2月分
ニュース:独ミュンヘンでデモに車突入、2人死亡、37人負傷
ドイツ・ミュンヘンで13日午前10時30分ころ、サービス業労組ver.diのデモ隊に小型車が突入、39人が負傷した。そのうち2人(アルジェリア出身女性とその娘)は2日後に死亡した。まもなく逮捕された運転者は24歳のアフガニスタン人の男で、2016年にイタリアから入国し、難民申請を17年に却下された後もドイツにとどまり、21年にミュンヘン市当局に滞在を許可された。犯行の動機は不明。ドイツでは2月23日に総選挙を控え、難民の受け入れ・定着や治安が再び議論の的となっている。
(2025年2月15日)
(2025年2月15日)
ニュース:ドイツが口蹄疫対策の制限区域を緩和
ドイツ農務省は、ベルリン郊外の水牛が口蹄疫に感染したと1月10日に報告されてから移動・搬出制限区域を定めたが、新たな感染が報告されていないので、欧州委員会の承認を受けて緩和した。英国や韓国は口蹄疫を理由にドイツ産の食肉・乳製品の輸入を禁止している。欧州委員会は、ドイツの感染対策が効いているので、感染のあった地域からの搬出だけ制限すればよいと判断した。新たな感染例がないまま3か月が過ぎれば、ドイツは口蹄疫清浄国に復帰する。ドイツで口蹄疫の感染が報告されたのは1988年以来初めて。
(2025年2月13日)
(2025年2月13日)
ニュース:獣医のH5N1感染の米CDCによる公表が政権の指示により遅延
米疾病対策センター(CDC)の『罹患率・死亡率週報』2月13日号の記事「牛獣医の高病原性鳥インフルエンザA(H5)ウイルス感染の血清陽性率―米国、2024年9月」によると、公衆衛生当局が血液検査をした牛獣医150人のうち3人が最近感染していた。そのうち2人は感染が確認または疑われている家畜と接触歴がなく、残る1人は牛の感染が確認された州で獣医療をおこなっていないので、まったく知らない間に感染した。したがって、このウイルスの感染は、探知されない間に乳牛に広がっており、感染するリスクの高い人が、探知されない間に感染している。『罹患率・死亡率週報』のこの号は3週間前に公開される予定だったが、トランプ政権が1月21日に米政府の公衆衛生機関に対し、外部へのあらゆる発信を停止するよう通達したため、公開が遅れた。
(2024年2月13日)
(2024年2月13日)
ニュース:ケネディ氏の米保健福祉長官指名を承認
米上院は2月13日、保健福祉長官にロバート・F・ケネディ・ジュニア氏を承認した。疾病管理予防センター(CDC)、食品医薬品局(FDA)、国立衛生研究所(NIH)など公衆衛生機関を統括する。ケネディ氏が根拠なくワクチン忌避を呼びかける活動をおこなってきたため指名は論争を呼び、上院本会議では民主党議員47人全員と共和党議員1人(ポリオ経験者のマコーネル前院内総務)が反対票を投じた。
(2024年2月13日)
(2024年2月13日)
ニュース:ギャバ―ド氏の米国家情報長官指名を承認
米上院は12日、国家情報長官にトゥルシー・ギャバ―ド氏を承認した。国家情報長官は中央情報局(CIA)など18の情報機関を統括する情報コミュニティの長であり、情報活動に関する大統領・国家安全保障会議・国土安全保障会議の主たる助言者である閣僚級ポスト。ハワイ州選出の民主党下院議員を2013-21年に務めた陸軍予備役中佐だが、ロシアのプーチン政権やシリアのアサド前政権を支持する言動が多く、情報機関に勤務した経験もないので、指名は論争を呼び、上院本会議では民主党議員47人全員と共和党議員1人(マコーネル前院内総務)が反対票を投じた。
(2024年2月12日)
(2024年2月12日)
ニュース:中国製ウェブカメラによるスパイ活動のおそれ
米国土安全保障省は、中国政府が中国製ウェブカメラを利用して米国の重要インフラを偵察・攻撃する可能性を警戒している。ABCテレビが同省の通知文書をもとに報じた。この種のカメラの多くはデータの暗号化もセキュリティの設定もなく、メーカーと通信するよう初期設定されている。通知文書によると、中国製ウェブカメラ数万台が、化学・エネルギー部門を含む米国の重要インフラのネットワークに導入されている。中国のサイバー攻撃者はウェブカメラを悪用した攻撃の実績があるので、この種のカメラに対する規制を強化しなければ、中国政府は米国の重要インフラシステムに不正アクセスして操作することができると警告している。
