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11月分


ニュース:米農務省が被災農家の生産物の貯蔵を支援

米農務省は、今年の自然災害のため民間の農産物倉庫を利用しにくくなった農家に、カントリーエレベーターや食肉工場の容量を提供する、商品貯蔵支援事業を始める。2021-22年の竜巻・デレーチョ(大規模な直進性の雷雨)・洪水で被災した農家に対する、緊急穀物貯蔵支援事業を発展させた。さまざまな農産物を対象に、商品金融公社の資金1億4000万ドル(210億円)を用いる。申請する農家は、自然災害のため民間の倉庫または販売機会を失ったと示す必要がある。今年12月から申請を受け付ける予定である。
(2024年11月19日)


ニュース:バルト海海底ケーブル切断は破壊工作か

11月18日、フィンランド・ドイツ間の通信用のバルト海海底ケーブルが切断され、ドイツの国防大臣は破壊工作との見方を示した。その前日にリトアニア・スウェーデン間の海底ケーブルが切断されたばかりだった。ケーブルの保守を担うフィンランドのCinia社は、破損個所の修復を準備しており、復旧に15日以上を要するとみている。フィンランド・ドイツ両国外相は、破壊工作に関わった人物や国を名指ししない一方で、「欧州の安全はロシアのウクライナ侵略戦争だけでなく、悪意ある者によるハイブリッド戦の脅威にさらされている」と声明した。
(2024年11月19日)

ニュース:バイデン米大統領、ほぼ1000億ドルの災害復旧費を議会に要請

バイデン米大統領は18日、ハリケーン・ヘリーン、ミルトンなど最近の自然災害の復旧費として980億ドル(15兆円)を超える支出を承認するよう議会に求めた。大統領の任期中最後の国内支出要請となりそうだ。FEMA(連邦危機管理庁)の災害支援金に400億ドル、農務省による被災農家への支援と被災地の学校給食・フードバンクに合計240億ドル、住宅都市開発省から地域社会への包括的補助金に120億ドル、運輸省による道路や橋の修理に80億ドルなどを求めている。
(2024年11月18日)

ニュース:米北東部で干ばつ、林野火災が多発

米北東部で干ばつが続き、この地域でかつて見られなかった林野火災が多発している。10月以降にニュージャージー州で500以上の林野火災、ニューヨーク市では11月前半だけで271の小規模な林野火災が発生した。コネチカット州やペンシルバニア州の林野と市街地の接触面では、住宅地が林野火災の脅威を受けている。
(2024年11月16日)

ニュース:米国でクレードIのエムポックス感染を確認

カリフォルニア州公衆衛生局は11月15日、アフリカから最近入国した1人が、クレードI(コンゴ盆地系統群)のエムポックスに感染していたことを公表した。患者はサンマテオ郡で治療を受け、自宅で隔離・回復中だという。クレードIの北米における感染例は初めて。2022年以降に米国で流行しているクレードIIと比べて、クレードI は重症化率が高かったが、最近は、良質な医療を受けている患者の重症化率が下がっている。CDC(疾病管理予防センター)によると、2024年にクレード1の輸入症例が報告された8か国(ドイツ・インド・スウェーデン・タイ・ザンビア各1人、ジンバブエ2人、英国4人、ケニア17人)では、ケニアと英国の家庭内を除いて各国内での伝染は報告されていない。クレードIのうちクレードIbの死亡率は1%未満で、アフリカでも他地域でもクレードIaより低い。アフリカ以外の国に帰国後に死亡したクレードIb患者はいない。
(2024年11月16日)

ニュース:米国人のIS支持者をシリア渡航前に逮捕

米国人男性がカタールとトルコを経由してシリアでIS(いわゆる「イスラム国」)に合流するため、11月5日にニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港で出国手続をおこなったところ、搭乗前に逮捕された。サイエド・アマン容疑者は2023年以降、ソーシャルメディア上のフォーラムでISへの支持を表明し、今年10月にはFBI(連邦捜査局)の秘密協力者に対し、シリアへの渡航計画を明かしていた。
(2024年11月14日)

