3月分
ニュース:鳥インフルエンザの新たな亜型を米ミシシッピ州で発見
ミシシッピ州ノクサビー郡の養鶏場で、高病原性鳥インフルエンザの新たな亜型であるH7N9が確認され、4万7654羽が殺処分された。感染源は不明だが、合衆国魚類野生生物局は過去数年間にわたり、野鳥から低病原性のH7N9ウイルスを検出していた。このウイルスが野鳥から養鶏場にもたらされた後、高病原性に変異した可能性が高いと考える研究者が多い。
(2025年3月19日)
(2025年3月19日)
ニュース:災害準備の責任を州・自治体へ委譲する米大統領令
トランプ米大統領は18日、災害に備える責任を州・自治体に移すことを目的とした大統領令に署名し、FEMA(連邦危機管理庁)の解体的改革への歩みを進めた。大統領令はインフラ、事業継続、準備、対応に関するすべての政策を見直し、連邦政府のアプローチを更新・簡素化するよう求めており、3月10日に部分的に公表していた。自然災害やサイバー攻撃など広範なリスクに対応するために、州・自治体が「常識的な」投資をすることで国家安全保障が強化されると述べられているが、その具体的な内容や財源は明記されていない。「準備は州・自治体さらには個人レベルでもっとも効果的に管理され、これを的確でアクセス可能、かつ効率的な連邦政府が支援する形が望ましい」と記されている。米国のインフラ、関連システムおよび使用者を特定・記述しリスクを計測する「全国リスク登録リスト」を240日以内に作成するため、国家安全保障担当大統領補佐官は、行政管理予算局長および関連機関の長と必要な調整をおこなうと定めている。
(2025年3月19日)
(2025年3月19日)
ニュース:欧州・中央アジアの麻疹流行は過去25年で最大
世界保健機構(WHO)と国連児童基金(ユニセフ)は13日、ルーマニアやカザフスタンなど欧州・中央アジア53か国における麻疹の感染件数は、2024年の合計が12万7350件にのぼり、2023年比で倍増しており、1997年(21万件超)以降で最大だったと発表した。5歳未満の幼児の感染が40%を占めた。報告件数の半数は入院を要するほど重症化した。麻疹の予防接種率が、新型コロナウイルス感染症パンデミック前より下がった国が多い。ルーマニア、ボスニア=ヘルツェゴビナ、モンテネグロ、北マケドニアなどでは小児の接種率が80%を下回っており、集団免疫を獲得できるとされる95%に遠く及ばない。
(2025年3月14日)
(2025年3月14日)
ニュース:米国家運輸安全委がレーガン・ナショナル空港付近のヘリ飛行制限を要請
米国家運輸安全委員会(NTSB)は、首都ワシントンD.C.最寄りのレーガン・ナショナル空港近くで1月29日に起きた旅客機と米陸軍ヘリコプターの衝突事故を調査した結果について、3月11日に記者会見を開いた。同空港の15/33滑走路を航空機が使用する間は、付近でのヘリコプターの飛行を禁止するよう、連邦航空局(FAA)に要請したことを公表した。同空港付近ではヘリコプターと旅客機のニアミスが2011年から2024年までの13年間に毎月1回は起きており、航空安全上、看過できないリスクだと分析した。
(2025年3月13日)
(2025年3月13日)
ニュース:米国立気象局が災害気象予報士の訓練を中止
米国立海洋大気庁(NOAA)傘下の国立気象局は、トランプ政権の方針により職員が解雇されて不足し、出張費が制限されているので、所属する気象予報士に対する災害時の気象予報の訓練を中止したと、政治専門紙ザ・ヒルが報じた。災害時(インシデント)気象予報士は、平時は同局で一般的な気象予報業務をおこなう一方、250時間の特別な訓練を受けており、災害時は対応要員と公衆の安全のために気象情報を対策本部に提供する。火災に対応することが多いが、ハリケーン復旧や2010年メキシコ湾原油流出事故も支援している。この災害時気象予報士の養成・認定が遅れ、国立気象局の災害対応能力が低下することが懸念される。
(2025年3月11日)
(2025年3月11日)
ニュース:米国立海洋大気庁がさらなる人員削減か
米国立海洋大気庁(NOAA)は、行政予算管理局の人員削減要求に従い、2月27日に職員880人を解雇したのに続いて、1029人を解雇する見込みであることがわかった。NOAAは約2割の職員を失う計算となる。NOAAは国立気象局を傘下に抱え、気象情報の提供などを通じて公共の安全を守る重要な役割を担っている。