(2025年2月8日)
(2025年2月8日)
ニュース:観測史上もっとも暖かい1月
2025年1月は観測史上どの年の1月よりも地表平均気温が高く、産業革命前より1.75度高かったと、EU(欧州連合)のコペルニクス気候変動サービスが発表した。過去19か月のうち18か月において、地表平均気温が産業革命前より1.5度以上高くなった。欧州中期予報センターのサマンサ・バージェス副センター長によると、2024年を観測史上もっとも暑い年にしたエルニーニョ現象(太平洋赤道域東部の海水温上昇)が終息し、平均気温を一時的に下げるはずのラニーニャ現象(同海域の海水温低下)へ移行しつつあるのに、25年1月も高温記録を更新したことは驚くべきことだという。
(2025年2月6日)
(2025年2月6日)
ニュース:スウェーデンの生涯学習施設で銃乱射、11人死亡
スウェーデン中部のオレブロ市の生涯学習施設で4日、男が銃を乱射して10人を殺害、6人を負傷させ、その場で自殺した。さらに6人が、男が投げた発煙弾の煙を吸って負傷した。男は散弾銃1丁と狩猟用半自動ライフル2丁で合計70発を発砲した。警察の到着後も発砲し続け、最初の通報の1時間後に遺体が発見された。35歳の犯人は地元出身で、この施設で学んだ経歴があり、思想的動機や他者の関与の証拠はない。同施設は移民・難民のスウェーデン語教育もおこなっており、シリアなど外国7か国出身の8人と国籍非公開の2人が犠牲となった。クリステション首相によると、スウェーデン史上最悪の銃乱射事件である。
(2025年2月5日)
(2025年2月5日)
ニュース:米ネバダ州の乳牛が野鳥に多い系統の鳥インフルエンザに感染
昨年秋以降の米国の野鳥にもっとも多い高病原性鳥インフルエンザであるH5N1、クレード2.3.4.4b、遺伝子型D1.1では死者1人、重症者1人も出ている。この遺伝子型D1.1について、米農務省はネバダ州で乳牛の感染を1月31日に初めて確認したと、2月5日に発表した。牛乳のサーベイランス検査が手がかりとなった。同省は、今回の感染確認は高病原性鳥インフルエンザ撲滅戦略を変える理由にはならないとしている。その一方で、トランプ政権発足後、CDC(疾病管理予防センター)など米政府の公衆衛生機関が通常の発信を停止していることを懸念する専門家もいる。
(2025年2月5日)
(2025年2月5日)
ニュース:アルゼンチンもWHO脱退を表明
アルゼンチンのミレイ政権は5日、世界保健機関(WHO)からの脱退を表明した。米国同様、新型コロナウイルス感染症パンデミック対応をめぐる見解の「深い相違」や、WHOの「政治的影響からの独立性の欠如」を理由に挙げている。
(2025年2月5日)
(2025年2月5日)
ニュース:WHOが米国の脱退に備えて予算縮小を提示
WHO(世界保健機関)は、最大の資金拠出国である米国の脱退表明を受けて、2026-27年の2年間の予算を約4億ドル縮小して49億ドル(7400億円)とする方針を示した。途上国における感染症対策などへの影響が懸念される。
(2025年2月5日)
(2025年2月5日)
ニュース:米首都上空で旅客機と陸軍ヘリが衝突、全員死亡
米首都ワシントンD.C.最寄りのレーガン・ナショナル空港近くで1月29日20時47分、着陸のため最終進入中のアメリカン航空5342便(ボンバルディアCRJ700)と米陸軍のUH-60Lヘリコプターが衝突、ポトマック川に墜落し、乗っていた67人が全員死亡した。旅客機にはカンザス州ウィチタで乗客乗員64人が乗っていた。ヘリはフォート・ベルボア基地に所属し、首都の要人を緊急時に退避させるための訓練飛行を乗員3人でおこなっていた。米議会が選挙区との往復のために同空港の発着枠を増やしてきたこともあって、現場の空域は米国のなかでも過密だ。そのうえ、同空港に勤務する管制官の数は、2023年の米議会への報告書によると、連邦航空局(FAA)と労組が定めた目標の3分の2未満だった。FAAのウィテカー前長官はイーロン・マスク氏に促されて1月20日に辞任したので、事故はFAA長官が空席の間に起きた。トランプ大統領は翌30日、FAAの採用方針が多様性・公平性・包括性(DEI)を重んじた結果、適性・能力のない人が管制官となり、事故が起きたと断定したが、第1期トランプ政権でもFAAはその方針を守っていた。
