises
(2024年9月9日)

報告書など:2023年メイン州ルイストン市銃乱射事件の最終報告書

2023年10月25日に米メイン州ルイストン市のレストランとボウリング場で男が銃を乱射、18人が死亡、13人が負傷した事件に関する独立調査委員会の最終報告書。事件の前月、メイン州の「イエローフラッグ法」に従って容疑者の所持する銃を押収する根拠があったにも関わらず、州警察が執行しなかったと指摘している。
【関連リンク】
https://static01.nyt.com/newsgraphics/documenttools/7d624a38b088fd18/da69ea6a-full.pdf
(2024年8月20日発行、215ページ)