(2025年3月9日)
(2025年3月9日)
ニュース:トランプ政権が州政府に対する災害支援を凍結
米国の防災事業のトランプ政権による見直しが本格化している。政権発足早々、行政管理予算局は、FEMA(連邦危機管理庁)が支出する義務のある災害支援金3兆ドル(450兆円)の凍結がありうるという文書を発出した。カリフォルニア、ニューヨーク、ロードアイランド、イリノイなど23州の司法長官は同局文書の実施の差止をロードアイランド連邦地裁に請求し、3月6日に認められた。請求によると、トランプ政権は各州に対し、自らは災害支援金を凍結したのではなく、新たな審査手続を採用しただけなので、司法の命令に違反していないと主張していた。政権は、長年おこなわれている気象災害対策を含め、気候変動に関連する全事業を凍結しており、また、敵視している多様性・公平性・包括性(DEI)の概念を広く定義することによって、低所得・マイノリティの地域社会を対象としうる事業を中止する根拠としている。上記の23州の連合が2月28日におこなった差止請求によると、政権はニューヨーク、ニュージャージー、バーモント各州に、「環境正義」「マイノリティ」「多様性」などの用語に関連する国の洪水対策事業の中止を指示しており、連邦地裁がすでに下した支出再開命令に違反している。
(2025年3月6日)
(2025年3月6日)
研究開発情報:季節性インフルエンザ感染による鳥インフルエンザの免疫
ヒトの間で季節的に流行しているインフルエンザウイルスA(H1N1)pdm09への感染が、鳥インフルエンザH5N1亜型に対する免疫を与える可能性が、動物実験で示された。A(H1N1)pdm09に曝露されていないフェレットがH5N1に感染すると、呼吸器から大量のH5N1が検出されただけでなく、心臓・脾臓・肝臓・腸からも検出された。対照的に、先にA(H1N1)pdm09に曝露されてからH5N1に感染したフェレットは、呼吸器だけから少量のウイルスが検出された。2024年3月以後の米国で70人がH5N1に感染したのに、入院した4人(そのうち1人は死亡)以外は軽症だったのは、このように免疫をつけていたからかもしれない。
【関連リンク】
https://doi.org/10.3201/eid3103.241485
(2025年3月19日)
【関連リンク】
https://doi.org/10.3201/eid3103.241485
(2025年3月19日)
研究開発情報:米NIAIDがマラリア予防抗体開発への参加を公募
米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)の研究者らは、熱帯熱マラリア原虫のスポロゾイト(ヒトに侵入する形態)の表面タンパク質に結合する11種類のヒトモノクローナル抗体を開発した。これらの抗体が結合する部位は、既知のモノクローナル抗体と結合しない。これらの抗体の一部は、マウスにおいて肝臓内の寄生虫負荷を大幅に減少させることが確認されており、確立されたモノクローナル抗体のプロトコルと組み合わせることで高度な防御効果を発揮する。それゆえ、複数の抗体を混ぜて投与するカクテル療法により、マラリアを予防する効果が期待される。NIAIDはこの技術のさらなる開発、評価または商業化に関心のある研究機関や企業の協力提案を募集しており、抗体の開発可能性試験(生物物理学的性質、交差反応、薬物動態、毒性など)、臨床前モデルの評価、臨床試験などの分野に関心がある。
(2025年3月17日)
(2025年3月17日)
研究開発情報:滑走路の損害評価の自動化・遠隔化による安全化
マサチューセッツ工科大学の博士課程に在籍する米空軍の土木技術者ランドール・ピーターセン氏は、AIと最先端の画像技術を用いて滑走路の損傷や不発弾を探知する研究を進めている。現在のドローン探査システムに超高解像度カメラを搭載しても、不発弾と石や破片を区別することが難しいので、遠隔からの迅速な損害評価は実用の域に達していない。そこでピーターセン氏は、深層学習やハイパースペクトルイメージング(広波長域の電磁波を捉えて分光し画像化)を研究し、ドローンで自動的に滑走路の損害評価と不発弾探知をおこなうシステムの開発に取り組んでいる。ハイパースペクトルイメージングは低価格化・高速化・耐久化しているので、ピーターセン氏の研究は農業、災害対応、鉱業、建築などへの応用も期待される。
