1月分
ニュース:バルト海海底ケーブル切断は事故という米欧情報当局者
2023年10月、24年11月、同12月にバルト海で発生した海底のガスパイプライン・送電ケーブル・通信ケーブルの切断は、ロシアの破壊工作ではなく、事故の可能性が高いという米国と欧州の情報当局者の見方をワシントン・ポスト紙が伝えた。当初はロシアによる海底インフラへのハイブリッド攻撃が疑われ、NATO(北大西洋条約機構)によるバルト海パトロールの強化などの措置が取られた。しかし、米国や欧州6か国以上による捜査でも、ケーブル切断を引き起こした船舶が故意に海底で錨を引きずったとか、ロシアの指示を受けてケーブルを切断したといった証拠は得られなかった。通信傍受などで集めた証拠は秘密だが、経験の浅い船員が、適切に整備されていない船舶を運行することで事故を起こしたことを示しているという。
(2025年1月19日)
(2025年1月19日)
ニュース:ロサンゼルス上空で消防飛行艇とドローンが接触
ロサンゼルスの林野火災にカナダ・ケベック州が派遣した消防飛行艇が9日、パリセーズ地区上空で民間のドローンと衝突して左翼に穴が開き、修理のため飛べなくなった。火災現場のドローン飛行禁止に違反した事件であり、FBI(連邦捜査局)も捜査に加わった。
被害にあったボンバルディアCL-415消防飛行艇は、給水する際は水面を走行しながら最大6137リットルの水を12秒で吸い上げるので、米国では「スーパースクーパー」として販売されている。他の消防航空機が放水のたびに基地に戻って給水しなければならないのと異なり、3-4時間にわたって空中消火をおこなえる。強力なターボプロップエンジン2発により、低速・ピンポイントで放水することができ、強風にも耐え、信頼性が高い。ロサンゼルス郡消防局は通常、2機をリースして使用しているが、今回の大規模な林野火災を受けて追加のリースを要請していた。現役の機体は世界中で84機しかないので、一刻を争う状況の下、1機でも任務から外れる影響は大きい。
(2025年1月17日)
被害にあったボンバルディアCL-415消防飛行艇は、給水する際は水面を走行しながら最大6137リットルの水を12秒で吸い上げるので、米国では「スーパースクーパー」として販売されている。他の消防航空機が放水のたびに基地に戻って給水しなければならないのと異なり、3-4時間にわたって空中消火をおこなえる。強力なターボプロップエンジン2発により、低速・ピンポイントで放水することができ、強風にも耐え、信頼性が高い。ロサンゼルス郡消防局は通常、2機をリースして使用しているが、今回の大規模な林野火災を受けて追加のリースを要請していた。現役の機体は世界中で84機しかないので、一刻を争う状況の下、1機でも任務から外れる影響は大きい。
(2025年1月17日)
ニュース:米CDCが入院患者の鳥インフルエンザ検査強化を勧告
米疾病管理予防センター(CDC)は16日、インフルエンザ入院患者に対し、24時間以内に鳥インフルエンザ感染の有無を検査するよう医療機関に勧告した。1月に入ってからルイジアナ州で鳥インフルエンザによる死者が出たほか、カナダでも少女が2か月間入院するなど重症化した例もある。米国では殺菌処理されていない牛乳やペットフードを通じて飼い猫の間でも感染が拡大している。CDCはインフルエンザを疑われる入院患者、とくに重症者には検査結果を待たずに抗ウイルス剤のタミフルを投与するよう推奨している。
(2025年1月16日)
(2025年1月16日)
ニュース:AI物理インフラ構築のための米大統領行政命令
バイデン米大統領は14日、大規模データセンター、低炭素発蓄電設備、連系線など、先進的な人工知能(AI)の利用に必要なインフラを、必要な工期と規模で米国内に建設できるようにするための大統領行政命令に署名した。米政府省庁には管轄している土地でこうしたインフラの開発を加速するよう指示し、そこで開発する事業者には労働やセキュリティの条件を課している。
(2025年1月15日)
(2025年1月15日)
ニュース:ロサンゼルスの林野火災の損害額は米国の自然災害として最大か
1月7日にロサンゼルスで多発した林野火災は内陸からのサンタアナ風に煽られ、パリセーズ、イートン、ハーストの3地区で広がった。海辺の高級住宅地パリセーズで6834棟、内陸部のイートンで9418棟以上が焼失した。28人が死亡し、31人が行方不明となっている。最大30万人以上に避難が指示された。カリフォルニア州のニューソム知事は12日、NBCテレビのインタビューに対し、損害額からみて米史上最悪の自然災害となると思うと述べた。出火から数時間以内に消火栓の水が空になったという消防士の証言もあり、延焼した原因について州政府にも非難が集まっている。現地の送配電を担うサザン・カリフォルニア・エジソン社には、火災の危険が高まった際に予防措置として停電する規定がなく、今回の出火後も送電を続けており、強風の下で送配電設備がさらなる火災を誘発したおそれもあると専門家は指摘している。火災は2028年のオリンピック会場にまで迫っており、今後あらゆる計画において自然災害の影響を考慮する必要性が改めて突き付けられた。
