中国企業の海外投資が活発化する中、新エネルギー投資において問題が出始めた
2013年5月以降、中国企業の海外投資が急に活発になったが、前年まで積極的であった新エネルギー分野では投資の難航が目立っている。その理由として、国際競争力不足、海外市場のビジネス慣習等が壁となっていること、本社から現地への権限移譲が進まないこと等が挙げられた。
9月2日
中国企業の海外投資額は、2005年に95億ドルだったのに対し、2012年に637億ドルに達した。年間平均成長率は31%に上ったことが、6月7日に発表されたKPMGのレポートで明らかになった。逆に、プロジェクトごとの平均投資額は、2005年の2.67億ドルから2.28億ドルに下がった。その背景には、投資する産業分野の多様化や民営企業が海外投資を始めたことが挙げられる。なお、海外投資を行う産業は28分野まで広がり、農業、食品、新エネルギー、不動産やハイエンド製造業などに集中した(京華時報)。
2013年5月以来、中国企業の海外投資が急に活発になった。5月9日、中国石油は20億ドルでブラジルの石油会社Barra社を買収した。5月29日、民間企業の復星医薬が2.2億ドルでイスラエル医療用美容機器生産メーカーの株式95.2%を購入した。同日、豚肉加工業者の双匯国際は、米国の豚肉加工大手スミスフィールド ・フーズを約47億2000万ドルで買収すると発表した。5月31日、SOHO中国は7億ドルでニューヨークのGMビルの40%の株式を購入した。なお、2月26日に発表された、中国石油がカナダのエネルギー企業ネクセンを151億ドルで買収した案件は、現在までで最高の海外投資額となった。(証券日報)
一方、新エネルギーの海外投資に関しては、2012年には最も積極的に行われていたが、2013年になって、投資難航の情報が目立っている。『南方週末』の6月21日に掲載された「新エネルギーの出航:耕作すべき、狩猟してはならない」と題する記事では、新エネルギー企業の海外投資は、「耕作」すると言いながら、実は「狩猟」が多い、短期的な利益を求めるだけでは成功できないと指摘された。「新エネルギー産業の海外市場は利益率が高く、誘惑が大きい。太陽エネルギー発電所の収益率は20%、風力発電プロジェクトは10%から20%となる。中国国内の新エネルギー市場が徐々に飽和状態に近づく中、多くの企業が海外に目を向け始めた。なにより中国の発電量を限定する棄風限電の問題が海外にないからだ。過去3年間、新エネルギーの海外投資が急増した。2012年までに、新エネルギーの海外直接投資総額は累計で400億ドルに達した。合計33カ国に投資し、プロジェクトは124カ所に上った。政府が中国企業の海外業務拡大をサポートしてきたことも要因の一つである。8割から9割の資金が銀行からの融資によるもので、特に国家開発銀行や中国輸出入銀行のような政策金融機関がメインだった。中国企業は低コストの製造業環境と政府の過度な保護の中で成長してきたため、グローバル競争力が実に弱い。中国企業は、メーカーではなく、投資家またはデペロッパとして国際舞台で競争することにはまだ慣れていないだろう。そのうえ、海外市場のビジネス慣習、ローカル文化、合弁パートナーなどが中国企業にとって悩みの種になった。例えば、インドで実施されている正泰集団の10メガワット太陽エネルギー発電所の開発は、現地の住民との間に宗教問題のトラブルが生じ、プロジェクトが一時的に難航したことがあった。また、航天機電が2009年にイタリアで投資した1.03億ユーロの26.8メガワット発電所は、2年間で頓挫した。その原因は、イタリア政府から補助金を得られず、投資に見合わなかったからだ。海外政府の新エネルギーに対する方針を把握しない中で投資したのは過ちだった。失敗の原因は8割が企業自身の問題であり、2割は外部要因によるものだと金風科技の総裁王海波氏は言う。海外現場の従業員の経験不足ではなく、本社の管理層が、海外投資の経験が不足しているにも関わらず権限移譲しないことが挙げられると同氏は伝えた。なお、海外投資には長期的な計画性が必要であるが、多くの国有企業では海外業務を開拓するのは子会社であるため、ボトムアップ的な進め方では全体的な計画性が欠けて、一度失敗すると海外投資を完全に取りやめるケースが多い」と同紙は述べた。