【関連リンク】
https://news.mit.edu/2025/randall-pietersen-making-airfield-assessments-automatic-remote-safe-0313
(2025年3月13日)
【関連リンク】
https://news.mit.edu/2025/randall-pietersen-making-airfield-assessments-automatic-remote-safe-0313
(2025年3月13日)
研究開発情報:音声認識AIを用いた地震断層変位の予測
連続地震波形の機械学習によって地震断層の状態を探る研究が進んでいる。米エネルギー省ロスアラモス国立研究所の研究者らは、実験室内のせん断実験と断層すべりの数値シミュレーションにおける機械学習の成果をスロースリップ断層に応用した。Facebook AI Researchの音声認識枠組み「Wav2Vec-2.0」にカルデラ地震波形を学習させたうえで、ハワイ島キラウエア火山のカルデラが2018年に崩壊した際に発生した、モーメントマグニチュード5程度の地震の連続地震波から、地面の移動(断層の移動の代理変数)を予測させた。予測の正確さは、リアルタイムでは高かったが、将来の断層すべりの予測では低かった。地震断層が発する地震波が、せん断実験および数値シミュレーションに似ていることと、活断層の研究への音声認識AIモデルの応用可能性を確認できた。論文はネイチャー・コミュニケーションズ誌に掲載された。
【関連リンク】
https://doi.org/10.1038/s41467-025-55994-9
(2025年2月12日)
【関連リンク】
https://doi.org/10.1038/s41467-025-55994-9
(2025年2月12日)
報告書など:2024年は観測史上もっとも気温の高い年―世界気象機関
世界気象機関(WMO)の報告書『世界の気候の状態 2024』によると、24年には人為的気候変動の兆しがますますはっきりした。過去175年の観測史上もっとも気温の高い年であり、産業革命前よりも1.5度以上高い初めての年となったと考えられる。長期的に大気中の温室効果ガスの濃度、海水温、海面水位、氷河の減少も記録を更新した。仮に人類が温室効果ガスの排出を今すぐやめても、海面水位と海水温の上昇を止めるには数百年ないし数千年かかるという。熱波・洪水・暴風雨などの極端な気象現象により避難を強いられた人は82万4500人にのぼり、2008年以来もっとも多かった。こうした災害151件が「前例がなく」激しいと分類された。パリ協定の目標は、産業革命前と比べた気温上昇を1.5度以下に抑えることだが、気温上昇を測る期間の長さを定義していない。本報告書は、2024年の実際の気温が産業革命前より1.34-1.41度高かったと推定している。これでも1.5度に近いので、有効な行動の機会は縮小している。付録『気候サービスの状態 2024』は各国の適応・減災能力、付録『重大な気象・気候現象 2024』は世界各地の災害について分析している。
【関連リンク】
https://wmo.int/publication-series/state-of-global-climate-2024
(2025年3月19日)
【関連リンク】
https://wmo.int/publication-series/state-of-global-climate-2024
(2025年3月19日)
報告書など:GAO報告書「国土安全保障省―同省の行動と議会による監督の主要分野」
国土安全保障省は自然災害への対応、国境警備、国内の過激派による暴力行為の防止などにおいて重要な役割を担っており、年間予算は約600億ドル(9兆円)にのぼる。GAO(米議会の政府監査院)は2003年の同省設置以来、その改善に関する数多の提言をおこなってきた。同省内の業務の重複や断片化の解消による経費節減、災害支援の効率化、ITおよび財務管理の強化について、GAOの国土安全保障省・司法省担当責任者のクリス・カリー氏が下院国土安全保障委員会監督・調査・説明責任小委員会で証言した。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-25-108165
