新しい監督管理体制に食品安全問題の改善を期待
4月1日
2013年3月9日、全人代の代表である浙江省海寧市朱張金氏が全人代である実験を行った。彼が市販の「健康にいい黒いピーナッツ」の袋から10粒ほどを取り出し、水の入ったコップの中に入れた。そうしたら、透明な水が一瞬にして黒く変わってしまった。これは高い値段で売られている健康にいい黒いピーナッツである。人体に有害な薬品で普通のピーナッツを黒く染めただけであるが、重金属まで含まれていると同氏は説明し、食の安全重視を呼び掛けた。一方、3月10日に国務院が「国家食品薬品監督管理総局」を立ち上げる計画を発表した。黒いピーナッツの実験をきっかけに、監督管理部門の統合が注目を浴び、食品安全性の問題がまたも今回の全人代の焦点となった。
食品の安全性について、『光明日報』は3月6日に、「国家食品安全リスク評価センター」の研究員の厳衛星氏に対するインタビューを掲載した。同氏は「これまでの食品安全性の監督管理は、政府の複数の部門が共同で関わっており、役割分担は縦割りになっている。しかし現状では、職責が交差しており、行政の統一性が欠如し、行政効率が低いといった問題が生じている。そのため食品産業のバリューチェーンにシームレスな管理体制が実現できていない」と指摘された。
監督管理部門の統合について、『新華網』は3月15日に、「“九龍治水”と別れ、食品安全が三つの“難関”を乗り越えられるか」と題した記事を掲載した。中国の故事では、水害を治めるため、9匹の龍が同時にそれを管轄すると、水害は却って治まらない。その責任と権限が分散し、あいまいになるからである。また、次のように書いた。「一つ目の「難関」は、部門統合は監督管理の乱立現象を無くせるかである。農水産物の栽培養殖における責任の欠如、流通における基準の不一致、監督管理部門の法律執行が緩いなどの問題が解決されないかぎり、食品安全性問題が依然として残される。なお、責任と権限の明確化が最も重要であり、罰金を課す権限を所管部門の利益から離脱させるため、所管部門への人員増と予算増を考慮すべきだろう。二つ目の「難関」は、食品の源を管理できるかである。今回の改革は農業が含まれないが、食品の源である農業生産こそ問題が多発している。一部の農民が目先の生産量と外見のみ追求し、大量のホルモン剤を使用している。三つ目の「難関」は、食品安全性のファイアウォールを作れるかである。これについて、「食品安全法」の修正、ブラックリスト入り企業のデータベース化、問題食品の追跡可能の食品安全監督管理プラットフォームの構築などを全人代代表たちが提案した」。
『南方週末』が3月14日に記事「改革先駆者たちの困惑」を掲載した。監督管理部門の統合がパイロットプロジェクトとして実施される四つの都市である広東省深セン市、順徳市、陕西省の渭南市、天津市の現状を伝えた。「組織が変わったが、ヒト、メカニズムと法律は変わっていない」、「枠組みができたが、経験というほどのものがまだ積まれていない」、「監督管理の専門スタッフが短期間のトレニングではスキルを付けられない」など現場の改革に対する心配な声を取り上げた。一方、専門家が、新しい監督管理体制の効果を発揮できる前提は組織の責任と権限の明確化である。そのため、意思決定メカニズム、権限の範囲及び監督管理メカニズムの合理化が必要であると指摘されている。
(柯隆 編集)