(2025年1月29日)
(2025年1月29日)
ニュース:米政府補助金の停止とその撤回をめぐり混乱
米大統領直属の行政管理予算局(OMB)は1月27 日夜、米政府省庁に覚書を発し、「対外援助、非政府機関、多様性・公平性・包括性(DEI)、意識高い(ウォーク)ジェンダー・イデオロギー、グリーン・ニューディールなどへの補助金その他の大統領令に関わる省庁の活動」を翌28日午後5時までに一時停止し、2月10日までに報告するよう通達した。社会保障(老年・遺族・障害者保険)、高齢者医療保険、個人への直接給付は対象外。停止される補助金には災害支援金や林野防火事業資金も含まれる。上院民主党のシューマー院内総務は27日、停止される補助金は議会が承認した投資だとして覚書の撤回を求めた。全米非営利団体協議会は28日、覚書の撤回を求める訴訟を起こし、コロンビア特別区連邦地裁は2月3日までの差止命令を下した。ニューヨーク州など民主党が与党である6州の司法長官も訴訟に加わる意向を示した。トランプ政権は1月29日、補助金を一括停止する通達を撤回した。しかし、対外援助、DEI関連目的の補助金および2022年インフレ削減法による全ての支出を凍結する大統領令は撤回していない。
(2025年1月29日)
(2025年1月29日)
ニュース:米国で鳥インフルエンザが牛の風土病化したおそれ
昨年(2024年)春の米アイダホ州における乳牛の鳥インフルエンザ(H5N1)感染は、広がらないですぐに終息するという当時の予測に反して、900か所以上の乳牛と数十人に広がり、1人が死亡し、終息する気配がない。米農務省は今年1月、アイダホ州の乳牛の新たな感染例は昨年10月から見つかっていないと発表したが、同州当局者は昨年11月、軽症例を公表していた。ニューヨーク・タイムズが取材した専門家は、軽症化・無症状化したH5N1が半永久的に牧場で蔓延し、重症化する株に変異する高リスク・シナリオを示した。効果のない感染抑止ガイドライン、不十分な検査、データ開示の遅れといった、米国の新型コロナウイルス感染症パンデミック対応の過ちを繰り返した結果、流行を封じ込める機会を逸したという。ヒトのパンデミックに移行しうるという兆候は、昨年12月後半から増えているという。米政府は鳥インフルエンザワクチンを数百万回分備蓄しているが、ヒトに流行した場合はその量では足りないし、そのときのウイルス株のワクチンが必要となるので、当局は生産能力を確保するため走り回ることになる。
(2025年1月27日)
(2025年1月27日)
ニュース:FEMA見直し審議会を設置
トランプ米大統領は1月24日、ノースカロライナ州のハリケーン・へリーン(2024年9月)とカリフォルニア州のパリセーズ火災(25年1月)の被災地を訪れた後、FEMA(連邦危機管理庁)の災害対応の有効性を評価する審議会を設置する大統領令に署名した。FEMA見直し審議会は、FEMAと州・自治体・民間による過去4年間の災害対応の有効性を比べる。そして、FEMAの役割、州との調整機能および改革案を180日以内に答申する。審議会は委員20人以下で構成され、国土安全保障長官と国防長官が共同議長を務める。設置期間は1年だが、大統領が延長することができる。トランプ大統領はノースカロライナ州アッシュビルで、FEMAが調整する災害復興は「とても高価で官僚的で遅い」として、FEMAを経由しないで州に米政府の資金を直接供与するほうがよいと主張した。大統領令は、FEMAが政治的に偏向しているとの懸念を示し、「不法移民」(難民申請者)の移送・滞在への支援など法令にない任務に人的・物的資源を費やしたと批判している。
(2025年1月26日)
(2025年1月26日)
