グローバルナビゲーションへ

本文へ

フッターへ



サイトマップ

検索

HOME >  静岡総合研究機構の活動実績 >  フォーラム・シンポジウム実績 >  静岡アジア・太平洋学術フォーラム >  第15回「アジア型企業経営-新興国の経済成長の理由を探る」

第15回「アジア型企業経営-新興国の経済成長の理由を探る」


平成22年度

開催内容:基調講演、学術会議、県民フォーラム
延人数:1,060人

概要

日時 【2010(平成22)年 12月4日(土)・5日(日)】

12月4日(土)
9:30 開会
9:45~10:35 基調講演 「日本の東アジア戦略」
10:35~12:35 第1部 「インド社会が育んだ企業の経営システム」
13:45~16:45 第2部 「中国における国家の企業戦略と経営管理」 
12月5日(日)
10:00~12:30 第3部 「世界のハイテク産業を支える韓国・台湾企業」 <日英同時通訳>
13:45~16:45 県民フォーラム 「アジア経済の急膨張と日本・静岡の将来」 <日英同時通訳>
詳細は下記のプログラムをご覧ください。

会場

静岡県コンベンションアーツセンター「グランシップ」11階 会議ホール「風」 

主 催

静岡県、静岡アジア・太平洋学術フォーラム組織委員会

メインテーマ

- 急成長のアジア、すくむ日本、その行方は -

中国、韓国、台湾、インド等新興国では、欧米とは異なる、固有の経営形態・経営システムをもった企業がその急成長を支えてきた。これらの形態・システムは、各国の歴史・風土を基礎に、時に欧米や他のアジアの国・企業のシステムを自国に合う形で呑み込みながら築かれてきたものである。

一方、日本の企業は、これまで、時価会計、株主重視等、その経営にかなり米国型を取り入れてきたが、今や、新興国企業の急な追い上げの中にあって優位を維持してきた機械産業においても競り負ける分野が出てきている。また新興国では、企業における研究開発員が充実し、特許件数も増えてきた。日本は、今後の成長の方向や日本的経営の在り方を、改めて真剣に考えるべき時に来ている。

これらを踏まえ、今回のフォーラムでは、成長著しい中国、韓国、台湾、インドの国別にセッションを設け、以下の点について討論した。

  • 各国の企業の経営形態・経営システムにおける特色と成長の理由。
  • 各国の企業は、現在の形態・システムによって成長を続けていくのか、または成長に伴い欧米型の経営に収れんしていくのか。
  • 日本、静岡は、今後どのような産業を中心に成長を図るか(製造業の高度化、率先して医療・介護など新しい産業分野に取り組む等)。また、そのための経営形態・経営システムはどうあるべきか。

プログラム 12月4日(土)

9:30 開会

9:45~10:35 基調講演 「日本の東アジア戦略」

講 師 伊藤元重(東京大学大学院経済学研究科教授)  

10:35~12:35 第1部 「インド社会が育んだ企業の経営システム」

インドではアジアでいち早く株式市場が開設され、独立前よりタタ、ビルラなど有力な民間企業が誕生していた。しかし独立後、混合経済体制の確立が目指されたため、公企業拡大が優先された一方、民間企業、とりわけ財閥系など大手企業の活動は厳しく抑圧されていた。民間企業に本格的な活動の舞台が提供されるようになったのは、1991年に経済改革が導入されてからのことである。既存の財閥に加えてリライアンス(1966年設立)などの新興財閥が多数台頭し、インド経済拡大の牽引役として重要な役割を果たすようになった。

第1部では、言語、宗教、カースト等の多様性を抱えるインド社会において、財閥系企業を中心とした民間企業が躍進した理由、さらにはその経営形態・経営システムの特色について議論する。議論のポイントとして、次のようなものが考えられる。

  • 欧米企業との活発な交流により、欧米流の市場経済化が上手くいった。
  • 長い歴史の中で現実的な思考方法が染み渡り、民主主義等欧米のシステムを呑み込みながら、社会に適合する形態・システムを作り上げてきた。
  • 貧困や民族の多様性から、CSRを積極的に行ってきた。

座 長 小島眞(拓殖大学国際学部教授) 
発表者 三上敦史(大阪学院大学経済学部教授)
討論者 三上敦史(大阪学院大学経済学部教授)
     梶正彦(タタコンサルタンシーサービシズジャパン(株)代表取締役社長)
     近藤正規(国際基督教大学教養学部上級准教授)

13:45~16:45 第2部 「中国における国家の企業戦略と経営管理」

第2部では、中国経済について、現在、国有企業の積極的な企業活動が見られるが、経済発展政策を進める国家の企業戦略と経営管理をめぐって、以下の点に触れながら検討をした。