(2024年1月14日)
(2024年1月14日)
ニュース:FBIと国土安全保障省がテロ模倣犯の危険を警告
FBI(米連邦捜査局)と国土安全保障省(DHS)は、元日にニューオーリンズで起きたテロ攻撃の模倣犯が出るおそれがあると国民に警告した。
テロリストは車で人をはねる攻撃に関心が高く、車を容易に入手でき、車が止まってから銃や刃物を使用したり、事前に即席爆発装置を仕掛けたりする場合もあり、車道の近くの人・群衆を攻撃しているとして、注意を呼びかけている。不審な活動はFBI地方局に通報し、差し迫った脅威は緊急電話で警察に通報するよう要請している。
(2025年1月13日
テロリストは車で人をはねる攻撃に関心が高く、車を容易に入手でき、車が止まってから銃や刃物を使用したり、事前に即席爆発装置を仕掛けたりする場合もあり、車道の近くの人・群衆を攻撃しているとして、注意を呼びかけている。不審な活動はFBI地方局に通報し、差し迫った脅威は緊急電話で警察に通報するよう要請している。
(2025年1月13日
ニュース:極右オンライン集団Terrorgramを米政府が国際テロ組織に指定
米政府は13日、極右オンライン集団Terrorgramが暴力的白人優越主義を推進しているとして国際テロ組織に指定し、金融制裁を科した。
国務省はブラジル・クロアチア・南アフリカに住む幹部3人を特定グローバル・テロリストに指定した。
Terrorgramは主にソーシャルメディアのTelegram上で活動している。国務省によると、2022年10月にスロバキアの性的少数者向けのバー付近で起きた銃撃事件、24年7月の米ニュージャージー州の電力施設に対する攻撃未遂、24年8月のトルコのモスクにおける切りつけ事件は、この集団が犯人に動機を与えて幇助したテロ攻撃の例だという。
(2025年1月13日)
国務省はブラジル・クロアチア・南アフリカに住む幹部3人を特定グローバル・テロリストに指定した。
Terrorgramは主にソーシャルメディアのTelegram上で活動している。国務省によると、2022年10月にスロバキアの性的少数者向けのバー付近で起きた銃撃事件、24年7月の米ニュージャージー州の電力施設に対する攻撃未遂、24年8月のトルコのモスクにおける切りつけ事件は、この集団が犯人に動機を与えて幇助したテロ攻撃の例だという。
(2025年1月13日)
ニュース:AIの普及に関する米商務省産業安全保障局の暫定最終規則
米商務省産業安全保障局(BIS)は13日、先進的計算用集積回路(IC)の輸出管理規則を修正し、特定の先進的クローズドウェイト軍民両用(デュアルユーズ)人工知能(AI)モデルについて、モデルウェイトの輸出規制を追加した。モデルウェイトとは、個別の画像や文章のようなインプットがAIによる決定にどれほど影響するのかを制御する、音量つまみのようなしくみである。モデルウェイトが非公開のAIモデルは、クローズドウェイトである。同局は、米国の安全保障と外交政策上の利益のため、この種のモデルウェイトの輸出規制が必要だと判断した。AIモデルが不適切な者の手に渡れば、先進的な軍事・情報活動への応用、大量破壊兵器の非専門家による開発、強力なサイバー攻撃、大規模監視などによる人権侵害などを助長しかねない。安全保障・外交政策上の懸念のない輸出先には、輸出許可の規定を追加し、データセンター認証エンドユーザー許可を更新することで、先進的計算用ICの輸出・再輸出・国内移転をしやすくする。以上の修正により、AIと先進的計算用ICの責任ある普及と利用のため、セキュリティの確保されたエコシステムを培う。
(2025年1月13日)
(2025年1月13日)
ニュース:中国人ハッカーが対米外国投資委員会のシステムに侵入
米国の企業・事業への外国の直接投資による安全保障上の影響を審査する、対米外国投資委員会(CFIUS)のコンピュータシステムに中国人ハッカーが侵入したと、CNNテレビが報じた。米議会や国家安全保障当局では、中国政府やその代理勢力が米国内の軍事基地を監視する目的で周辺の土地を取得する可能性への懸念が高まっており、昨年12月、米軍基地周辺の不動産取引がCFIUSの審査対象に加えられた。
(2025年1月10日)
(2025年1月10日)
ニュース:米国が中国のサイバーセキュリティ会社を制裁