ニュース:カナダ初の鳥インフル感染者が重症

鳥インフルエンザに感染したカナダ・バンクーバー在住の10代の若者が重症化している。11月2日に熱や咳などの症状で入院したが、通常の呼吸器系疾患とみなされ帰宅させられた。症状が悪化して8日に再び入院し、鳥インフルエンザ陽性が確認され、タミフルが処方されたが、呼吸器系の症状が悪化した。患者と接触のあった数十人の検査結果は全員が陰性で、患者の感染経路も不明。カナダでは初の鳥インフルエンザの人への感染例である。隣の米国では今年4月以降、感染した家畜を世話していた人を中心に46人が感染し、全員が軽症で、抗ウイルス薬を投与されて回復した。
(2024年11月13日)

ニュース:米エネルギーインフラ企業がランサムウェア攻撃をSECに報告

油田サービス業などを営むエネルギーインフラ大手企業Newpark Resourcesは、10月29日にランサムウェア攻撃を受けたことを、11月7日に米証券取引委員会(SEC)に報告した。情報システムの一部にアクセスできなくなったものの、システム停止手順に従って製造や現場業務は継続しており、ネットワークへの侵入方法を調査中だという。今年8月のハリバートン、昨年6月のシェル、2021年5月のコロニアル・パイプラインなどエネルギー関連企業へのランサムウェア攻撃に対し、米政府はサイバーセキュリティ規制を強化している。
(2024年11月8日)

ニュース:トランプ次期大統領が国土安全保障長官にノーム知事を指名

トランプ次期米大統領は12日、国土安全保障省長官にサウスダコタ州のクリスティ・ノーム知事を指名すると発表した。ノーム氏はトランプ氏の支持者として知られ、大統領選挙期間には副大統領候補に指名されると目されていた。国境警備強化に熱心な一方、テロリズムの防止、出入国管理・税関、サイバーセキュリティ、防災を含む同省の所掌事務の経験は乏しい。
(2024年11月12日)

ニュース:米軍がシリアのIS拠点を攻撃

米中央軍は8月末以降、イラクとシリアで95回の軍事作戦をおこない、IS(いわゆる「イスラム国」)の構成員163人を殺害し33人を拘束したことを、11月11日に公表した。IS指導者に圧力をかけることで攻撃能力をそぐことに成功したとしている。最近のシリアにおけるISの勢力拡大に、米軍は懸念を表明していた。この数か月、シリアのアサド政権の支配地域におけるISの武装勢力の活発な活動が報告されている。
(2024年11月11日)

ニュース:アムステルダムでイスラエル人とパレスチナ支持者の間の暴動

オランダのアムステルダムで11月7日おこなわれたサッカーのUEFAヨーロッパリーグの試合に、イスラエルのマッカビ・テルアビブFCが参加した際、イスラエル人フーリガンと現地のムスリムらパレスチナ支持者が対立し、市内各地で暴動に至った。6日にイスラエル人フーリガンが街頭のパレスチナ旗やタクシーを損壊すると、パレスチナ支持者の間では、イスラエル人サポーターへの襲撃を促すインスタントメッセージが広まった。襲撃は7日夜に実行され、イスラエル人5人が負傷して入院した。この試合に関連して、イスラエル人10人を含む91人が逮捕された。
(2024年11月8日)

ニュース:米カリフォルニア州の林野火災シーズンが続いている

ロサンゼルス北西のベンチュラ郡で11月6日に発生した林野火災「マウンテン火災」が強風に煽られて急速に延焼し、翌7日までに1万4000人が避難を指示された。カリフォルニア州のニューソム知事は7日、同郡に緊急事態を宣言した。住民5人と消防士1人が負傷、81平方キロメートルと建物243棟が焼失、127棟が損傷した後、27日に鎮火した。出火前、現地では乾燥と強い局地風のため、米国立気象局が林野火災の危険に対する赤旗警報を出していた。今年5月以降のカリフォルニア州の林野火災シーズンにおける焼失面積4225平方キロは2021年以来の大きさで、過去5年の平均より大きい。
(2024年11月7日)

ニュース:航空貨物火災はロシアの破壊工作の予行演習か

ポーランド・ドイツ・英国の運送業者に預けられた貨物が発火した火災を調査していたポーランドの検察官は、一連の事件はロシア政府による米国・カナダ行きの航空便に対する破壊工作の予行演習だったとの見方を示した。4人が逮捕され、欧州各国の当局が捜査していた。事件は7月に発生し、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)が指揮する破壊工作の一部だったことが判明したという。電動マッサージ機にマグネシウムを含む可燃物を仕込んで小包として送り、輸送中に発火させたと捜査当局はみている。マグネシウム火災は消火が難しく、航空機内ではとくに難しい。ロシア政府は関与を否定しているが、スウェーデンやチェコ共和国などEU諸国の倉庫や鉄道網に対する攻撃にも関与したと疑われている。
(2024年11月5日)