  1. 改革開放政策とともに推し進められてきた旧来の国営企業改革が一段階を画し、新たに国有企業として市場経済の中に登場してきた。目覚しい経済発展を示す中国では、主要な経済活動の多くの部分を国有企業が占めている。では、この国有企業に対する国家の企業戦略とはいかなるものであるのか。またそれは、いかなる経営管理に基づいて進められているのか。
  2. 国有企業のみならず民間企業についても、国家の強い主導性のもとで方向付けがなされ、成長を遂げてきたが、今後も同様な関係を維持しながら成長を続けるのか。また、日本・韓国・東南アジアなど、近隣アジア経済への影響はどのような方向をとるのであろうか。
  3. 現在目にしている中国型国有企業はなぜ成長したのか。この問題を考える手掛かりの一つに、国有企業が立地する地方間の、すなわち地方政府間の経済発展競争を指摘できる。全国的に見て、政府の金融政策を含めた経済政策のなかの地域戦略はどのようなものか、また地域間競争にはどのような特徴があるのか。
  4. 中国経済の世界経済の中で占める位置が大きくなっていくなかで、グロ-バリゼーションの動きに対応した華僑・華人のネットワークの役割も注目される。世界各地域に展開する華人系資本はどのような特徴を持っているのか。

 座 長 濱下武志(龍谷大学客員教授、中山大学亜太研究院院長・教授)
 発表者 柯隆((株)富士通総研経済研究所主席研究員)
 討論者 柯隆((株)富士通総研経済研究所主席研究員)
       丸川知雄(東京大学社会科学研究所教授)
       孟勇(上海工程技術大学管理学院工商管理系系主任)
       劉志宏(静岡産業大学経営学部教授)

プログラム 12月5日(日)

10:00~12:30 第3部 「世界のハイテク産業を支える韓国・台湾企業」

<日英同時通訳>

中国、インド、ブラジルなど世界経済の重心が新興の大国市場に移る中で、この構造変化をいち早く見取った韓国・台湾企業は素早い転換を図り、消費財のみならず、部品や素材といった中間財の供給者として日本と並ぶ役割を果たすようになった。国内市場に依存することができず、グローバル化とこれに伴う経営資源の選択・集中を遥かに早く、大胆に進めてきたため、その企業活動は輸出・直接投資のみならず、技術提携やこれを支える人材のレベルでも多くの日本の大企業に先行し、高い収益力を誇るようになった。

高い収益力は優れた研究者や新興市場拠点でのマネージャー獲得など人材獲得を通して研究開発力や技術力、販売力の向上に循環しており、日本企業もようやくその後を追う動きを見せるようになった。日本同様、少子高齢化や一部の産業空洞化に直面しながらもなお、世界市場に飛躍するバイタリティーはどこから来るのか。中国など新興国のキャッチアップをどう振り切って成長を維持しようとしているのか。韓国・台湾企業の競争力を世界市場におけるサプライ・チェーン・マネジメント全体の観点から再検討した。

座 長 深川由起子(早稲田大学政治経済学術院教授)
発表者 李佑光(サムスン経済研究所首席研究員)
      陳信宏(中華経済研究所研究員)
討論者 李佑光(サムスン経済研究所首席研究員)
      陳信宏(中華経済研究所研究員)
      佐藤幸人(アジア経済研究所主任調査研究員)
      新宅純二郎(東京大学大学院経済学研究科准教授)
      尹大栄(静岡県立大学経営情報学部准教授)

13:45~16:45 県民フォーラム 「アジア経済の急膨張と日本・静岡の将来」

<日英同時通訳>

日本と欧米の工業国は、現在、低成長とデフレ経済に苦しみ、金融緩和や為替引き下げの競争に走っている。これに対して、中国、インド、ASEAN諸国は何れも高成長を続け、韓国、台湾も好調であり、中国はインフレを抑えるために金融引き締めを開始し、為替レートを徐々に引き上げている。
 
中国は経済大国になり、その膨大な輸出によって、先進国経済が失業とデフレに落ち込み、また巨額の輸入と開発投資によって、ASEAN諸国の経済成長が一段と高まった。アジアの物流拠点は東京・横浜から釜山、上海、大連、香港、シンガポールに移った。
中国や韓国の企業はシベリアで農業、資源、流通・サービス業等の投資を行い、経済的結合が強まっている。ヒュンダイはロシアで大規模な自動車工場の建設を決めた。
 
中国は30年以上にわたって、高度成長を続けている。韓国やASEAN諸国は、アジア金融危機の時混乱したが、それを克服して見事な成長路線に復活した。ロシアは、市場経済化の混乱から立ち直った。

これらの国には、アメリカとも日本とも異なった政治・経済システムや企業ガバナンスがある。経済成長を続けているから、それらは優れているに違いない。私たちは、これからどう対応すべきかについて検討を行った。

座 長 竹内 宏((財)静岡総合研究機構理事長)
討論者 安忠栄(韓国 規制改革委員会委員長、外国人投資オンブズマン)
     G. クナーゼ(ロシア科学アカデミー世界経済・国際関係研究所上席研究員、元駐大韓民国ロシア連邦大使)
     陳建安(復旦大学経済学院教授)
     柳澤伯夫(城西国際大学学長、元金融担当大臣)