米財務省外国資産管理室(OFAC)は3日、米国の施設や企業のコンピュータに対する複数の侵入インシデントに関わったとして、中国のサイバーセキュリティ会社Integrity Technology Groupを制裁したと発表した。中国政府の支援を受けたハッカー集団Flax Typhoonが同社のインフラを利用したという。このハッカー集団は北米・欧州・アフリカおよびアジア全域とりわけ台湾のコンピュータ・ネットワークに侵入した。広く知られている脆弱性に乗じて被害者のコンピュータに侵入し、合法的な遠隔アクセスソフトウェアを用いて被害者のネットワークを継続的に制御する。そのため、2022年夏から23年秋にかけて同社のインフラから情報を受送信した。制裁により、同社の在米資産および米国の自然人・法人が所有または管理する同社の資産は凍結され、OFACへの申告が義務付けられ、米国の自然人・法人は同社との取引を禁止された。
(2025年1月6日)
(2025年1月6日)
ニュース:鳥インフルエンザによる米国初の死者
米ルイジアナ州保健省は5日、鳥インフルエンザ(H5N1)に感染し重症化していた患者が死亡したと発表した。患者は裏庭で飼っていた鶏や野鳥を介して感染したとみられ、65歳以上の高齢で、持病があった。米疾病管理予防センター(CDC)によると、一般市民が感染するリスクは依然として低いが、鶏その他の鳥類および牛と職業または余暇において接する人は比較的リスクが高い。
(2025年1月6日)
(2025年1月6日)
ニュース:米ニューオーリンズで群衆に車両突入―14人死亡
米ルイジアナ州ニューオーリンズの繁華街で新年を祝うため元日未明に集まった人々の中にピックアップトラックが突っ込み、14人が死亡した。
運転者の男は下車して発砲し、警察官に射殺された。トラックの後部にはIS(いわゆる「イスラム国」)の黒い旗が掲げられており、FBI(連邦捜査局)はテロ事件として捜査している。現場では複数の銃や即席爆発装置が見つかっている。現場のバーボンストリートはふつう、大きな催事の際には車両通行止めとなる。事件当日は、車両を進入させないための昇降可能なボラード(車止めのポール)が修理のため撤去されており、一時的に設置するL字型の障壁は、事件のあとまで設置されなかった。
(2025年1月1日)
運転者の男は下車して発砲し、警察官に射殺された。トラックの後部にはIS(いわゆる「イスラム国」)の黒い旗が掲げられており、FBI(連邦捜査局)はテロ事件として捜査している。現場では複数の銃や即席爆発装置が見つかっている。現場のバーボンストリートはふつう、大きな催事の際には車両通行止めとなる。事件当日は、車両を進入させないための昇降可能なボラード(車止めのポール)が修理のため撤去されており、一時的に設置するL字型の障壁は、事件のあとまで設置されなかった。
(2025年1月1日)
ニュース:鳥インフルエンザ、米重症患者からヒト間感染リスク増大の変異を検出
鳥インフルエンザ(H5N1)がヒトからヒトへ感染しやすくなったとみられる変異が、米国初の重症患者および死者となったルイジアナ州の感染者のサンプルから検出された。11月に感染して重症化した、カナダ・ブリティッシュコロンビア州の10代の感染者のサンプルからも、同様の変異が検出されている。この変異はウイルスがヒトに適応して感染者の体内で現れており、他の生物からはまだ発見されていない。今後、インフルエンザの感染が拡大する冬季にH5N1と通常のインフルエンザに同時に感染する人が出ると、ウイルスが遺伝子を交換することで、鳥インフルエンザが通常のインフルエンザのようにヒトからヒトへ感染しやすくなる可能性があるので、注意が必要だ。
(2024年12月27日)
(2024年12月27日)
ニュース:米下院が1100億ドルの災害復旧補正予算法案を可決
米下院は1100億ドル(17兆円)の自然災害復旧支援を含む2025年アメリカ救援法案を可決した。農業生産者への災害・経済支援310億ドル、ハリケーン・ヘリーンおよびミルトンなど大統領が宣言した災害に関連するFEMA(連邦危機管理庁)の対応・復旧・減災活動への290億ドル、大統領が宣言した災害からの復旧のため州・自治体・部族政府に交付する地域社会開発一括補助金120億ドル、各州に補填する道路・橋梁修理費81億ドル、暴風雨で損傷した国防総省施設の修理費34億ドルなどを含む。
(2024年12月20日)
(2024年12月20日)
報告書など:世界経済フォーラム『グローバル・リスク報告書』は誤情報・偽情報を重視
世界経済フォーラムが公表した「グローバル・リスク報告書2025年版」は、今後2年間と今後10年間それぞれの10大リスクを列挙している。今後2年間の最大のリスクには誤情報・偽情報を挙げた。2024年版も、その後2年間の最大のリスクに誤情報・偽情報を挙げていた。異常気象は、今後2年間の2番目のリスクと今後10年間の最大のリスクに挙げている。
【関連リンク】
https:// www.weforum.org/publications/global-risks-report-2025/
(2025年1月15日)
【関連リンク】