ニュース:米国の変電所爆破未遂で白人至上主義者を逮捕

FBI(連邦捜査局)はテネシー州ナッシュビル市内の変電所を自爆ドローンで爆破しようとしたとして、白人至上主義者の24歳の男を逮捕した。FBIは爆破計画を察知し、実行直前に逮捕した。スカイラー・フィリッピ容疑者は今年6月、同州コロンビア市付近のYMCA施設を銃撃したいとFBIの秘密協力者に打ち明け、7月には別の秘密協力者に対し、大規模変電所を攻撃した場合の効果について語った。容疑者は過去の変電所攻撃事件を調べ、銃撃では不十分だと考え、自爆ドローンの使用を計画した。9月にFBIのおとり捜査官と目標の変電所へ同行し、彼らにC-4などの爆薬を発注した。11月2日、容疑者はおとり捜査官と現場に向かい、彼らを見張りに立たせ、ドローンを起動して爆発物を準備したところで逮捕された。今回のような爆発物も米連邦法では大量破壊兵器であり、大量破壊兵器使用未遂とエネルギー施設破壊未遂で有罪となった場合の最高刑は終身刑である。
(2024年11月4日)

ニュース:スペインで豪雨による未曽有の洪水

10月29日、スペイン東部で記録的な豪雨により鉄砲水が発生し、河川のようになった道路で人が車内に閉じ込められたまま流されるなどして、翌30日までに229人が死亡した。バレンシア州西部の町では8時間で1年分の雨が降った。豪雨と洪水は11月16日まで続き、5人が行方不明となっている。おそらくスペイン史上最悪の自然災害である。死者の大半を出したバレンシア州の州政府は、スペイン政府が大雨特別警報を出してから13時間以上、洪水が発生してから数時間たつまで洪水警報を出さなかった。また、軍・警察が被災地に派遣されるまでにも数日かかった。それゆえスペイン政府やバレンシア州政府の対応の遅れに被災者の怒りが向かい、11月10日には首相の辞任を求める大規模なデモが起きた。
(2024年10月30日)

ニュース:米国務省がロシア軍のサイバー攻撃隊員を指名手配

米国務省は、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)のサイバー攻撃部隊である29155部隊の将校5人について、発見または居場所につながる情報を提供した者に最高1000万ドル(15億円)の懸賞金を支払うと告示した。V. ボロヴコフ、D. I. デニセンコ、Yu. デニソフ、D. Yu. ゴロシュボフ、N. A. コルチャギンがマルウェア「ウィスパーゲート」を米国のエネルギー・行政・航空宇宙部門などの重要インフラに侵入させて攻撃を準備し、ウクライナの重要インフラには2022年2月の侵攻前にサイバー攻撃をおこなったとしている。
(2024年10月25日)

ニュース:キューバ全国で停電

キューバ最大のアントニオ・ギテラス火力発電所が10月18日に故障し、全国的な停電が始まった。一時的に送電が復旧したものの、20日には全国が再び停電に陥った。国営メディアによると21日には首都ハバナの消費者の半数、22日には国民の70%への送電が復旧し、24日には完全に復旧した。ディアス=カネル大統領は、米国の禁輸のせいで発電所の消耗品・部品が不足していると主張した。マレロ首相は燃料不足、インフラの老朽化、需要増を停電の原因に挙げた。今年はベネズエラからキューバへの石油輸出が減っている。
(2024年10月20日)

研究開発情報:ハリケーン・ミルトンに対する避難指示で被害を減らした

10月9-10日に米フロリダ州中部を西から東へ横断したハリケーン・ミルトンは、州内で死者32人と500億ドル(7.5兆円)以上の損害を出したが、避難指示と準備態勢のおかげで被害は予測を下回ったとする調査結果が、ハーバード大学サラタ気候・持続可能性研究所主催のパネル討論会で発表された。被災地住民の行動を、携帯電話の位置情報を用いて分析した。メキシコ湾岸では住民の80-90%が避難指示に従ったのに対し、内陸部では45-50%しか従わなかったことから、住民への働きかけを改善する必要が明らかになった。メキシコ湾岸の住民は2022年にハリケーン・イアンを経験していた。ペットの飼い主、高齢者、頑丈な家屋の住人などが避難する割合が低かったことは、避難指示や準備措置に従うことを妨げる具体的要因を割り出して対処する必要を示している。