(2025年3月11日発行)
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-25-108165
(2025年3月11日発行)
報告書など:GAO報告書「災害回復力―FEMAは回転型貸付基金事業の手引きと評価を改善する必要がある」
2021年に制定された「継続的なリスク軽減により明日を守る法」(STORM法)は、減災のための回転型貸付基金を設立する州や準州に資本化補助金を交付する権限をFEMA(連邦危機管理庁)に与えている。FEMAは22年秋、減災事業をおこなう自治体に貸す資金の元手を州や準州に供与する「明日を守る回転型ローン基金」(RLF)事業を始めた。23年9月には、最初の供与相手として7州とコロンビア特別区を選んだ。STORM法は、FEMAによるRLF事業の実施状況をGAO(米議会の政府監査院)が検証することも定めている。本報告書ではRLF事業のしくみ、FEMAが交付した補助金の件数、FEMAが同事業に関して作成した手引きおよびその利用者による評価、応募した州や準州がプロジェクトを選んだ方法、FEMAによる業績指標策定のための取組みについて説明し、手引きと指標策定の改善策を推奨する。
【関連リンク】
https:///www.gao.gov/products/gao-25-107331
(2025年2月24日発行、24ページ)
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https:///www.gao.gov/products/gao-25-107331
(2025年2月24日発行、24ページ)
報告書など:全米アカデミーズ「極端事象における橋の対応計画、評価および迅速な復旧のための手引き」
火災・洪水・地震・竜巻・ハリケーンなどの災害がもたらす極端事象は、橋の構造を損傷し、運転者と公衆の安全に影響を及ぼすおそれがある。現在実施されている対応計画、評価および迅速な復旧の手順は、安全の維持を目的としているが、極端事象のさまざまな種類と規模に応じた要員、通信、調整、データ収集、評価レベルなどの要素を十分に考慮しているとは限らない。全米アカデミーズ運輸研究委員会が運営する全米道路協力的研究プログラムは、極端事象における橋に関する対応計画、評価および迅速な復旧のすべてのニーズに応じて合理的な手順を取り入れる手引き、プロセス、ツールの開発を、オレゴン州立大学に委託した。
【関連リンク】
https://doi.org/10.17226/27814
(2024年発行)
【関連リンク】
https://doi.org/10.17226/27814
(2024年発行)
報告書など:運用・制御技術と産業用制御システムに対するサイバー脅威が増大
運用・制御技術(OT)に関するサイバーセキュリティの大手企業Dragosが、『2025年版ドラゴスOT/ICSサイバーセキュリティ報告書』を公表した。新しいOTサイバー脅威集団「ボーキサイト」「グラファイト」について詳述し、ランサムウェア活動が前年比87%増えて、産業用制御システム(ICS)を狙って設計されたマルウェアファミリーが現れたと報告している。国家に支援された集団が重要インフラに侵入して隠れている。ハクティビスト(活動家ハッカー)と犯罪組織はランサムウェアの利用を増やし、既知の脆弱性、リモートアクセス設定の欠陥、防護の不十分なOT資産を利用して産業用IT環境に侵入している。OTは可視性が低いので攻撃の全貌が見えにくい。その一方で、OTを防護する側も進歩しており、多くの組織がセグメンテーションを強化し、OTの可視性を高め、インシデント対応能力を強化している。こうした積極的な措置は、攻撃者が探知されずに活動することを難しくしており、産業用サイバーセキュリティの長期的な回復力にとって重要である。
【関連リンク】
https://www.dragos.com/ot-cybersecurity-year-in-review/
(2025年2月25日)
【関連リンク】
https://www.dragos.com/ot-cybersecurity-year-in-review/
(2025年2月25日)