https:// www.weforum.org/publications/global-risks-report-2025/
(2025年1月15日)
報告書など:米国火器商取引・密売報告書 自作銃と連発化装置の増加が治安を脅かす
米司法省はアルコール・タバコ・火器および爆発物取締局(ATF)による米国火器商取引・密売評価(NFCTA)の最終巻となる第4巻「密売火器からアメリカを守る―NFCTAの改訂・新分析・政策提言」を公開した。NFCTAは火器の商取引と、火器がどのようにして違法な市場に持ち込まれ、犯罪者に入手されるのかに関する調査・分析である。探知可能な火器を米国の個人が製造することは合法であり、非売品なら番号の刻印も届出も不要だ。しかし、刻印のない自作銃が密売されると、追跡不可能なゴーストガン(幽霊銃)となる。犯罪に使用されて押収された自作銃は、2017年の1629丁から2023年2万7490丁に、ほぼ1600%増えた。引き金を1回引くと弾を連射するマシンガンに銃を改造する装置は製造が禁止されているが、押収された連発化装置の数は2019年から2023年の間に784%増えた。重犯罪前科のある者、密売人その他の危険人物による武装と危害を防ぐために銃購入者の身元調査が重要だという結論を、第4巻は強調している。
【関連リンク】
https://www.atf.gov/firearms/national-firearms-commerce-and-trafficking-assessment-nfcta-firearms-trafficking-volume-four
(2025年1月10日)
【関連リンク】
https://www.atf.gov/firearms/national-firearms-commerce-and-trafficking-assessment-nfcta-firearms-trafficking-volume-four
(2025年1月10日)
報告書など:FEMA『米国準備態勢報告書 2024年版』
極端な気象現象やサイバーインシデントといった事態に対応できる安全と回復力ある国づくりに向けて、すべての産業部門と政府機関の準備態勢の現状を精査し、国家準備態勢を強化するために国・州・自治体がとるべき対策を示す。米国準備態勢報告書は2012年版から毎年発行され、24年版は23年末時点のデータに基づいている。24年版では、被害額10億ドル超の自然災害と死者数が増えていること、効果的で地域に合った復興戦略を立てるには高度なデータ分析ツールが欠かせないこと、災害準備を真剣にとらえる米国民が増え、リスクリテラシーが上がってきていること、老朽化したインフラや現行の建築基準にあわない建築物は重大な脆弱性となっていること、AIの進化により、敵の攻撃能力が高まっていることなどを指摘している。
【関連リンク】
https://www.fema.gov/press-release/20250114/femas-national-preparedness-report-highlights-mass-care-services-public
(2024年12月31日公表、60ページ)
【関連リンク】
https://www.fema.gov/press-release/20250114/femas-national-preparedness-report-highlights-mass-care-services-public
(2024年12月31日公表、60ページ)
報告書など:米国土安全保障省「海底ケーブルのセキュリティと回復力に関する国土安全保障省の取り組みの優先事項」
国土安全保障省は国防総省・司法省・商務省・財務省・国務省・連邦通信委員会・情報コミュニティとともに、海底通信ケーブルセクターの民間の利害関係者と対話を重ねた。本報告書は、この連携でわかった主なことを述べ、海底ケーブルに関する調整を改善するために国土安全保障省が当面注力する分野を特定する。同省は、省庁間の連携および重要インフラ所有者・運用者を招集する法定権限を通じて、海底ケーブル業界と引き続き連携し、システムのセキュリティと回復力を強化する。同省は、海底ケーブル業界と米国の国家安全保障が直面する課題と機会の相互理解のため、業界との関係を重視している。
【関連リンク】
https://www.dhs.gov/publication/priorities-dhs-engagement-subsea-cable-security-resilience
(2024年12月18日発行、10ページ)
【関連リンク】
https://www.dhs.gov/publication/priorities-dhs-engagement-subsea-cable-security-resilience
(2024年12月18日発行、10ページ)