【関連リンク】
https://www.crisisready.io/building-resilience-key-takeaways-from-hurricane-milton/
(2024年11月7日)

研究開発情報:人工岩礁の設置実験開始

米空軍は、フロリダ州のティンダル基地に隣接するセントアンドリュース湾に、コンクリート・モジュールと生きたカキでできた自己修復型の岩礁の第一段階を設置した。基地とそこで働く人々をハリケーンや高潮から守ることを目的としており、ラトガース大学が設計した。

【関連リンク】
https://soe.rutgers.edu/news/researchers-us-military-install-concrete-modules-self-healing-oyster-reef-structure-florida
(2024年11月1日)

報告書など:米国土安全保障省CISA「イベント会場の警備上の検討事項ガイド」

米国土安全保障省サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)は、商業施設のリスク管理の主管官庁として、標的型暴力の脅威を減らし、起こりうる事態に備えるために、イベント会場運営者と協力することを約束する。CISAは業界の専門家と警備のプロとともに、「イベント会場の警備上の検討事項ガイド」を作成した。本書を応用すると、会場運営者は効果的にリスクを割り出して管理できるようになる。本書は、日常の運営とイベントの管理・実施を、安全で不正利用のない状態でおこなえるよう支援する幅広いカタログである。

【関連リンク】
https://www.cisa.gov/resources-tools/resources/venue-guide-security-considerations
(2024年11月20日公表、13ページ)

報告書など:全米アカデミーズ「米国西部における将来の林野火災と煙の社会的・環境的影響」

最近20年間で北米西部の林野火災は大幅に頻繁化・激甚化した。科学者は三つの原因を挙げている。第一に、いかなる火災も消火する方針と不十分な森林管理の結果、過密で可燃物量の多い森林が形成された。第二に、気候変動によって森林や草原が乾燥して燃えやすくなった。第三に、都市化によって人為的な出火の確率が上がった。その一方で、これらの傾向の加速がもたらす環境的・社会的影響はそれほどわかっていない。こうした問題を検討して政策対応を見出すため、全米アカデミーズの「環境変動と社会委員会」はカナダ王立協会と共同で、2024年6月に「西部における将来の林野火災の社会的・環境的影響」というワークショップを開催した。2日間にわたり、20人以上の林野火災専門家と200人を超える聴衆が参加したワークショップの発表と討議の内容をまとめた。

【関連リンク】
https://doi.org/10.17226/27972
(2024年11月発行、149ページ)

報告書など:全米アカデミーズ「アメリカ先住民を強くする―災害準備態勢、対応、復興を通じて災害回復力を構築する」

アメリカ先住民の部族・地域社会は、医療・公衆衛生緊急事態に備えて対応する米国の体制の重要な要素である。全米アカデミーズの「災害・緊急時の医療・公衆衛生準備フォーラム」は2024年7月にワークショップを開催し、この目的で先住民の部族・地域社会の能力構築を支援する機会を模索した。
【関連リンク】
https://doi.org/10.17226/28284
(2024年11月公表、11ページ)


報告書など:死者の多い極端な気象現象は人為的気候変動により悪化した

熱波・干ばつ・暴風雨といった極端な気象現象に対する人為的気候変動の影響を定量評価する国際研究コンソーシアムのWorld Weather Attributionが、過去20年間でもっとも死者数の多かった10件の極端な気象現象は、化石燃料消費と森林破壊による気候変動によって悪化したとする報告書を発表した。この10件の死者数57万6042人のうち25万8000人はソマリアの干ばつの死者だが、欧州の熱波3回で9万3946人、ロシアの熱波で5万5736人が死亡しており、豊かな国も極端な気象現象による大量死から逃れられないと指摘している。極端な気象現象の頻繁化・激甚化に備えて住宅の防護、治水、災害の早期警報の改善、脆弱な人々の保護を求めている。極端な気象現象に対する人為的気候変動の影響の評価方法が、根拠とデータ源の多様化によって進歩しているので、この影響の大きさに対する理解が広まっているという。報告書本体(81ページ)とプレスリリース(8ページ)が下記のリンクで公開されている。

【関連リンク】
https://doi.org/10.25561/115431
https://mcusercontent.com/854a9a3e09405d4ab19a4a9d5/files/c32f05d8-01d3-6fda-1fef-1411a887f4ba/WWA_press_release_10_deadliest_events.pdf
(2024年10月31日公表)