(柯隆 編集)
9月2日
中国企業の海外投資額は、2005年に95億ドルだったのに対し、2012年に637億ドルに達した。年間平均成長率は31%に上ったことが、6月7日に発表されたKPMGのレポートで明らかになった。逆に、プロジェクトごとの平均投資額は、2005年の2.67億ドルから2.28億ドルに下がった。その背景には、投資する産業分野の多様化や民営企業が海外投資を始めたことが挙げられる。なお、海外投資を行う産業は28分野まで広がり、農業、食品、新エネルギー、不動産やハイエンド製造業などに集中した(京華時報)。
2013年5月以来、中国企業の海外投資が急に活発になった。5月9日、中国石油は20億ドルでブラジルの石油会社Barra社を買収した。5月29日、民間企業の復星医薬が2.2億ドルでイスラエル医療用美容機器生産メーカーの株式95.2%を購入した。同日、豚肉加工業者の双匯国際は、米国の豚肉加工大手スミスフィールド ・フーズを約47億2000万ドルで買収すると発表した。5月31日、SOHO中国は7億ドルでニューヨークのGMビルの40%の株式を購入した。なお、2月26日に発表された、中国石油がカナダのエネルギー企業ネクセンを151億ドルで買収した案件は、現在までで最高の海外投資額となった。(証券日報)
一方、新エネルギーの海外投資に関しては、2012年には最も積極的に行われていたが、2013年になって、投資難航の情報が目立っている。『南方週末』の6月21日に掲載された「新エネルギーの出航:耕作すべき、狩猟してはならない」と題する記事では、新エネルギー企業の海外投資は、「耕作」すると言いながら、実は「狩猟」が多い、短期的な利益を求めるだけでは成功できないと指摘された。「新エネルギー産業の海外市場は利益率が高く、誘惑が大きい。太陽エネルギー発電所の収益率は20%、風力発電プロジェクトは10%から20%となる。中国国内の新エネルギー市場が徐々に飽和状態に近づく中、多くの企業が海外に目を向け始めた。なにより中国の発電量を限定する棄風限電の問題が海外にないからだ。過去3年間、新エネルギーの海外投資が急増した。2012年までに、新エネルギーの海外直接投資総額は累計で400億ドルに達した。合計33カ国に投資し、プロジェクトは124カ所に上った。政府が中国企業の海外業務拡大をサポートしてきたことも要因の一つである。8割から9割の資金が銀行からの融資によるもので、特に国家開発銀行や中国輸出入銀行のような政策金融機関がメインだった。中国企業は低コストの製造業環境と政府の過度な保護の中で成長してきたため、グローバル競争力が実に弱い。中国企業は、メーカーではなく、投資家またはデペロッパとして国際舞台で競争することにはまだ慣れていないだろう。そのうえ、海外市場のビジネス慣習、ローカル文化、合弁パートナーなどが中国企業にとって悩みの種になった。例えば、インドで実施されている正泰集団の10メガワット太陽エネルギー発電所の開発は、現地の住民との間に宗教問題のトラブルが生じ、プロジェクトが一時的に難航したことがあった。また、航天機電が2009年にイタリアで投資した1.03億ユーロの26.8メガワット発電所は、2年間で頓挫した。その原因は、イタリア政府から補助金を得られず、投資に見合わなかったからだ。海外政府の新エネルギーに対する方針を把握しない中で投資したのは過ちだった。失敗の原因は8割が企業自身の問題であり、2割は外部要因によるものだと金風科技の総裁王海波氏は言う。海外現場の従業員の経験不足ではなく、本社の管理層が、海外投資の経験が不足しているにも関わらず権限移譲しないことが挙げられると同氏は伝えた。なお、海外投資には長期的な計画性が必要であるが、多くの国有企業では海外業務を開拓するのは子会社であるため、ボトムアップ的な進め方では全体的な計画性が欠けて、一度失敗すると海外投資を完全に取りやめるケースが多い」と同紙は述べた。
(柯隆 編集)