ニュース:米国が大統領令によりWHO脱退へ
トランプ大統領は就任初日の1月20日、米国の世界保健機関(WHO)脱退を指示する大統領令に署名した。WHOが中国寄りであり、新型コロナウイルス感染症パンデミックへの対応を誤り、米国の拠出金割当が不当に多いと非難している。WHOに対する拠出金は加盟国の中で米国がもっとも多く、約18%を負担している。WHO脱退は通告から1年後に発効する。国連側は、脱退を通告する1月22日付の書簡を米政府から受け取ったことを確認している。トランプ大統領はその後、米国の拠出額が中国並みに引き下げられれば脱退を再考する余地があるとも述べており、まだ脱退を最終決定していない含みを持たせている。
(2025年1月20日)
(2025年1月20日)
報告書など:GAO報告書「災害時の契約―FEMAによる監督に改善の余地あり」
災害対応・復旧を調整するFEMA(連邦危機管理庁)は、被災地の復旧・復興のため、水などの物品や建設などの役務を調達する契約に毎年数十億ドルを支出している。FEMAには、被災地に物品・役務が届くように契約を監督するための研修と認証を受けた職員がおり、契約業者の作業報告書を評価したり、現場を抜き打ち検査したりしている。しかし、GAO(米議会の政府監査院)が調査したところ、契約を監督しているFEMA職員のなかには、適切な研修と認証を受けていない者もいた。GAOは契約業者の作業の文書化および監督にあたる職員の研修・認証について7つの措置を推奨し、国土安全保障省とFEMAは賛成した。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-25-107136
(2025年2月6日発行)
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-25-107136
(2025年2月6日発行)
報告書など:GAO報告書「公衆衛生準備態勢―保健福祉省と州・自治体は人手不足に一定の対策を講じている」
州・自治体の公衆衛生職員は、感染症の追跡調査や水質検査などさまざまな業務を通じて地元の公衆衛生を守っている。しかし、看護・疫学・公衆衛生実務支援などの職種は人手が不足しており、感染症の監視のような複雑な業務の従事者には、データ分析などの技能が求められる。こうした人材を採用して引き留めることは、他の雇用主との競争もあって容易でない。この課題に対し、保健福祉省は州・自治体の職業訓練・就職支援事業を支援している。一部の州・自治体は給与を上げて、研修に対する支援を増やした。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-25-107002
(2025年1月29日公表)
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-25-107002
(2025年1月29日公表)
報告書など:GAO報告書「海上貨物の保安―国土安全保障省の対策の有効性を評価するためには追加措置が必要」
米国の経済は世界的サプライチェーンにおける効率的な海上貨物輸送に依存している。沿岸警備隊と税関・国境警備局は、密輸など貨物船の安全保障上のリスクを監視している。GAO(米議会の政府監査院)が調査した8つの港では、各機関が協力して資源を活用し、人手が不足したときは船舶の立入検査を互いに支援するなどしていた。沿岸警備隊は外部と協力して海上安全のための目標を策定した。GAOは沿岸警備隊に対し、客観的・測定可能・数量化可能な指標を運輸部門のパートナーと策定し、目標の進捗および船舶・貨物の保安の重層的アプローチの有効性を継続的に評価するよう推奨する。国土安全保障省はこれらの推奨策に賛成した。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-25-106953
(2025年1月21日公表)
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-25-106953
(2025年1月21日公表)